和光・戸田エリアの不動産は“買い”か? 池袋や赤羽まで約10分のアクセス力がありながら、坪単価は池袋の2分の1!

2019年9月27日公開(2019年9月27日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

「和光市」と「戸田市」の不動産は買いなのでしょうか? 埼玉県でありながら、都内への交通利便性が抜群な和光市と戸田市。池袋・赤羽に10分前後で到着するほか、横浜や東京といった主要駅へのアクセスも良好です。街としての印象はやや薄いですが、他の23区隣接エリアと交通利便性や中古マンション価格を比較したところ、値ごろ感のあるエリアだということが分かりました。また、池袋と比べると、同程度の物件が約半値で売り出されています。(不動産鑑定士・安澤誠一郎)

荒川でボート練習をする人
和光市、戸田市どちらも荒川を挟んで都内と隣接している(出所:PIXTA)

 和光市と戸田市は埼玉県の中央南端に位置し、戸田市は荒川を介して南側で板橋区に、和光市は陸続きで板橋区(東側)・練馬区(南側)に、それぞれ東京23区と隣接しています。

 荒川を挟んで和光市と戸田市のロケーションが異なるので、東京都心とをつなぐ鉄道も両市では異なり、エリアとしては分断されているのですが、今回は「東京23区に隣接する街」として両市合わせて検証します。

都内のベッドタウンとして人気の高い和光市・戸田市

埼玉県の婚姻率・出生率ランキング

 和光市と戸田市は、その立地から都内にて働く人たちのベッドタウンとして発展してきました。

 ここ数年は都心回帰の流れが強く、郊外エリアは軒並み人口減が懸念されていますが、和光市&戸田市は埼玉県の中で婚姻率、出生率のベスト1と2。両市ともファミリー世帯に支持されている街で、過去10年大きな人口減が無いのが特徴です。

■和光市の概要

 和光市の北側には荒川沿いの低地が、南側には武蔵野台地が広がっており、雑木林や田畑も点在する緑多い土地です。人口は約8万人で県内35位、市域面積は11k㎡で狭い順から数えて県内4位と決して大きな街ではありませんが、練馬区、板橋区と隣接していることから、ベッドタウンとして住宅街が発展してきた歴史があります。

 かつては、キャンプ・ドレイクの一部を抱えており、返還後の跡地には理化学研究所、裁判所総合研修所、西大和団地、南大和団地、和光樹林公園などの公共性の高い施設が建設されました。また、本田技術研究所が置かれていることもあって、研究者が多く住んでいることも特徴として挙げられるでしょう。

 平成27年度の市民意識調査によると、子育て世代(20歳以上50歳未満)の割合が高くなっており、働き盛りの世代が多く住んでいます。また、同調査「和光市の住みやすさについて」の項目では、市民の79.5%が「住みやすい」「どちらかといえば住みやすい」と回答「ずっと住み続けたい」「当分の間、転居をするつもりはない」という回答が86.1%になるなど、住民の満足度が非常に高いことがうかがえます。※出所:和光市WEBサイト掲載資料「総合振興計画基本構想

■戸田市の概要

 戸田市は、市のほぼ中央部にやや高い地域があるものの、荒川と支流の笹目川流域の低地が主な面積を占めた土地形成になっています。人口は約14万人(県内20位)、市域面積は18k㎡(狭い順で県内16位)と、埼玉県の他の都市に比べると小規模です。隣には板橋区と北区があり、こちらもベッドタウンとして栄えてきました。

 和光市同様、埼玉県内のなかでも平均年齢が若い街で、40代の人口が最も多く全体の約20%を、20~30代が人口の30%程度を占めています。市民調査によると、戸建て・マンション合わせた持ち家比率が79.9%を超えており、腰を据えて住まいを構える人が多いのだと考えられます。※出所:戸田市WEBサイト掲載資料「戸田市市民意識調査報告書(平成30年度実施)

 市内西側には首都高速5号線の「戸田南」ICと、5号線と外環道のクロスする「美女木」ジャンクションが設置されており、内陸部の物流基地として、物流施設が集まっている場所でもあります。また、戸田公園や戸田競艇場といった広大な土地をもつ施設が象徴的です。

他の東京隣接エリアと、和光市・戸田市のアクセス比較

■東武東上線と東京メトロ3路線が利用できる和光市駅

和光市駅は、地下鉄副都心線・有楽町線を使っての都内アクセスが抜群に良い上に、始発・終点駅でもある(出所:PIXTA)
和光市駅は、地下鉄副都心線・有楽町線を使っての都内アクセスが抜群に良い上に、始発・終点駅でもある(出所:PIXTA)

 「和光市駅」では、東武東上線と有楽町線・副都心線が相互乗り入れをしています。東武東上線(快速)で13分で池袋に、副都心線を使えば新宿・渋谷・横浜まで乗り換えなしで行けるため、主要都市へのアクセスは非常に良好です。有楽町線を使うと、永田町・銀座1丁目・豊洲まで乗り換えなしでアクセスが可能になります。

