今、売るべき物件買うべき物件

晴海フラッグ賃貸棟「PORT VILLAGE」は借りても住みたいマンションか? 専門家が検証してみた

2023年12月21日公開(2023年12月25日更新)
櫻井幸雄:住宅評論家

何かと話題の「HARUMI FLAG(ハルミ フラッグ)」。その賃貸棟「PORT VILLAGE(ポート ビレッジ)」の入居者の募集が2023年9月から始まった。入居は2024年1月から開始される予定で、実は分譲棟よりも少しだけ早い。分譲棟は相場よりもだいぶ安い価格で高倍率だったが、賃貸棟どうなのか。その特色と魅力……ズバリ、借りてでも住みたいマンションなのかを賃料も含めて検証したい。(住宅評論家・櫻井幸雄)

話題になった「HARUMI FLAG」の賃貸棟「PORT VILLAGE」とは?

晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の約56㎡/2LDKモデルルーム(筆者撮影)
晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の約56㎡/2LDKモデルルーム(筆者撮影)

 中央区の湾岸エリアに所在する「HARUMI FLAG」(以下、晴海フラッグ)には、合計で20に及ぶマンション棟がある。その大部分を占めるのが、東京五輪のときに選手村として使われた建物を転用したもの。いわゆるリノベマンションだ。

 他に、東京五輪が終わった後に建設が始まった超高層棟が2棟「晴海フラッグSKY DUO」として現在分譲中となっている。

 旧・選手村のリノベマンションは、分譲棟と賃貸棟に分かれており、分譲棟は2023年春、大人気のうちに販売が終了した。旧・選手村のリノベマンションで残っているのは賃貸棟。これは4棟あり、4棟の街区は「PORT VILLAGE(以下、ポートビレッジ)」と名付けられている。

 晴海フラッグの中でも東南側で、晴海トリトンスクエアや勝どき駅に近いサイドに位置する。

【関連記事】
話題の「晴海フラッグ」、なぜこんなに盛り上がっているのか? 転売ヤーからでも買うべきか?

立地は良いのか、悪いのか

 まず最初に、立地の便利さについて検証したい。

 晴海フラッグ全体についての問題点とされているのが、「あそこは不便だよ」ということだ。ポートビレッジの場合で、都営大江戸線勝どき駅から歩いて14分から16分(棟によって異なる)かかることが理由である。

 実際に歩いてみると、ほぼ平坦な道(つまり上り下りが少ない)で、幅広の歩道が整備されているため、思ったほど遠いとは感じなかった。
 
 しかし、毎日往復しなければならないとなると、重荷になる距離だ。雨や雪の日、そして猛暑の日は「もういやだ」となりかねない。
 
 ただし、晴海フラッグには別の交通手段がある。2両連結のバスといった風情のBRT(バス高速輸送システム)だ。BRTは現在一部ルートをプレ運行中だが、その評価はすこぶるよい。専用レーンを通り、走行に合わせて信号が青になるシステムを備えているので早いし、時間が読める。
 
 晴海フラッグからは「選手村ルート」が予定されており、「新橋」や「虎ノ門ヒルズ」と直結する。その所要時間はまだ公表されていないのだが、プレ運行しているルートから推測することができる。

写真を拡大 「HARUMI FLAG」の賃貸棟「PORT VILLAGE」の交通手段、BRTの運行ルート予定図(出典:公式ホームページから)

 「新橋」からの距離でいえば晴海フラッグよりも離れている「豊洲市場前」の場合、「新橋」までの所要時間は10分だ。選手村ルートは晴海フラッグ内を回るため、単純に「10分よりも早い」とはいえないが、新橋まで10分、もしくは10分より早く着く可能性が高い。
 
 BRTは2024年春には本格運行される見通しなので、交通不便かどうかは、それを待って判断すべきだろう。

 本格運行後、BRTが予想外に使いにくく、期待外れだった場合も、賃貸暮らしなら、見切りを付けて引っ越すこともしやすい。逆に、絶賛されるほど高評価だった場合、一気に入居希望者が増える可能性もある。

 BRTが運行される前に借りるかどうかを決めなければならない場合、これは悩みどころとなるだろう。

分譲ではなく、賃貸で「晴海フラッグ」に住む魅力とは

 次に、賃貸で晴海フラッグという場所に住む魅力を検証してみたい。
 
 じつは、ここが同マンションの大きな強みとなる。晴海フラッグでは、住宅とともに大規模な買い物施設と小中学校が新設される。加えて、公園の緑も豊富だ。そのことに魅力を感じて分譲棟の住戸を購入した人が大勢いた。

