三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産の不動産大手3社には、数年に一棟分譲される、極めて希少性の高い最上級ブランドマンションがある。庶民には簡単には手が届かない住まいだが、それだけにどんなマンションなのか気になるところ。それぞれのブランドマンションの特徴を見てみよう。(住宅ジャーナリスト・山下和之)
三井不動産レジデンシャルの
「パークマンション」「パークコート」
三井不動産レジデンシャルの「パークマンション」は、わが国を代表するマンションブランドの最高峰といっていいだろう。「素晴らしい立地にあること」「時代に先駆けた新しい提案があること」「建物に品格を備えていること」、この3つの条件を満たす最高レベルのマンションだけに、「パークマンション」の名称が冠される。常に最上を目指した“唯一無二”と呼べるマンションだ。
“唯一無二”と呼べる世界に誇れる最高級マンション
たとえば、パークマンション第1弾である1971年に誕生した『三田綱町パーク・マンション』は、日本初の超高層マンションだ。また、2004年の『パークマンション千鳥ヶ淵』は、その立地の希少性もさることながら、土・石・漆などの日本の匠の技を取り入れ、新しい質感による空間づくりが話題になった。
パークマンションの所在地は、千鳥ヶ淵、麻布、白金など、地名だけで「ブランド」といえる場所に立つ、時代に先駆ける新しさ、品格がある住まいであり、まさにわが国が世界に誇れる最高級マンションといっていいだろう。
世界の一流ホテル並みのバトラーサービスも
しかし、立地、品質などあらゆる面で最高峰を求める以上、開発は簡単ではない。近年では、2017年竣工の『パークマンション檜町公園』以来、供給が途絶えており、三井不動産レジデンシャルに確認しても、「いまのところ分譲予定はない」としている。
この『パークマンション檜町公園』は、東京都港区六本木4丁目にあり、旧毛利藩の屋敷があった檜町公園、赤坂氷川神社などに囲まれた、都心のなかでも有数の緑を誇るエリアにある。高級ホテルを思わせるエントランスでは、常にコンシェルジュ2名、ドアマン2名、ポーター1名が待機、来訪者に対しては名乗って挨拶してくれる。1階のラウンジで話していると、ドリンクサービスでコーヒーを出してくれるなど、まさに高級ホテル並み、いや、それ以上のバトラーサービスと呼んでもいいぐらいのおもてなしだ。
パークマンション檜町公園は、地上8階・地下2階建ての総戸数45戸のマンションだが、実は、分譲時には各種の広告を行っていない。三井不動産グループの会員制サロンなどを通じて完売したようで、分譲価格も公表されていない。一説では最上階のプレミアム住戸は500平方メートル台で、55億円だったという話もあるが、さて真偽のほどはどうだろうか。
「パークマンション」に次ぐ「パークコート」
最近、分譲実績が途切れている「パークマンション」に次ぐブランドとして注目しておきたいのが「パークコート」シリーズ。「パークマンション」同様に、多くの人の憧れとなる歴史ある住宅地に立地する。豊かな緑あふれる環境にあって、交通の便がよく、都心ならではの感性豊かな生活を送れる住まいを目指している。
ただ、「パークコート」では、大げさなラグシュアリー感ではなく、高いクオリティーに裏打ちされた美質のたたずまいを重視、正統派の品格ある住まいを追求している点が、「パークマンション」とは異なる点といってもいいかもしれない。
たとえば、写真にある2018年竣工の『パークコート青山 ザ タワー』は外苑通りに面し、青山霊園、明治神宮外苑、赤坂御用地の広大な緑に囲まれたエリアにあり、ブルーのガラスと緩くカーブする白い水平ラインで構成される独特のフォルムが、地域のランドマークとなっている。
この「パークコート」シリーズは、現在も『パークコート千代田四番町』『パークコート虎ノ門』などが販売されている。
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三菱地所レジデンスの
「ザ・パークハウス グラン」
三菱地所レジデンスの「ザ・パークハウス グラン」は、2013年分譲の『ザ・パークハウス グラン 三番町』を第1弾とする、「ザ・パークハウス」のフラッグシップシリーズだ。
その開発に当たっての考え方の基本として、三菱地所レジデンスでは「その技術や仕様、素材等あらゆる面においてクオリティを妥協なく追求し、美意識や五感に響く住まいの理想を形にし続けます」としている。
具体的な物件開発コンセプトは、①都心の希少立地、②最高水準・最高品質の住まい、③最高水準の暮らしのサポートの3本柱になっている。
ちなみに、名称の「グラン」は、フランス語で壮大な、雄大なという意味を持つ「Grand」にインスピレーションを得たネーミングだそうだ。
都心のひときわ住環境に恵まれた立地に限定
①の都心の希少立地に関しては、マンション供給が希少な都心のなかでも、景観、静粛性、敷地形状などを総合的に判断し、都心のフラッグシップにふさわしいと認められる立地に限っている。
2013年からこれまでに分譲された6物件をみると、いずれも東京都千代田区の番町エリア、東京都港区の青山、麻布など3Aエリアのなかでも、ひときわ住環境に恵まれたエリアとなっている。
②の最高水準・最高品質の住まいに関しては、「ザ・パークハウス」シリーズでも最高水準の仕様を採用し、各住戸は永住を視野に入れて、すべてにゆとりのあるぜいたくな間取り、高級感と余裕のある共用部で、エントランスには車寄せが設置されていることなどがベース。加えて、オーダーメイド対応、ペントハウスの設置、免震工法など敷地条件にあわせた最適なものを採用する。
③の最高水準の暮らしのサポートでは、24時間有人管理、コンシェルジュサービス、ニューライフアドバイザー、レジデンスケアの導入などでの手厚いサービスを提供している。
代表作は、
