多摩地区で人気の高い「立川」の不動産は”買い”なのか? 立川駅を中心にルミネ、エキュート、伊勢丹、高島屋などの大型商業施設が集積しており、都心へ出かけなくても不便さを感じずにすむ。また、新宿駅まで最短26分で到着できるためアクセスも良い。今回は、そんな多摩地区ナンバーワンとも呼ばれる立川の不動産の魅力、将来性を分析してみたい。(フリージャーナリスト・福崎 剛)
街と自然のバランスが絶妙、住み心地の良い立川エリア
立川が人気の高い理由は、自然環境と利便性のバランスの良さだ。都心に出なくても不便なく暮らせるほど商業施設が集まっており、大きな公共公園もある。ほどよく住宅街も広がっているため、“職住近接”の良さがあると言えるのが立川である。
交通の利便性について確認しておくと、JR中央本線、青梅線、五日市線、南武線の4路線を利用できるほか、「多摩都市モノレール」の接続で玉川上水駅では西武・拝島線の乗換、高幡不動駅では京王線に乗り換えがスムーズになっている。これまで鉄道空白エリアだった地域を結ぶモノレールによって、立川を中心とした生活圏の街の範囲がより広がったのである。
住みたい街ランキング18位は、有望なのか?
「住みたい街ランキング2019(関東)」(住宅情報サイトSUUMO調べ)によれば、立川は18位。この順位はどう評価すればいいのだろうか?
トップ10は、1位:横浜、2位:恵比寿、3位:吉祥寺、以下は大宮や新宿、品川、目黒、浦和、武蔵小杉、鎌倉と続いている。こうした人気がある街では、すでに不動産価値が高くなっており、今後の上昇幅は大きくない。むしろ狙い目は11位以下の街。東京オリンピック後も再開発が続く渋谷が13位で、中野、東京、三鷹、二子玉川の後に、立川がランクインしている。11~20位にあたりのエリアは、不動産価値がまだ上がりきっていないため、これからも地価上昇が見込めるのだ。
2020年、新街区「GREEN SPRINGS」がオープン
立川の大きな魅力のひとつが、ショッピングに便利だということだ。駅と直結したルミネやグランデュオ、エキュートなどがあり、伊勢丹や高島屋の大型デパート、家電量販店へのアクセスが非常に便利だ。駅から周辺の建物とはペデストリアンデッキで結ばれて、信号待ちに巻き込まれることもなく移動もスムーズにできる。都心へ出かける必要性がなく、ストレスが少ないことも子育て世代にとっては大きな魅力だ。
さらに2020年には立川駅北側、昭和記念公園の東側に隣接するエリアに約3.9万㎡の広大な街区「GREEN SPRINGS」が誕生する。ここは、多摩地区最大規模となる約2,500席のホールが建てられ、天然温泉を堀って作るスパやホテルといった商業施設とオフィスで構成される予定だ。この「GREEN SPRINGS」は、立川の新たな魅力となることは間違いなさそうだ。
立川の不動産価値は、これからも上昇する?
