じぶん銀行住宅ローンの公式サイト

京都・洛西口エリアのマンションは”買い”か?「向日ノースゲートウェイ」計画と京都・大阪中心部へのアクセスが魅力の今注目のエリア

2024年4月16日公開(2024年9月30日更新)
杉山明熙:ライター
京都市洛西口エリアの名所 京都市洛西竹林公園
再開発が進む、京都府向日市の洛西口エリア。周辺物件は「買い」なのか?(出典:PIXTA)

京都市に隣接した向日(むこう)市に位置する「洛西口」エリア。2026年には、再開発により洛西口西側に「向日ノースゲートウェイ」が創出される予定で、不動産の価値としても注目が高まっている。今回は、そんな洛西口エリアの不動産価値や将来性について深掘りする。(ライター・杉山明熙) 

再開発で注目が高まる、京都・洛西口エリア

阪急洛西口駅外観
(出典:PIXTA)

 京都府向日市の北部に位置する洛西口エリアは、大規模集合住宅の「洛西ニュータウン」や、京都有数の高級住宅街「桂坂」の玄関口として栄えてきた。もともと田園風景が広がり、のどかだったこの周辺は、2003年(平成15年)の洛西口駅開業や、2016年(平成28年)の連続立体交差化工事完成を経て近代的な街へと生まれ変わっている。

 さらに現在、洛西口駅の西側では大規模再開発が進められており、2026年(令和8年)の街びらきに向けて注目が高まっているエリアだ。

洛西口エリアは、京都市内・大阪中心部へのアクセスが魅力

 洛西口エリアのメイン駅である「洛西口駅」は、京都市内・大阪中心部へのアクセスが良いのが特徴。阪急京都本線を利用すれば、京都有数のオフィス街「烏丸駅」まで約10分、京都の繁華街である「京都河原町駅」なら約15分、大阪最大の繁華街「大阪梅田駅」まで約45分で到着する。関西の中心地を1本で行き来できるアクセス力は大きな魅力だといえる。

 さらに、洛西口駅徒歩9分の場所にはJR「桂川駅」がある。桂川駅にはJR京都線が通っており「京都駅」まで約6分、「大阪駅」まで約35分というアクセスだ。洛西口駅がある阪急京都線が京都駅を経由していないため、京都駅にアクセスできる桂川駅が、洛西口エリアにとって大きなメリットだといえるだろう。

洛西口エリアは緑豊かで景観が良く、歴史的建造物も多い

洛西ニュータウン外観
洛西ニュータウンは、8つのエリアにまたがる大規模集合住宅(画像:UR都市機構)

 洛西口エリアがある向日市は西日本で一番小さい市として知られている。市の面積は約7.72平方キロメートルで、全国では3番目に小さい。

 しかしながら、洛西口駅から西へ約3km進んだ場所にある大規模集合住宅「洛西ニュータウン」には約22,000人が居住しており、京都西部の重要な居住拠点となっている。※参考元:向日市「市の地理

 さらに洛西エリアは、京都大学桂キャンパスや大手企業の研究機関が位置しているブランド力が高い場所である。

京都向日市 竹の径
観光名所として知られる「竹の径」(画像:PIXTA)

 また、向日市や、隣接している京都市西京区は昔から竹林が多く、良質なタケノコの産地として有名だ。このエリアのタケノコは「京たけのこ」と名付けられ、京都のブランド野菜としても全国的に売り出されている。

 向日市西部にある「竹の径」は「全国遊歩百選」「歩きたくなるみち500選」などに認定され、「京都府景観資産」「京都府文化的景観」にも選ばれた竹林浴の名所として知られている。

洛西口エリアは、かつての都「長岡京」にあたる

 洛西口エリアの歴史に目を向けてみよう。洛西口エリアがある向日市や長岡京市、大山崎町、京都市の一部はかつて「長岡京」と呼ばれていた。長岡京に流れる淀川・桂川の支流が活用され、水陸の利便性が高いことから784年に平城京から都が移された。

 なんと平安京より先にこの地が、日本の都として機能していたのだ。しかし、水陸の利便性が裏腹となり、数多くの水害に見舞われたことなどから、わずか10年で平安京に都が移された。

向日神社本殿
向日神社本殿(画像:PIXTA)

 そのような歴史的背景もあり、街を歩くと多くの歴史的建造物が見つかる。

 国指定の重要文化財である「向日神社本殿」や「物集女車塚古墳」などの7つの古墳、国の登録有形文化財である「中小路家住宅」など、京都らしい古い良き雰囲気を味わえることもこのエリアの魅力だ。

