都内のマンション平均価格が1億円を突破。特に湾岸エリアのタワーマンションの価格高騰は顕著で、並のパワーカップルでは手の届かない価格帯に突入しつつある。今回はその湾岸エリアの中でも、タワーマンション高騰の中心地の一つである「勝どき」にスポットを当て、今後の再開発や将来性について、勝どきエリアに長年住んできた筆者が解説しよう。(ライター・七海碧)
なぜ、勝どきエリアが注目されるのか
湾岸エリアの盛り上がりを説明するのに、勝どきエリアは欠かせないパーツだ。今となっては信じられないが、勝どきは1990年代から長らく坪単価100万円台が続いていて、人気がある街とは到底言えなかった。
それが、ここ10年ほどでタワーマンションが立ち並び、今や超高給取りやパワーカップルでなければ、家を購入できないエリアになっている。
株式会社LIFULLが発表した「買って住みたい街ランキング」で、勝どきは5年連続1位を獲得。勝どきエリアが注目されている理由としては、なんといっても立地の良さが挙げられる。
勝どきからは銀座や東京駅、そして六本木や新宿までのアクセスが良好。勝どきから東京駅や銀座、月島までもバス1本で行ける。六本木や新宿は勝どき駅から地下鉄でそれぞれ15分、25分しかかからず、電車・バスの両方が充実しているといえるだろう。
勝どき駅から徒歩2分程度の距離にあるバス停留所「勝どき橋南詰」まで歩くと、バスの種類が増え、新橋、四谷、スカイツリー、東京ビッグサイト方面に移動可能。時間帯にもよるもののバス本数も比較的多く、また、停留所の電光掲示板でリアルタイムのバス位置が分かるので、遅れていても状況が把握できる。
2024年からは、TOKYO BRT※も利用できるようになり、さらに利便性が高まっている。
※東京都心と臨海副都心を結ぶBRT(バス・ラピッド・トランジット)路線
また、スーパーやドラッグストアも勝どき周辺にあるので、日常的な買い物に困りはしないだろう。幹線道路沿いは歩車分離に加えて、歩道が広く平坦なので、子ども連れでも歩きやすい。大きな通りから一つ入った路地でも、ガードレールが設置されている歩道が多いのも特徴的だ。
銀座に近接している都心でありながらも、湾岸エリアという名前の通り、少し歩けば東京湾が見渡せる。タワーマンションなら住んでいる階数や向きにもよるが、部屋の窓から海を見下ろせるだろう。
交通網は発達しており、日々の生活が便利。少し歩けば水辺に行けるなど、人気になる要素を持ち合わせているエリアといえるのではないだろうか。
このようなエリアとしての立地的なポテンシャルの高さに加え、中央区が算出した人口推移では今後も人口は増加するという見通しを立てている。
まだ具体的な計画は発表されていないものの、勝鬨橋(かちどきばし)を渡ってすぐの築地市場の再開発にも注目が集まる。大規模な集客施設ができるとのうわさもあり、近接している勝どきエリアの物件にもプラスの影響が期待できるだろう。
さらに今後、勝どきエリアではいくつかの再開発も予定されており、将来性に期待できるエリアと言える(後ほど解説する)。
勝どきがタワーマンションの街になるまでの歴史
交通利便性や暮らしやすさは優位性があり、多くの人に評価されている勝どき。しかし、1990年代までさかのぼると、勝どきエリアの街並みは現在とは大きく異なる。
都営大江戸線の勝どき駅がある清澄通りと晴海通りの交差点は昔から交通量が多かったものの、勝どき駅自体はまだ出来ていない。今や勝どき駅前のシンボルともいうべき「勝どきビュータワー」のあたりも平屋が並んでいて、お世辞にも賑わいのあるエリアとは言えなかった。
都営大江戸線が開通したのは2000年12月。それから8年後の2008年に勝どき最初のタワーマンションである「THE TOKYO TOWERS」が完成した。
2010年には「勝どきビュータワー」、2016年には「勝どきザ・タワー」が次々に建ち、いつしか、「勝どき=タワーマンションがある街」というイメージを持たれるようになった。
今思い返すと、潮目が変わったのは2000年の勝どき駅の完成かもしれない。筆者の自宅近くにあった「THE TOKYO TOWERS」のエリアは、タワーマンションが建つなんて全く想像できない、がらんとしたただの空き地だった。
「THE TOKYO TOWERS」をはじめ、タワーマンションが増えていく過程で勝どきエリアの変化は感じられたが、2023年、「パークタワー勝どき」の完成は、またワンランク上に引き上げられた感覚がある。
勝どきのマンション相場をけん引している「パークタワー勝どき」
勝どきエリアのタワーマンションは全体的に相場が上がっているものの、ここ最近の大幅な価格上昇局面のきっかけとなったのは「パークタワー勝どき」といっても過言ではない。
2005年には坪単価200万円台後半だった勝どきエリアの中古マンション価格も、いつの間にやら2倍以上になっている。年を重ねるごとに順調に価格は上昇していたが、「パークタワー勝どき」の一次販売時期あたりから大きく上振れをしている。
2020年の1次販売の坪単価のボリュームゾーンは400万円台、わずかながら300万円後半もあった。しかし、2024年2月現在、不動産サイトに掲載されている「勝どきパークタワー」の住戸は、ほとんどが坪単価800万円台となっており、中には1000万円超えの住戸もある。
仮に坪単価800万円で70㎡超の物件を購入しようとすると、約1億7000万円となる。もちろん、販売している価格でまだ成約したわけではないとはいえ、売りに出されている部屋の大半が坪単価800万円以上なのだから驚きだ。
筆者が2020年に勝どきでタワーマンションを探した時の資料が手元に残っている。金額を見てみると、勝どきエリアに直結している「勝どきビュータワー」でも55.36㎡が6,480万円(387万円/坪)。今の相場では坪単価500万円台を下回ることさえ、考えにくいだろう。
勝どきエリアの今後の再開発の予定は?