立川市の不動産価値は、これからどうなるか。まずは現在の不動産価値を見てみよう。
近隣市町村と土地価格を比較すると、一橋大学のある国立市と国分寺市が坪あたり100万円超、小平市も85.9万円と、立川よりもやや相場が高い。立川市は主要ターミナル駅を抱えているにも関わらず、75.3万円/坪で、国立・国分寺・小平と比べると割安感がある。
地価は上昇しているのだろうか。2019年発表の地価公示では、立川市は前年と比べて駅中心部での地価上昇がはっきり見られた。これは「GREEN SPRINGS」をはじめとした再開発などの影響が大きいと考えられる。
立川駅から160m離れた「曙町2丁目」は、昨年が約505万円/㎡だったのに対し、今年は520万円/㎡になっており、15万円も地価が上がっていた。駅から890m離れた「富士見町2丁目」は、昨年が330万円/㎡から今年343万円/㎡に13万円の上昇。駅周辺の土地だとかなりの地価上昇だ。
では、駅から離れた土地だとどうなるだろうか。駅から2000m離れた「栄町4丁目」だと、昨年が26万円/㎡で今年が26.6万円/㎡と、6千円の上昇となっていた。駅から遠く離れるほど、地価上昇率が低くなっていることがうかがえる。
今後、日本は少子高齢化から人口減少へ向かい、空き家も増える現状を考えると、郊外に建つ住宅の不動産価値は下がるだけだ。有望なのは、駅に近接する住宅やマンションになるだろう。実際、駅に近いほど不動産の上昇率は高く、今後の有望な不動産といえる。近隣の駅に比べると立川駅周辺は割安感があるので、駅から遠く離れた物件よりも、駅近物件を狙うのがオススメとなるだろう。
子育てファミリーに人気の街、立川
立川の人口は約18万2000人(2018年)。この10年間で1万人ほど増加しており、まだ緩やかな増加傾向にある。立川市には、144人(平成29年4月)の待機児童がいる。これまで100人前後で推移してきた待機児童数だが、平成27年からは179人に、平成28年には200名弱と、ここ数年で急増。施設整備を進めるものの、想定以上に乳幼児が増えていることが理由のようだ。待機児童数を減らす取り組みには予算や人的確保など、ハードルの高い問題はあるが、立川市内に子育てファミリー世代が増加していることは間違いない。
現在、立川市では緊急対策として訪問型保育事業を進めるなど、待機児童の解消を目指しているが、2019年10月からの「幼児教育・保育無償化」もあるため、待機児童の解消がどこまで進むかは未知数だ。
待機児童数はなかなかゼロにできないが、立川市には子どもを育てる上で魅力的な環境がある。例えば、駅から数分のところにある緑豊かな国営昭和記念公園だ。東京ドーム39個分の広さで、レインボープールや子供の森、レンタサイクルからドッグラン、ボートハウスに水鳥の池、フットサルコートまで、世代を超えてあらゆる人がくつろげるスペースと施設が用意されている。これほど充実した公園が近くにあるのは、子育てファミリーには魅力的だろう。
また、立川市では公共施設や公園に様々なアート作品を設置し、芸術作品を身近に触れられる機会をもうけている。その象徴的なものがパブリックアートの「ファーレ立川アート」になるだろう。109作品が町の中に設置されている。さらに、こうした作品を歩いて巡る「アートウォーキング」コースも用意され、暮らしの中でアートを楽しむこともできる。
子育てに関する件で、興味深い施設が立川市の旧市役所跡にできた「子ども未来センター」だ。ここは、子育て、教育、文化芸術活動、市民活動を支援するユニークな複合施設で、館内には、子育てひろばのほかギャラリーやスタジオもあり、様々なワークショップやイベントも開催されている。有料の一時預かり保育のほか、子ども総合相談受付、発達相談、就学・教育相談なども気軽に利用でき、非常に便利だ。
まとめ 立川は駅徒歩15分以内の駅近物件がおすすめ
住環境の良さ、子育て世代からの人気、2020年に向けた市街地開発が進行中ということを考えると、立川は今後も人気が高まっていくだろう。
2014年、立川駅直結のマンション「プラウドタワー立川」が売り出された。坪単価が300万円超、総額 1億円を超えた物件だったため、当時話題になっていた。この物件は中古でも価格が高い。プラウドタワー立川のように駅直結でなくとも、駅近マンションは人気が出てきており、物件価格が上がっている。
今後、空き家も増えることを考えると、郊外に建つ住宅の不動産価値は下がるだけだ。有望なのは、主要ターミナル駅に近接する住宅やマンションになるだろう。それは立川も同様だ。駅から徒歩15分以上離れると将来、売却しにくいことも考えられるので、立川なら駅近物件を狙うのをおすすめする。
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