洛西口駅開業から、度重なる開発が続く新しい街

 洛西口エリアは、近年のまちづくりにおいても目まぐるしい発展を遂げてきた。洛西口駅は、周辺の再開発に合わせて2003年(平成15年)に開業。それまで目立った施設がなく、田んぼと住宅が大半を占めていたエリアが、新駅の開業に伴い生まれ変わったのだ。

 阪急電鉄では、1973年(昭和48年)に千里線山田駅が開業して以来、30年ぶりの新駅開業であった。さらに、2016年(平成28年)に連続立体交差化工事が完成し、全線が高架化された。

「TauT 阪急洛西口」の写真
洛西口駅高架下の「TauT 阪急洛西口」(筆者撮影)

 洛西口駅の東側は2014年(平成26年)に再開発が完了している。洛西口駅周辺には分譲マンションが複数棟整備され、スーパーマーケットや金融機関、関西有数の広さであるイオンモール京都桂川も開業した。それにより、市街地へのアクセスや自然環境の良さだけでなく、ファミリー層の暮らしやすい街となったのだ。

イオンモール京都桂川の写真
イオンモール京都桂川(筆者撮影)

2026年完成予定、洛西口駅西側の再開発「向日ノースゲートウェイ」

 そんな洛西口エリアで今最も注目されているのは、洛西口駅の西側で行われている大規模なまちづくり計画だろう。これが「向日ノースゲートウェイ」だ。

 もともと農地が広がっていた洛西口駅の西側エリアは、農業従事者の高齢化や後継者不足により、維持管理が危ぶまれていた。市街化調整区域で建物の建築が困難だったこのエリアに向日市がメスを入れ、市民や来訪者のための交流の場を作ろうとする計画だ。

 向日ノースゲートウェイは、約8.2haの土地を「交流ゾーン」と「うるおいゾーン」に分けて整備される。

 洛西口駅と隣接する北側の交流ゾーンには、観光の拠点となる宿泊施設や医療・健康増進施設などが誘致される予定だ。洛西口エリアには観光客が宿泊できるホテルがほとんどないため、このエリアを活性化させるためにも、宿泊施設の誘致が必要だといえる。

 洛西口駅西側にある駅前広場と隣接する場所には、1,500㎡の交流広場が設けられる。これにより駅前がさらに開放的で賑やかな場所になるだろう。子育て世代の交流の場としても期待できる。

 また、交流ゾーンの南側には、広いニーズに対応できる大規模な施設の建設が予定されており、産業の拠点となるオフィスや健康施設が配置される。洛西口エリアの近くには、ニデック株式会社(旧日本電産株式会社)という世界的企業があるが、その他のオフィスは少ない。雇用を創出し働きやすい環境を実現するためにも、交流ゾーンは重要な役割を果たすだろう。

 向日ノースゲートウェイ南側のうるおいゾーンには、向日市立第4向陽小学校が隣接しており、公園が配置される他、農地の集約も行われる予定だ。さらに、周辺環境に配慮し、東西道路の周辺や地区周辺部に約1,530㎡もの環境緑地が設けられる。

 このような利便性や環境配慮と同時に、車両の通行や歩行者交通安全のために、幅員7.5〜17mの区画道路が整備される。シンボルロードとなる東西の道路や、歩行者の回遊性向上を図るための歩道状空地(幅員2〜3.5m)も設けられる計画だ。

 以下の現地写真を見てわかるとおり、現在は土地の造成工事が進められており、まだ建物の着工までには至っていない。2026年度のまちびらきを予定しているため、遠からず建物の建築が始まると予想される。(2024年3月現在)

建物造成工事の現地写真その2
2024年3月時点の現地の写真(筆者撮影)

洛西口エリアの地価相場は、京都市中心部の半値以下

 洛西口エリアの地価は、京都市中心部に比べるとまだまだ安い印象だ。国土交通省による不動産取引価格情報で、洛西口エリアと京都市中心部を比較してみた。※不動産取引価格情報は、2024年4月1日「不動産ライブラリ」に統合されました。