 買い物施設としては、「三井ショッピングパーク ららテラス HARUMI FLAG」が2024年3月に開業する。都内最大級の「サミットストア」をはじめ40の店舗がオープンする予定で、その中には東京都初進出の飲食店、ショップも含まれる。
 
 この買い物施設以上に、子育て世帯を引きつけるのが、晴海フラッグ内に新設される小中学校「晴海西小学校」と「晴海西中学校」だろう。2校は中央区において、約40年ぶりの新設校となるのだが、それ以上に注目したいのは、「湾岸エリアに新設された小中学校はどこも大人気である」という事実だ。

 学校のつくり方に新しい工夫が多く、教師の評判も良い。そのことを知っている子育て世帯は、子供が小学校から中学校まで晴海フラッグに暮らしたい、と考えて不思議はない。他の地域にマイホームがある場合、マイホームを貸して、自分たちは子供のためにしばらくは晴海で暮らす、というケースでも賃貸なら身動きを取りやすい。

 三浦半島と房総半島に囲まれた東京湾内ならば、大地震でも大きな津波の心配はなく、湾岸エリアでは地震による液状化が起きにくいことも東日本大震災のときに実証されている。

 潮風のため、さびが生じやすいという問題はあるが、賃貸ならば、それを心配しなくてもよいだろう。以上を考えると、晴海フラッグ賃貸棟は立地の魅力が多いことになる。

 しかし、注意しなければいけない点もある。それは眺望についてだ。晴海フラッグの分譲棟では「海を眺める住戸」が多くあり、それも人気の理由になったのだが、賃貸棟は事情が異なる。目の前に海が広がる住戸はないのだ。

 A棟、B棟は海が見える場所ではなく、C棟、D棟は目の前に分譲棟があるため、その横から少し海が見える程度となる。

晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の建物の特徴

 次に、建物の特色について。晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」は、地上15階〜17階・地下1階の建物4棟で構成され、総戸数は1487戸となる。
 
 その特徴は、約7000㎡もの広さの中庭があり、交流や憩いの場として利用できること。そして、大浴場やフィットネスルーム、防音のシアタールームなど共用施設が充実すること。クリーニングや宅配便の取り次ぎや備品貸し出しなどを行ってくれるコンシェルジュサービスも用意されている(一部は有料)。

晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の中庭の様子(筆者撮影)
晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の中庭の様子(筆者撮影)

 分譲マンション並みの共用施設・サービスを備えているのだが、そのために、家賃とは別に管理費が徴収される。管理費は約28㎡の1DKで月額1万5000円、約71㎡の3LDKで2万円など。家賃は後述するとおり、決して安くはない。それに加えて管理費が設定されていることで、入居のハードルはさらに上がっている印象だ。

 建物の長所としては、全体的にゆとりがあること。各棟に立派なエントランスがあり、建物内は内廊下方式となるのだが、その内廊下が広い。それは、東京五輪・パラ五輪の選手村として使われたときの名残。車いすの選手が無理なくすれ違うことができるようになっているわけだ。

晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の建物内の廊下(筆者撮影)
晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の建物内の廊下(筆者撮影)

 このほかB棟には、広い保育施設が設けられている。保育施設は中央区の認可保育園として運用される予定。認可保育園であるため、周辺住人も利用できる。晴海フラッグの住人であっても優先権はなく、希望者が多いときは抽選になる。せっかく同じマンション内に保育園があるのに、利用できないケースもあるわけだ。小さな子供がいる世帯では、その点、覚悟しておくべきだろう。

晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の保育施設(筆者撮影)
晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の保育施設(筆者撮影)

賃貸棟、住戸の特徴と家賃について

賃貸棟の戸数と住戸の内訳について

 晴海フラッグ「ポートビレッジ」の総戸数は1487戸。それには一般賃貸住宅のほか、シニアレジデンスとシェアハウスが含まれる。内訳は以下の通りだ。

○一般賃貸住宅 1258戸
○シニアレジデンス 158戸
○シェアハウス 71戸

 以上で、1487戸となる。実際には、個室型シェアハウス71戸とは別に4〜5人で使用するユニット型シェアハウスが114室あり、シニアレジデンスから移り住むためのケアレジデンスが50室あるのだが、それらは戸数にカウントされていない。「戸」ではなく、「室」であるからだろう。

