西東京市は緑地も多く住環境が充実
西武新宿線沿いの田無駅エリアになぜ注目が集まるのか

2025年6月20日公開(2025年6月20日更新)
福崎剛:フリージャーナリスト

2001年に田無市と保谷市が合併して誕生した西東京市。「永住したい西武新宿線沿いの街ランキング2024」で1位に選ばれたこともあるのが田無だ。鉄道利用で新宿まで20分圏内で、急行も停車するため通勤にも便利。広い緑地公園が多く、子育て世代からの支持も厚く、暮らしやすさと将来性のある街として注目されている。(フリージャーナリスト福﨑 剛)

西武新宿線の人気エリア「田無」

田無駅の様子(写真:筆者撮影)
田無駅の様子(筆者撮影)

 コロナ禍を経て、住みやすい、暮らしやすいエリアや人気沿線にも変化が起きている。そんななか、大規模再開発が進む新宿へ約20分でアクセスできる西東京市が注目を集めている。

 2024年にあるサイトで集計された永住したい『西武新宿線』沿いの街ランキング」の第1位に田無も選ばれている。西東京市は東西に西武池袋線、西武新宿線が走っており、各線との接続には鉄道がないため南北の移動はバスやクルマを利用する必要がある。

 しかし、田無駅を起点に西東京市を見ると、駅の北側には東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林や、スポーツ施設や遊技設備が充実した西東京いこいの森公園がある。高い建物が多くないため、空が広がった印象がする。駅から少し歩けば、戸建ても多い住宅街が広がっている。一方、駅の南側は北側と比べると店舗も少なく、にぎやかさはないがそれだけに閑静な住宅地となっている。

西東京市は、住環境のバランスが人気!

 西東京市は、東に練馬区、南に武蔵野市と隣接している。また、小金井市と東久留米市に囲まれた、閑静な住宅街が広がっている。市内には、世界最大級プラネタリウムの多摩六都科学館、電波塔のスカイタワー西東京、ひばりが丘団地、東伏見稲荷神社、田無神社など見どころも多く、ちょっとしたまち歩きにほどいい広さ。また公園緑地が多い。

田無駅前、駅改札から続くペデストリアンデッキから見た駅の北口側(筆者撮影)

 田無駅北側のショッピングモールとしては、エミオ田無、商業施設と住宅を合わせたASTA(アスタ)がある。エミオ田無は飲食店や食品スーパーが中心で、ASTAはショッピングセンターと集合住宅から成る複合商業施設で、駅前で生活必需品を揃えることができる。
 
 駅から6分ほど歩くと、新東京百景にも選ばれた、田無山 総持寺があり、さらに近くにある田無神社は、水を司る五色の龍神を祀っていることもあって、パワースポットとして訪れる人が多い。

(左)新東京百景にも選ばれている、田無山 総持寺(右)その近くにある五龍神を祀る田無神社は参拝者も多い(筆者撮影)


暮らしやすさは緑地空間にある

 西東京市は2024年に「第2次みどりの基本計画〜みどりと人が関わり健康なまちを未来へ 西東京」として独自の基本計画を発表している。それによれば市内の概算の緑被率(りょくひりつ)は平均で25.3%。この緑被率は一定地域における緑地の面積割合を指す言葉で、都市計画や環境保全の指標として使われている。
 
 南側に接する武蔵野市が約24.3%の緑被率なので、西東京市が1%高いことになる。といっても、質の高い緑地かどうかも気になるところだ。じつは、田無駅の南西側に向かって住宅街の中を進むと、国土交通省が「まちづくりGX」の一貫としてスタートさせた優良緑地確保計画認定制度「TSUNAG」(※)の第1回に認定された「MUFG PARK」(三ツ星)がある。

(※)優良緑地確保計画認定制度「TSUNAG」:「TSUNAG(つなぐ)」認定制度は、都市緑地法に基づき、民間事業者などによる良質な緑地の確保を、国土交通大臣が「質」と「量」の両面から評価・認定するものである。気候変動対策や生物多様性、ウェルビーイングの向上などを目的とし、2025年3月18日に第1号として14件が認定された。

