10年後、あの街の戸建て物件価格は上昇するのか、下落するのか? こんな疑問に答えるため、今回は「東京西部・多摩エリア」にある戸建て物件の「現在(2018年)」と「10年後(2028年)」の推定価格を駅ごとに算出。10年後の上昇率・下落率や推定価格など、その街のポテンシャルや不動産価値を診断してランキングを作成した。はたして、あなたの住む街はランクインしているだろうか。
推定価格は、「2018年10月時点で築10年」「100㎡」「2階建」「木造」「駅から徒歩10分前後」「駅と同一区域」の条件を満たす戸建てをモデルに、株式会社おたにの不動産価格推定システム「GEEO」を用いて算出した。不動産は経済状態に影響を受けるが、今回の推定価格は平均シナリオのデータを使用している。
※騰落率が著しく高いものや公示地価との乖離が大きいデータについては、サンプル物件数などを考慮しながら除外した上で、代表的な駅として100地点まで絞り込んだ。
2018年vs2028年の上昇率トップ10
まずは上昇率ランキングの上位10駅を見ていこう。戸建て物件価格が、2018年とその10年後となる2028年でどれだけ上昇または下落するかを推定したものだ。
上昇率57%でトップに輝いたのは、東京都世田谷区にある二子玉川だ。東京急行電鉄(東急)の大井町線と田園都市線が利用できて、渋谷まで15分もあればアクセスできる。1982年に開発がスタートした駅前の商業施設「二子玉ライズ」は、2015年に完成してグランドオープン。かつての行楽地は、都内でも有数の商業地へと発展した。
おしゃれ主婦を表す「ニコタマダム」が生まれた土地だけあって、玉川高島屋S・Cなど昔からショッピング施設は充実していた。これに二子玉川ライズショッピングセンターが加わり、人が集まる魅力が高まった。蔦屋家電など、流行の最先端に触れることができる特徴ある店舗も存在する。
また、二子玉川ライズオフィスや楽天グループが入居する楽天クリムゾンハウスなど、ビジネスの場としても快適な環境を提供している。ランキングが示すように、今後10年は人気の街として人気を集めるだろう。
2位の成城学園前(東京都世田谷区)も、都内屈指の高級住宅街として知られる街だ。成城大学をはじめ各種学校も多く、教育熱心な家庭にとってニーズが高い。小田急小田原線を使うと新宿駅や渋谷駅まで15分ほどでアクセスできる。
今後上昇することの明確な理由は見当たらないが、駅周辺の路線価もここ数年は上昇傾向にあるため、不動産として見ても人気が高いことがわかる。
3位の多磨(東京都府中市)は、ややマイナーな駅だが、武蔵境を起点とする西武鉄道多摩川線の駅だ。国際基督教大学(ICU)に近く、付近には、武蔵野の森公園、多磨霊園などがあり、自然が豊かな地域だ。
東側にイトーヨーカ堂による巨大ショッピングセンター建設計画「(仮称)府中朝日町SC計画」が進んでいる。当初は2020年完成を目標としていたようだが、その後予定が後ろ倒しになり、現在は2023年ごろとされている。いずれにしても、大型商業施設が建つことになれば資産価値は上昇すると見ていいだろう。
下落率トップ5は練馬春日町など
続いて下落率ランキングの上位5駅を見ていこう。東久留米、高尾、府中など、都心から少し離れた駅が並ぶ。将来の資産価値が下がるわけなのでランキング上位は不名誉なことではあるが、少子高齢化、空き家率の上昇などを考えると下がるのは仕方ないともいえる(騰落率ランキング35位以下はマイナス)。
1位の練馬春日町は、都心からそれほど離れておらず大江戸線1本でアクセスできる。有楽町線や西武池袋線の駅も範囲内なので、交通の便は悪くない。さらに、警視庁が公表する犯罪データを見ても治安は良い方で、住みやすい街であるといえる。
一方で、隣の駅である光が丘は、人気住宅地として注目されていて上昇率でも7位に入っている。大江戸線の始発駅でもあり、どうせ物件を探すなら光が丘で……と考える人が増えるのかもしれない。
また5位の尾山台は、自由が丘や田園調布といった人気駅に近く、実際に2018年の推定価格では全体で2位となっている。街としての魅力が低くなるというよりは、現状が高いぶん他よりも落差が大きく出てしまったというだろう。
2028年の推定価格トップ5
次は、2028年の推定価格が高額な駅のランキングだ。すべての地点で、2018年から上昇しているものの、上昇率が高い駅が上位を占める傾向にある。
1位の三軒茶屋は、都心にあって利便性も高い人気のエリア。2018年の推定価格でも1位で、上昇率でも5位に付けている。同じく2位の成城学園前と5位の二子玉川も、上昇率のトップ5に名を連ねる。これらは、現在の高い魅力や資産価値を10年後も維持し続けられる街といえるだろう。
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