 そのため、正確に住まいの数を記すと、「総戸数1487戸と164室」ということになる。なお、個室型とユニット型のシェアハウスは個人では賃貸契約できない。法人に貸し出され、企業の社宅として使用される想定だ。
 
 シニアレジデンスは自立生活、もしくは軽介護で生活できる高齢者のための住居で、将来介護が必要になったときにはケアレジデンスに移る。つまり、シニアレジデンスの付帯設備としてケアレジデンスが同じポートビレッジ内に用意されているわけだ。
 
 一般の人が賃借できる住戸は1258戸。ワンルーム〜3LDKの構成だが、それとは別にペントハウス(2層メゾネット住戸)が2戸用意されている。
それぞれの住戸数は次の通りだ。

○ワンルーム・1DK 180戸
○1LDK 714戸
○2LDK 248戸
○3LDK 114戸
○ペントハウス 2戸

 以上の住戸構成から分かるとおり、シングル世帯、2人世帯向けの間取り(ワンルーム〜1LDK)が多く、次に多いのが3人世帯までの利用を想定した2LDK。3LDKの比率は低い。これは、晴海フラッグ旧選手村マンションの分譲棟との大きな違いとなる。

 分譲棟の住戸は広かった。60㎡台の2LDKから80㎡を超える3LDK住戸が中心だった。これに対し、賃貸街区の住戸は一部、特殊な大型住戸もあるが、コンパクトな間取りが多くなっている。

 若い世代でも住みやすくしたのだろう。その家賃は、ワンルーム〜3LDKが10万円台から30万円台と公表されている。ペントハウスは広さが約159㎡となるのだが、まだ募集が行われておらず、賃料は未定となっていた。

月額家賃と月額管理費の一例

階数 LDK 広さ(㎡) 金額 管理費
2階 1DK 約28㎡ 11万2000円 1万5000円
15階 1DK 約28㎡ 12万5000円 1万5000円
11階 1LDK 約49㎡ 18万8000円 1万5000円
15階 1LDK 約49㎡ 19万2000円 1万5000円
2階 3LDK 約71㎡ 29万5000円 2万円
8階 3LDK 約71㎡ 30万1000円 2万円

 1LDK以上の住戸を借りようとすれば、管理費を含めて20万円以上を覚悟しなければならない。大手不動産会社が大家さんとなる23区内の賃貸マンション、つまり質の高い賃貸としては標準的な金額なのだが、一般的賃貸と比べると高い水準であることは間違いない。

 ちなみに、中央区の晴海エリアで現在稼働中の賃貸マンションの場合、以下が現在の家賃水準となる。

・30㎡程度のワンルーム、1DKで15万円程度
・50㎡程度の1LDKで20万円程度
・70㎡程度の3LDKで30万円程度 

 以上の水準と比べると、晴海フラッグ賃貸棟の住戸は 

・1DKは、少し安め
・1LDKは、同程度
・3LDKは、少し高め

 と判定されるが、ほぼ標準的な金額となる。

晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の約33㎡/1LDKモデルルーム(筆者撮影)
晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の約33㎡/1LDKモデルルーム(筆者撮影)

 これで、「駅に近い」物件ならば、借りる人も多くなるだろう。しかし、現状は駅から徒歩14分〜16分である。BRTが本格運行するまでは、様子見する人が多くなっても仕方がないだろう。

 住戸バリエーションは多く、このほか家具付きの中期滞在用住戸も用意されている。その住戸内は、一般の賃貸住宅よりもレベルが高い。家賃の額を考えれば当然だろうが、大型のウォークインクローゼットやシューズインクロークが付くなど収納が豊富で、バルコニーの奥行きが2mあるなどゆとりが演出されている。

 一方で、キッチンにはディスポーザー(生ゴミ粉砕処理機)が付かず、24時間ゴミ出しできる集積場が棟ごとに地下の1カ所だけなど、分譲棟と比べると、見劣りする部分もある。

晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の約33㎡/1LDKモデルルーム、キッチンの様子(筆者撮影)
晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の約33㎡/1LDKモデルルーム、キッチンの様子(筆者撮影)
晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の約33㎡/1LDKモデルルーム、キッチンの様子(筆者撮影)
晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の約33㎡/1LDKモデルルーム浴室(1317サイズ)の様子(筆者撮影)

