「さいたま新都心」の不動産は”買い”なのか? 「さいたま新都心」は県庁をはじめ、大きなコンサートやスポーツイベントで賑わう「さいたまスーパーアリーナ」や大型ショッピングモール「コクーンシティ」、「イトーヨーカドー」が集積し、注目を集めている。そこで今回は、「さいたま新都心」の不動産価値を分析してみた。(フリージャーナリスト・福崎 剛)
2000年に誕生!さいたまの新しい街「さいたま新都心」
「さいたま新都心」は、2000年(平成12年)5月5日に街開きが行われた新しい街で、埼玉県内でも有数のビジネス拠点として知られている。もともと国鉄時代の大宮操車場跡を有効活用してつくられ、合同庁舎のほか赤十字病院や大型ショッピングモール、さいたまスーパーアリーナのほかビジネスオフィスが集積するインテリジェントビルなどが駅に直結している。
さいたま新都心駅には、「宇都宮線」「京浜東北線」「高崎線」の3路線が乗り入れており、東京駅までなら30分で結ぶといった利便性もある。
「住みたい街ランキング2019」でも人気上昇
東京のベッドタウンとして発展して来た埼玉県。住宅地として注目を集めてきたのは、東京に近くて、交通の便が良い、所沢・川越・浦和などだった。
一方で、新幹線の開通以降停車駅としての存在感がある大宮は、「住みたい街ランキング2019」(SUUMO調べ)のTOP5にランクイン。2001年(平成13年)には、大宮市と浦和市、与野市の3市が合併して「さいたま市」となり、開発が進められている。
これまで埼玉県民の間では「浦和」派か、「大宮」派に分かれていたといわれる。浦和レッドダイヤモンズVS大宮アルディージャということではない。住民の意識の違いである。県庁所在地かどうか、教育レベル、駅前商業施設、新幹線が利用できるか、といったところで、それぞれの地域である種の戦いが繰り広げられていたようだ。
「さいたま新都心駅」は、そうした状況にも配慮して開発されたともいえる。埼玉県全体における首都機能を分担する役目や、ヒト・モノ・情報が行き交う新都心を目指してつくられた新しい街だ。そんな「さいたま新都心」は、2017年の「住みたい街ランキング」では63位と、目立った印象ではなかった。ところが、2018年には29位、2019年には23位へと着々と順位を上げているのは、新しいトレンドを感じさせる現象だ。
「さいたま新都心」は、新しい街・新しい駅であるために、これまで住宅地の供給が充分とはいえなかった。駅周辺の土地は、ペデストリアンデッキで、合同庁舎や、映画館を含む商業施設「コクーンシティ」を結んだ区画で占められており、住宅地までは少し離れた距離にならざるを得なかったからだ。しかし、駅から徒歩15分圏内に1000戸規模の大型マンションが分譲されるなど、住宅地としてのニーズも高まってきている。
土地価格相場は、割高か?
・尾久 194.9万円/坪
・浦和 158.3万円/坪
・さいたま新都心 139.3万円/坪
・南浦和 128.1万円/坪
・赤羽 133.6万円/坪
・大宮 128.5万円/坪
・与野 112.1万円/坪
(出所:住宅情報サイトSUUMO)
注目のさいたま新都心の不動産価値はいくらだろうか。「さいたま新都心」の土地価格相場は139.3万円/坪で、JR京浜東北線沿線で比較すると「浦和」の次に高い。新幹線の駅があり、交通利便性で評価された「大宮」は、「南浦和」とほぼ同じで約128万円/坪だ。
JR宇都宮線沿線で比べると、都内の「尾久」が最も高く195.4万円/坪。人気のある「赤羽」は、「さいたま新都心」と比べて、坪あたり5万円ほど土地相場価格が低い。「赤羽」は、駅の東側に低湿地帯が広がるため、相対的に安いのかもしれない。
国土交通省の地価公示を見てみよう。さいたま新都心は、前年と比較して約2〜7%近い上昇が見られる。例えば、さいたま新都心駅より60m離れた「さいたま市大宮区吉敷町4丁目」は、地価146万円/㎡で、前年比7.3%超えの上昇だ。駅から1000mほど離れる「さいたま市大宮区北袋町1丁目」の価格は、27万1000円/㎡で、前年比約3%の上昇がみられた。さいたま新都心駅付近の土地は、近年上昇傾向にあることが伺える。
駅近でも、マンション開発は活発
浦和よりも土地価格相場は割安であることはわかった。では、さいたま新都心での不動産開発、とりわけ新築マンションには、どういうものがあるのだろうか。2020年に竣工する2つの新築物件があるので、取り上げてみよう。
1つ目が「ザ・パークハウス 大宮吉敷町」だ。すでに完売に近く、残りは3戸になっている。地上14階の中高層のマンションで、総戸数が66戸。全戸南に面した3LDK(70㎡前後)で、ファミリータイプだ。緑の多い氷川参道の美しい景観があり、周辺環境は静か。徒歩9分で大宮駅も使える利便性も評価が高い。
外観は和とスタイリッシュな美の融合をフレーズにしているように、本格子をイメージしたバルコニーの手すりや、石状吹きつけタイルで、洗練されたデザインに統一している。住戸は、収納率10%以上のゆとりある収納スペースを用意している。