ここまで大きく進化を遂げてきた勝どきだが、再開発はまだ終わらない。いくつか予定されているプロジェクトを紹介してみよう。
勝どき東地区第一種市街地再開発事業
まず、「パークタワー勝どき」の再開発の一体として行われている「勝どき東地区第一種市街地再開発事業」だ。
「パークタワー勝どき」のミッドとサウスでこのエリアは終了と思っている人も少なくないが、実は、下の写真のようにもう一棟建つ計画になっている。東京都のホームページによると、建築工事完了は2028年10月(予定)だ。
2024年2月現在、B棟のエリアは下の写真の通り、解体中だ。
豊海地区第一種市街地再開発事業
次に注目なのが「豊海地区第一種市街地再開発事業」として建設が進められている「ザ・豊海タワー」だ。
勝どき駅から徒歩10分程度と距離はあるものの、海やレインボーブリッジが見える絶景やラグジュアリーな外観が人気を呼びそうだ。
2027年竣工予定で2024年2月の段階では、下の写真の通り、まだマンションの本体部分はほとんど見えていない。2024年4月以降販売予定で価格発表を待っている状態である(2024年4月現在、施工上の都合により販売予定時期を延期している)。
*モデルルームを内覧すると価格表の一部を入手可能
「都心部・臨海地域地下鉄」構想
まだまだ先ではあるものの、勝どきエリア周辺に好影響が期待されているプロジェクトが控えている。
まず、2040年頃の開業を目指して事業計画の検討がされている、東京(仮称)から有明・東京ビッグサイト(仮称)の臨海地下鉄、「都心部・臨海地域地下鉄」構想だ。
JR東日本が目指している羽田空港までの路線への接続のうわさもあり、さらに便利になることが期待されている。
環状第3号線整備
また、勝どきと芝公園を結ぶ「環状第3号線整備」も楽しみだ。
2024年1月にアップデートされた、東京都が発表している「未来の東京」でも、緊急災害対策や広域医療輸送に関わるとし、早期に整備との記載もあり、期待できる。
環状第3号線の勝どき~芝公園間の整備が終わると、大門方面へ勝どき駅から車で5分程度になる。
2024年4月時点で具体的な工事計画は発表されておらず、着手は早くても2030年代になりそうだ。
まとめ
勝どきエリアはここ20~30年で大きく変わったが、まだまだ大規模プロジェクトは続く。豊洲や月島と同様に湾岸マンションの盛り上がりを語るのに、勝どきの話題は外せない。
1990年代から勝どきエリアで暮らしていた筆者からするとすっかり様変わりしたが、存在感抜群のタワーマンションが建ち、飲食店も増え、こじゃれた街へと変貌を遂げた。
引き続き、「ザ・豊海タワー」といった大規模タワーマンションや、環状第3号線や臨海地下鉄の進捗状況も含め、今後も発展を続けるであろう勝どきエリアから目が離せない。
【関連記事】>>「ザ・豊海タワー マリン&スカイ」のモデルルームを地権者がリポート! 勝どき在住者の視点でマンションの立地も解説
THE TOYOMI TOWER MARINE&SKY(物件詳細はこちら)
- 価格
- 一般販売住戸:未定
- 完成時期
- 2026年11月予定
- 東京都中央区豊海町41番
- 都営大江戸線「勝どき」駅 徒歩10分
- 間取り
- 一般販売住戸:1LDK~4LDK
- 専有面積
- 一般販売住戸:32.92㎡~156.56㎡(トランクルーム等除く)
- 総戸数
- 2,046戸
- 売主
- 三井不動産レジデンシャル株式会社【国土交通大臣(4)第7259号】、東急不動産株式会社【国土交通大臣(16)第45号】、東京建物株式会社【国土交通大臣(17)第6号】、野村不動産株式会社【国土交通大臣(14)第1370号】、三菱地所レジデンス株式会社【国土交通大臣(16)第408号】、清水建設株式会社【国土交通大臣(14)第1081号(更新中)】
- 施工会社
- 清水建設株式会社
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※データは2024年1月13日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
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