「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」
三菱地所レジデンスがこの「ザ・パークハウス グラン」の代表作として挙げるのが、下の写真にある、東京都千代田区三番町の『ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵』。皇居の森を南東面に臨み、全住戸から千鳥ヶ淵越しに皇居の緑を一望できる配置計画を実現している。
外観も「軒」「庇」といった伝統的な日本建築を継承したデザインを採用、千鳥ヶ淵の風景に調和して、連続性を確保、地域に溶け込むように配慮されている。
災害対策として免震構造を採用し、防災備蓄倉庫を設置、コンシェルジュサービスのバイリンガル対応、24時間有人管理、4重セキュリティーなど、ハード・ソフト両面で快適な暮らしをサポートする仕組みが導入されている。
2015年の竣工で、建物は鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造の地上14階・地下2階建て、総戸数が73戸。設計は三菱地所設計と竹中工務店で、施工は竹中工務店という最強の組み合わせ。専有面積は72㎡台から179㎡台で、分譲時価格は全戸1億円以上、最多価格帯2億7000万円で、最高価格が5億4200万円だったが、平均倍率5倍以上、最高倍率13倍で即日完売した。人気の番町アドレス、「全戸皇居向き」という希少性が高く評価された。
最近の取引実績をみても、3.3㎡当たりの坪単価1100万円台から1200万円台で売り出された事例があり、高い資産価値を維持している。
なお、三菱地所レジデンスによると、いまのところ『ザ・パークハウス グラン』シリーズの新規分譲予定は未定とのことだった。
住友不動産の
「グランドヒルズ」
全国の新築マンション供給戸数6年連続トップの住友不動産のなかでも、「グランドヒルズ」シリーズは別格に位置づけられるフラッグシップ。これまでの実績は、1985年の「六甲グランドヒルズ」を皮切りに、全国で約40棟、うち東京は約20棟に限られる。
都心立地でもひときわ恵まれた“特等席”のマンション
先の「パークマンション」「ザ・パークハウス グラン」と同様に、地名を聞いただけで誰もが憧れる人気住宅地を主要ターゲットとしている点は変わらないが、同社で「グランドヒルズ」の企画に携わってきた、住宅分譲事業本部本部長補佐・猶原博氏はこう説明する。
「東京では都心の人気住宅地のなかでも、特にそのエリアの人たちの興味、関心を引く恵まれたポジションにある、“特等席”ともいうべき立地にあることが条件といっていいでしょう」
具体的には、「高台」や格調高い公園、由緒ある庭園などに面している希少性の高い立地が多い。たとえば、2003年竣工の『グランドヒルズ目白御留山』はおとめ山公園に、2004年竣工の『グランドヒルズ白金台』は八芳園に面するなど、豊かな緑に恵まれたエリアやヒルトップに位置する。
立地特性を最大限に享受できる企画が可能であること
そんな高級住宅地の高台でも、主開口部に公園や庭園、第一種低層住居専用地域などの緑に恵まれた空間が広がり、高い建物がなく、開放的で眺望が開ける立地が多いのも大きな特徴。
隣接地に公園が広がっていても、そこに背を向ける建物しか企画できない立地では意味がない。特等席の立地で、プランニングに活かせるような条件が揃っていることを重視しているのだ。
その上で、共用部にこだわっている。前出・猶原氏はこう語る。
「専有部の内装などは『グランドヒルズ』をお求めになるクラスのお客さまなら、後から自分でいくらでも変更可能です。出来上がったばかりの内装をいったんスケルトンにして、一から自分の好きなように作り替える人もいます。しかし、共用部はそうはいきません。だからこそ、外観からエントランス、車寄せまで徹底的な完璧さを求めて、こだわって仕上げています」
たとえば、外観に関しては、天然石とガラスウォールが特徴の重厚かつエッジが利いたデザインが多い。単に既存の街並みに調和するだけではなく、調和しながらも品よく際立ち、エリアのシンボルとなるようなトラディショナルモダン。同社が標榜する「光景(シーン)となる象徴(シンボル)」を体現するようなデザインといっていいだろう。
都心のヒルトップに2つの「グランドヒルズ」誕生
現在、グランドヒルズでは、『グランドヒルズ目黒一丁目』と『グランドヒルズ南青山』が販売中だ。
下の写真にある『グランドヒルズ目黒一丁目』は、JR山手線などの目黒駅から徒歩6分、広大な緑を誇る自然教育園をバックに、桜で知られる目黒川を見下ろす、標高約21.3メートルのヒルトップに近い閑静な住宅地に位置する。
2020年11月下旬販売開始予定の第2期は、専有面積100㎡台~120㎡台の、2LDKまたは3LDKの間取りで、販売戸数、販売価格は未定となっている。
一方、『グランドヒルズ南青山』は、表参道、麻布、六本木、広尾など東京のトレンドを形成するエリアの中核に位置し、刺激的な華やぎのかたわらにある邸宅地のなかに誕生する。
閑静な住宅街を南に見下ろす高台に、新たなランドマークとなる地上18階建てで、ブラウン系の自然石とブルーに映えるサッシやバルコニーのガラスの組み合わせが凛(りん)とした、たたずまいをみせている。
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こちらは2020年11月現在、先着順受付販売中。専有面積は41㎡台~84㎡台で、価格は8500万円台~1億8500万円台。「グランドヒルズ」としては珍しく、コンパクトタイプの1億円以下の住まいが含まれている。
この「グランドヒルズ」シリーズ、次は再開発で注目度が高まる虎ノ門でも開発が進められており、今後の販売が楽しみだ。
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