そして、もう一つは、さいたま新都心駅から徒歩5分の立地に分譲される「シントシティ」だ。こちらは総数1000戸の大型分譲マンションとして注目され、特に共用施設やサービスの充実度で注目を集めている。例えば、住人専用のコンビニが設置されるほか、ゲストルームも5つ用意されており、敷地内全体が居心地のいいコンフォートゾーンとなっている。これはスケールメリットがあるから実現できる空間利用で、大型マンションならではの魅力だ。
整備された中庭には、さまざまな施設を集約した共用棟「センターテラス」、緑豊かなエリアの「センターフォレスト」を配し、リラックスできる空間を演出。このスペースは、子どもたちの安全な遊び場にもなる。さらに敷地内に子育て支援施設も設けられる予定で、子育てファミリーには魅力的な共用施設、サービスがそろう予定だ。このほか、コンシェルジュサービスが受けられ、管理人が24時間常駐でセキュリティー面でも安心できる。
住戸は3LDKタイプが中心で、ゆとりのある72㎡台。キッチンや洗面所、浴室、トイレの水回りエリアは広めに空間を取った設計になっている。
シントシティの分譲価格だが、7月中旬販売(第2期)では、3LDK、4LDKが4300万円台~7000万円台(予定)。最多価格が5400万円台となっている。
大宮や浦和で同じような間取りのマンション相場が7000万円近いことから、さいたま新都心駅から徒歩5分のシントシティは、割安だといえるだろう。同じ予算で考えるなら、シントシティの4LDKの購入を検討してみたい。
◆ SHINTO CITY(シントシティ)(販売中) | |||
価格 |
4,403.9996万円~5,757.8329万円 *建物価格に消費税10%相当額を含みます。 |
完成時期 |
2020年12月中旬予定(※1街区の建物竣工時期。2街区については、2021年12月中旬(予定)) |
交通 | 京浜東北・根岸線「さいたま新都心」駅徒歩5分 他 | 所在地 | 埼玉県さいたま市大宮区北袋町一丁目601番1(地番) |
間取り | 3LDK | 専有面積 | 66.40㎡ ~ 76.03㎡ |
総戸数 | 1000戸 | 来場者数 | _ |
売主 | 東京建物株式会社八重洲分室、住友不動産株式会社、野村不動産株式会社、近鉄不動産株式会社 首都圏事業本部、住友商事株式会社、東急不動産株式会社 | 施工会社 | 株式会社長谷工コーポレーション |
教育なら浦和、商業なら大宮
近隣の浦和駅周辺には国立の「埼玉大学」があり、県立トップ校の「浦和高校」「浦和一女」のほか、中高一貫校「市立浦和」、私立一貫校「浦和明の星」「浦和ルーテル学院」などがそろう。県内の文教地区という意味では、浦和は教育環境に恵まれている。大宮は商業施設が集積しており、ビジネスの拠点として高い利便性を誇る。
しかし、さいたま新都心はまだ新しい街で、すべての面で将来性がある。実際、「21世紀の彩の国」をリードする街として新しく作られているため、現在も発展途上段階だといえる。その点を、期待するのか、浦和や大宮といったすでに特色ある地域を選ぶかは、個人の考え方次第だろう。
これからの将来性を裏付ける動きとして、「さいたま新都心将来ビジョン(調査検討報告書)」がある。2025年に向けて県が取り組んでいる、さいたま新都心の開発計画だ。その中で、大規模な土地利用転換で機能集積の誘導をはじめ、大宮駅周辺地区と一体的な都心とするための回遊動線を確保することで、大宮駅周辺の交通拠点機能を分担し、観光振興や商業業務施設の誘致を図ろうとしている。
例えば、大宮駅へ向かう氷川参道と中山道の間にある氷川緑道西通りの拡張が始まっており、渋滞緩和や災害対策のための電線の地中化なども進みつつある。このほか、大規模商業施設が建設されている「コクーンシティ」についても、第三期開発計画への期待が集まっている。
子育てファミリーには課題あり?
さいたま市全体について言えば、子育て支援をしていく姿勢は感じ取ることができる。例えば「子育て支援医療費助成制度」。これは、中学校卒業まで所得制限なしで通院・入院にかかる医療費の自己負担分をさいたま市が全額助成するというものだ。
最大の課題は、保育所等利用の待機児童数をゼロにすることだが、さいたま市では2019年4月1日現在、393人の待機児童がおり、前年度よりも78人も増えている。さいたま市が2001年(平成13年)に誕生した当時、人口は約103万5000人だったが、その後も人口は増え続け、2018年(平成30年)には130万人を突破した。特に子育てファミリー世代が増えていることから、保育園の整備を増やしても追いつかない現状がうかがえる。
子育てに対する前向きな姿勢はあるものの、現状、充分とはいいがたい。早急に待機児童対策を進めることが必要だ。
まとめ ~さいたま新都心は、駅10分以内の物件がおすすめ
新しい彩の国のモデル都市としてスタートした「さいたま新都心」。駅の周辺には大型ショッピング施設やスタジアムがそろい、先進的な都市機能がある。高層マンションが次々に建設中で、今後は駅近の物件に人気が集まるのは必至だ。
2〜7%の地価上昇が続いてきた今、これから5年先を見据えた居住地選びをするなら、さいたま新都心は大いに狙い目と考えていいだろう。
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