 ちなみに、前述した約159㎡のペントハウスは、賃貸棟ならではのもの。旧・選手村分譲棟ではメゾネット住戸はつくられなかった。だから、メゾネットがあることは、晴海フラッグ賃貸棟の特徴となっている。

晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の約159㎡のペントハウス(筆者撮影)
晴海フラッグの賃貸棟「ポートビレッジ」の約159㎡のペントハウス(筆者撮影)

 晴海フラッグの賃貸棟ポートビレッジは9月下旬から入居者募集が始まり、およそ1カ月で100件超の申し込みがあったという。

 しかし、一般向け賃貸住宅1258戸に対し100件超の申し込みなので、ずいぶん少ない印象を受ける人もいるだろう。分譲棟では100倍を超える抽選になった住戸もあった。その人気ぶりと比べてしまうと、寂しい印象を受けてしまう。
 
 大手不動産会社が大家さんとなる賃貸マンションの場合、家賃の高さから、入居開始とともに全室が埋まるというようなことはない。入居者はゆっくりと集まり、1、2年で満室になれば早いほう。数年で満室までもっていくことが多い。
 
 晴海フラッグのポートビレッジは1000戸以上の戸数があるので、さらにゆっくり埋まっていきそうだ。来年1月の入居以降、照明が付いていない部屋が多いことから「賃貸不人気」と書き立てられる可能性があるのだが、じつはそれは通常の流れなのである。

 

晴海フラッグ分譲マンションの関連記事はこちら 

HARUMI FLAG SKY DUO(物件詳細はこちら)
HARUMI FLAG SKY DUO価格未定
完成時期2023年11月
交通都営大江戸線「勝どき」駅 徒歩16分~21分 【SUN VILLAGE第二工区】18分【PARK VILLAGE第二工区】18分【SEA VILLAGE】16~20分 【SUN VILLAGE第一工区】※1
所在地東京都中央区晴海五丁目502番、503番、504番(地番)
間取り2LDK・3LDK
専有面積54.80㎡~121.66㎡
物件の特徴総戸数4145戸
  • ■HARUMI FLAGに2棟で一対のシンボル、地上50階建の超高層免制震タワーいよいよ登場
  • ■“TOKYO FRONT ROW”東京最前列、希少価値の高いポジショニング
  • ■レインボーブリッジを眼前に、東京の美しい街並みを一望するダイナミックな眺望
施工【SEA VILLAGE】株式会社長谷工コーポレーション【SUN VILLAGE第二工区】前田建設工業株式会社【PARK VILLAGE第二工区】三井住友建設株式会社【SUN VILLAGE第一工区】前田建設工業株式会社
売主■売主・販売提携(代理):三井不動産レジデンシャル株式会社、三菱地所レジデンス株式会社、野村不動産株式会社、住友不動産株式会社、東急不動産株式会社、東京建物株式会社、大和ハウス工業株式会社 ■売主:住友商事株式会社、NTT都市開発株式会社、日鉄興和不動産株式会社
資料請求はこちら
(ライフルホームズ詳細へ)

>>【HARUMI FLAG SKY DUO(晴海フラッグ )】第1期2次の販売価格・間取り大公開! 販売開始は9月下旬を予定(2023年9月更新)
>>「晴海フラッグ」タワー棟は買い? 人気マンションブロガーたちがコスパ最強マンションについて語る!
>>晴海フラッグの転売住戸を買ってもいい? 住宅ローンが通らない可能性があるなど、注意点を要チェック!

  • RSS最新記事
 

注目記事>>新築・中古マンション市場動向は? 注目物件や在庫状況など最新市況を不動産アナリストが解説
 

【注目の大規模物件】 【新築マンションの基礎】
HARUMI FLAG(晴海フラッグ)
三田ガーデンヒルズ
グランドヒルズ南青山
パークタワー勝どきミッド/サウス
ワールドタワーレジデンス
パークタワー西新宿
新築・中古マンションの市場動向
最新の新築マンション相場や価格は?
値引きをする会社はどこ?
「音」のトラブル!遮音性の確認法
管理のチェックポイント
住み心地を決める「階高」
◆新築マンション人気ランキング
TOP