 市内の鉄道駅は和光市駅のみですが、西側エリアは「成増駅(東武東上線、東京メトロ有楽町線・副都心線)」、北西側エリアは「西高島平駅(都営三田線)」と、板橋区の駅を利用することも可能です。

 和光市駅からの始発本数が多いのも、都内通勤者にとっては大きな魅力となるでしょう。また、地下鉄からの乗車であれば、和光市駅までは地下鉄運賃で行くことができます。

■JR埼京線、りんかい線、川越線、が利用できる戸田公園駅

埼京線
戸田市のメイン路線は埼京線。新幹線の路線も通っているが、戸田市には停まらない。

 戸田市も、和光市に引けを取らないアクセスの良さを持っています。市内には「戸田公園駅」「戸田駅」「北戸田駅」があり、JR埼京線、りんかい線、川越線の3路線が利用できます。なによりも、戸田公園駅と埼京線で直結する赤羽は3駅しか離れていないため、快特で5分、各駅停車でも7分で到着するというアクセスの良さが最大の利点でしょう。

 埼京線では池袋・新宿・渋谷へ直結、横浜方面へも連絡していますし、赤羽で乗り換えれば、上野・秋葉原・東京へのアクセスも簡単です。東側の一部エリアは、京浜東北線の「西川口駅」の後背地であるため、西川口駅から京浜東北線も利用できます

■その他の23区隣接エリアとのアクセス力比較

 では、和光市・戸田市はどれほどアクセス力が高いのでしょうか?

 下表は、アクセス力比較のため、23区に隣接する都市「保谷」「調布」「武蔵小杉」「松戸」について、東京都心主要駅10駅(東京駅、大手町駅、銀座駅、赤坂見附駅、表参道駅、六本木駅、渋谷駅、新宿駅、池袋駅、品川駅)への平均所要時間をまとめたものです。

和光&戸田公園の主要駅へのアクセス一覧

 平均の最短所要時間は、大規模な駅前開発で人気が出ている「武蔵小杉」が21.3分とダントツで、2位の「戸田公園(33.1分)」、3位の「和光市(34.9分)」とは約12分以上の開きがありました。

 しかし、東京多摩エリアで練馬区に隣接する西東京市の「保谷」、世田谷区に隣接する「調布」、葛飾区に隣接する松戸市「松戸」に対して、戸田市&和光市の方が所要時間が2~5分短くなっており、東京23区隣接エリアの中ではアクセス力が高いエリアだと言えるでしょう。

※比較対象駅が隣接している23区
保谷(西東京市) :練馬区
調布(調布市)  :世田谷区
松戸(松戸市)  :葛飾区
武蔵小杉(川崎市):大田区、世田谷区

その他エリアとの
中古マンション価格比較

■その他23区隣接エリアとの、中古マンション価格比較

 次に、和光市・戸田市と23区隣接エリアの「中古マンション価格」を比較してみましょう。

 中古マンションの平均坪単価と、先ほど紹介した都内主要駅への平均所要時間をまとめたものが下表です。中古マンションは、各駅の徒歩10分圏内にあるファミリータイプの物件を参考にしています。なお、マルチアクセスとタワーマンションで人気の高い武蔵小杉駅は、中古マンションの売出価格も非常に高額になるので、ここでは比較対象から外しました。

 和光市と近接している保谷駅は、和光市駅よりも20%割安ですが、主要駅へのアクセスは平均40分とやや遠くなります。調布駅や松戸駅と比べてみると、和光市駅・戸田公園駅ともに10~20%安いという結果になりました。

 和光市駅と戸田公園駅を比較すると、和光市駅の方が5%程度平均価格が高くなっています。戸田公園駅は、和光市駅よりも主要駅への平均所要時間では若干短いのですが、住宅としての街並みや成熟度、駅前環境などではやや開きがあるので、和光市駅よりも住宅価格が低くなっていると想定できます。

■池袋、赤羽との中古マンション価格比較

 下表には、和光市駅・戸田公園駅と直結している主要駅「池袋」「赤羽」の中古マンション価格の坪単価平均値を比較しています。物件は、和光市駅・戸田公園駅・池袋駅・赤羽駅、それぞれ駅徒歩10分圏内のファミリータイプを参考にしています。池袋&赤羽vs和光市&戸田公園 物件価格

  この結果から見ると、和光市駅は池袋の2分の1程度の価格で中古マンションが売り出されていることが分かります。戸田公園駅に至っては池袋の半分以下、赤羽駅と比較しても4分の3程度の価格になっています。

 和光市駅から池袋までは13分、戸田公園駅から赤羽までは5分で行けることを考えると、時間距離に対して下落幅が大きいといえるでしょう。

交通利便性から考えると、割安感の高い「和光市、戸田市」エリア

 和光市駅、戸田公園駅は、23区に隣接する調布や松戸と比較してもアクセス面では勝っていながら、中古マンション価格は安い傾向にあることが分かりました。直結している池袋や赤羽と比較しても、時間距離に対してマンション価格の差が大きく広がっていることから、総じて割安であるといえます。

 住み心地や街並み、アクセス面も勘案すると、「買い」エリアとして位置付けても良いのではないでしょうか。

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