所在地 最寄り駅 平米単価
向日市寺戸町八ノ坪126番 洛西口駅徒歩6分 39万円
京都市西京区川島梅園町39番 洛西口駅徒歩7分 29万円
京都市下京区新町通綾小路下る船鉾町388番外 地下鉄四条駅徒歩5分 93万円
京都市下京区高辻通柳馬場西入泉正寺町452番 地下鉄四条駅徒歩7分 86.8万円
京都市中京区室町通三条下る烏帽子屋町493番 地下鉄烏丸御池駅徒歩4分 131万円
京都市中京区堀川通姉小路下る姉東堀川町81番1外 地下鉄二条城前駅徒歩5分 135万円

 京都市中心部である四条烏丸エリア、烏丸御池エリアは㎡単価90万円を超えているのに対して、洛西口エリアはその半分以下で推移している。インバウンドや投資物件需要増の影響で不動産価格が高騰している市街地と比較すると、半分以下の土地相場である。

 洛西口エリアの数字だけをみると安く感じられるが、実は2010年と比較すると70%以上値上がりしている。

 向日ノースゲートウェイの影響による洛西口エリアの活性化を考慮すると、今後も土地相場が上昇することが推測できるだろう。

【関連記事】>>洛西口駅(京都府)の土地価格・相場は? 今後10年の価格推移も予想!【不動産価格データベース】

洛西口エリアのマンション相場

 次に、洛西口エリアのマンション相場(新築・中古含む)を見てみよう。洛西口駅を含む京都の各エリアのマンション相場は以下のとおりだ。

駅名 大阪梅田までの所要時間 3LDK 4LDK以上
洛西口駅 約45分 4,034.22万円 5,068.67万円
地下鉄四条駅 約40分 6,527.77万円 8,606.30万円
阪急京都河原町駅 約45分 7,052.26万円 10,694.64万円
地下鉄烏丸御池駅 約50分 7,707.39万円 10,000.84万円
※住宅情報サイトアットホームを参考(2024年3月現在)

 近年、京都市中心部のマンションは投資物件としての需要が高いため、アクセスの良いマンション価格は上昇傾向にある。その点、洛西口駅周辺のマンションは1,000万円以上低い相場で推移している。

 また、洛西口エリアで注目すべきポイントは、築浅マンションの比率が高い点だ。先述したとおり、洛西口駅東側は平成26年のまちづくりによって、多くの分譲マンションが建てられた。そのため、古いマンションも混在する京都中心部と比較して、築浅が多い傾向にあるのが洛西口エリアの特徴だ。

・洛西口駅の築20年以内の物件(3LDK)
全23件中10件(約43%)

・地下鉄四条駅の築20年以内の物件(3LDK)
全79件中27件(約34%)

※住宅情報サイトアットホームを参考(2024年3月19日現在)

洛西口エリアの物件は「買い」か?

 大阪や京都中心部へのアクセスの良さが魅力の洛西口エリア。近年の都市開発やイオンモール京都桂川の開業、そして2026年まちびらき予定の「向日ノースゲートウェイ」でさらに活気が増すと予測されているエリアだ。

 商業施設の充実度やオフィスの数では京都市中心地に劣るが、大阪へのアクセスでは洛西口エリアも遜色ないレベルだ。さらに、「向日ノースゲートウェイ」が完成すれば、健康施設や交流広場の設置で子育て世帯にも優しい環境になるだろう。

 観光地が多く外国人に人気の京都は、観光客や投資家の動向で不動産の需要が変化する傾向がある。そんな中、市が率先して新しいまちづくりを行い、市民の交流の場を創出する洛西口エリアが、京都の中の”買い”エリアと位置づけてられもいいのではないだろうか。

【関連記事】>>京都府の「新築マンション人気ランキング」京都市、烏丸御池、山科、桂、福知山など、注目エリアのおすすめ物件は?
【関連記事】>>洛西口駅(京都府)の中古マンション価格・相場は? 今後10年の価格推移も予想!【不動産価格データベース】

 
  • RSS最新記事

注目記事>>新築・中古マンション市場動向は? 注目物件や在庫状況など最新市況を不動産アナリストが解説
 

【注目の大規模物件】 【新築マンションの基礎】
HARUMI FLAG(晴海フラッグ)
三田ガーデンヒルズ
グランドヒルズ南青山
パークタワー勝どきミッド/サウス
ワールドタワーレジデンス
パークタワー西新宿
新築・中古マンションの市場動向
最新の新築マンション相場や価格は?
値引きをする会社はどこ?
「音」のトラブル!遮音性の確認法
管理のチェックポイント
住み心地を決める「階高」
◆新築マンション人気ランキング
TOP