MUFGパークの様子。パーク内は散歩にも快適で、さわやかな緑地がひろがる。開園時間8:00~18:00(※7月1日~8月31日の期間中は8:00~20:00)(写真:筆者撮影)
MUFGパークの様子。パーク内は散歩にも快適で、さわやかな緑地がひろがる。開園時間8:00~18:00(※7月1日~8月31日の期間中は8:00~20:00)(写真:筆者撮影)
MUFGパークの様子。パーク内は散歩にも快適で、さわやかな緑地がひろがる。開園時間8:00~18:00(※7月1日~8月31日の期間中は8:00~20:00)(写真:筆者撮影)
MUFGパーク。公園内にはさわやかな緑地が広がっている。開園時間8:00~18:00(※7月1日~8月31日の期間中は8:00~20:00)(筆者撮影)

 ここは緑環境(Nature)、スポーツ・健康増進環境(Sports)、交流・交歓環境(Communication)を備え、地域の「新しい交流広場」として市民に開放されている緑地公園になる。テニスコートやBBQ広場など有料施設もあり、ほかにはない市民の憩いの空間として存在感を増している。

(写真左)気ままに好きな本を読める憩いのスペース「まちライブラリー」(写真右)広いパーク内にはやテニスコート11面、天然芝のグラウンドもある(写真:筆者撮影)(写真左)気ままに好きな本を読める憩いのスペース「まちライブラリー」(写真右)広いパーク内にはやテニスコート11面、天然芝のグラウンドもある(写真:筆者撮影)
(左)気ままに好きな本を読める憩いのスペース「まちライブラリー」(右)広い公園内にはテニスコート11面、天然芝のグラウンドもある(撮影:筆者)

 西東京市には、もう1か所「TSUNAG」の第1回の認定(一ツ星)を得た緑地がある。そこが「シチズン時計東京事業所(CITIZENの森)」である。こちらは企業の事務所敷地のため一般公開されていないものの、地域貢献として小学生の社会科見学などのコースを設けている。
 
 このように、市内に優良緑地に認定された質の高い緑地空間が注目されいるのだろう。これからは優良緑地が、幅広い世代にとって暮らしやすさの指標になっていくのかもしれない。

新宿、吉祥寺への便利なアクセス

 西武新宿線の田無駅は急行も停まり、新宿まで20分足らずでアクセスできる。市内の西武池袋線、西武新宿線以外にも、JR中央線吉祥寺駅を利用するには、発着本数の多いバスを使える。西武バス、関東バス、そしてコミュニティバス「はなバス」の3つがある。
 
 車を利用する人にとっては高速道路の入り口も気になるところだが、すぐ隣の練馬区にある大泉インターチェンジ(関越道・外環道)が利用できる。日常に必要な移動手段が整っている点も、住みやすい、という評価になっているようだ。

田無の不動産価値は?

 質の高い緑地空間も多く、永住したい人が増えているのも納得できる。では、地価はどうなのか?

質の高い緑地空間も多く、永住したい人が増えているのも納得できる。では、地価はどうなのか?

 ダイヤモンド不動産研究所の別ページ「東京都西東京市の土地価格推移・相場は? 10年後は+4.5%を予想!」では、土地価格の推移と相場の予想があるが、西東京市は10年前と比べて4.0%増しており、坪単価も243万円となっている。周辺エリアの過去10年間の平均増減率が1.5%増に比べても4.0%増はかなり有望なこともうかがえる。

 また、国土交通省の地価公示(令和7年1月1日)では、田無駅から約850mの西東京市南町3丁目の住宅地が1㎡あたり33万6000円(前年比+3.4%)**と公示され、安定した地価上昇が続いている。

参考までに、以下は同地点の地価推移(※図表参照)であり、近年は安定的な上昇傾向が続いていることがわかる。

出典:国土交通省 地価公示データより作成

 
 最後に付け加えるなら、西東京市は武蔵野台地の中央部に位置しており、地震など自然災害の被害リスクも低い。そういう意味でも安心して暮らせる地域のひとつと言っていいだろう。

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