中古マンションが売れている! 新築・中古マンションの最新市況を不動産アナリストが解説!【2025年5月版】

2025年5月13日公開(2025年5月13日更新)
岡本郁雄:不動産アナリスト

今月も首都圏新築の新築マンション市況(新規販売戸数、平均価格、契約率)・中古マンション市況を解説していく。また、今月の注目マンション、「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」を紹介する。(不動産アナリスト・岡本郁雄)

首都圏の新築マンションの市況【2025年3月度のデータ】

 2025年3月度の首都圏新築マンションの市況を見ていく。発売戸数は、前年の同月比9.8%減少の2,210戸。初月契約率は、76.2%となり前月比で6.5%増加した。都心エリアの需給バランスが逼迫する中で、即日完売した「リビオタワー品川 」の第1期分譲の供給があったことも契約率を引き上げた要因である。

 また、首都圏新築マンションの1戸当たりの平均価格は1億485万円となっており、2年ぶりに1億円台を突破。「リビオタワー品川」をはじめ東京23区の供給シェアが48.5%と大きく伸び平均価格を引き上げた。

過去5年間の首都圏の新築マンション価格(戸当たり平均)と契約率の推移
不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成
過去5年間の首都圏の新築マンション価格(1戸当たり平均)と契約率の推移 不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成

首都圏の新築マンション市場動向2025年3月


首都圏の新築マンション市場動向(出典:不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向 2025年3月」)

 販売在庫数は、6,116戸で、前月末よりも122戸の減少。2024年3月末の販売在庫数は5,661戸だったので、昨年対比では増加している。

エリア別の動向は?

エリア別の首都圏新築マンションの販売動向(2025年3月)


(出典:不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向 2025年3月」2025年4月21日発表)

 エリア別の平均価格は、東京23区が1億4,939万円。東京都下が6,508万円、神奈川県が6,968万円、埼玉県が6,027万円、千葉県が4,749万円。価格は上昇傾向が続くなか、東京23区とその他の地域の価格差が大きくなっている。今後も「ブランズタワー大崎」など都心での超高層タワーの供給が控えており、東京23区と他エリアとの価格差は、さらに広がりそうだ。 

首都圏中古マンションの市況【2025年3月度のデータ】

 続いて中古マンションの市場を見てみよう。首都圏中古マンションの成約件数は前年の同月比31%増の4,991件。5カ月連続で前年の同月より成約数が上回っている。住宅ローンの金利の先高観で、購入を急いだユーザーが増えたものと思われる。

 平均成約価格は前年同月比2.6%上昇の4,945万円。平均成約㎡単価は、対前年同月比4.1%増加の79.01万円となっている前年同月を上回るのは、2020年5月から、59ヵ月連続となる。

 新規登録物件の㎡単価は、前月を上回る90.21万円となっていて前年同月比22.2%の増加。好調な中古マンション市場を背景に強気な価格設定の販売が目立つようになっている。ただし、2025年2月度と比べ成約価格も成約㎡単価もほぼ横ばい。東京都心部の成約㎡単価が大きく上昇する一方で、郊外エリアの成約㎡単価が下落しているからだ。

首都圏の中古マンション市場動向2025年3月
 


首都圏の中古マンション市況(出典:東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート 2025年3月度」2025年4月10日発表)
 新規登録物件数は、前年の同月比で0.01%減少の16,844件。在庫件数は前年同月比で5.2%減少し43,941件となっている。新規登録件数が前年の同月比でマイナスとなるのは13カ月連続だ。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の中古マンション価格(成約㎡単価、在庫㎡単価)と在庫件数の推移を示す。成約㎡単価は、長期間上昇トレンドが続いている。

公益財団法人東日本不動産流通機構の市場動向データをもとに編集部が作成
東日本不動産流通機構の市場動向データをもとに編集部が作成

 次に地域別の中古マンション動向を見てみてみよう。

地域別の動向は?

首都圏中古マンションの成約㎡単価(2025年3月)
 


(出典:東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch サマリーレポート 2025年3月度」2025年4月10日発表)
 成約件数の伸びは東京23区で前年同月比28.4%増加の2,217件、東京都多摩で30.6%増加の444件、埼玉県で30.2%増加の573件、千葉県で28.4%増加の560件、神奈川県も38.1%増加の1,197件となっている。

 一方、成約㎡単価をみると、前年同月比で大きく上昇しているのは東京23区と東京都多摩のみ。成約数が伸びているものの価格が上昇していない。中古マンションの大きな買い手である買取再販業者は、堅調な都心マンションの仕入れに注力しながら、その他のエリアの仕入れには慎重になっている。東京23区とその他の地域の価格差は、新築マンション同様に拡大傾向にある。

まち一体型複合開発がテーマの「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」

 次に今月の注目マンション「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」を紹介する。

「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」の完成予想模型(筆者撮影)
「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」の完成予想模型(筆者撮影)

 武蔵小杉エリア最大級となる、地上50階建て、総戸数1,438戸の免震タワーレジデンス、「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」(サウス棟719戸、ノース棟719戸)のモデルルーム事前案内会が、4月26日(土)よりスタートしている。

 建築家・隈研吾氏がデザインを監修した「大地から生える二本の大樹」をコンセプトにフジタ一級建築士事務所が設計した。

 2025年4月20日時点で、物件へのエントリー数は1万件を超えており、高い注目を集めている。エントリー者の居住地は、東京都内が約5割、地元・川崎市中原区が約3割で、地元にとどまらず広域エリアからの関心も高い。

 本物件は、武蔵小杉駅北側の再開発エリアに位置し、各路線へのアクセスも良好。まとめると下記の通り。

・JR南武線「武蔵小杉」駅:サウス棟へ徒歩3分/ノース棟へ徒歩4分
・東急東横線・目黒線「武蔵小杉」駅:サウス棟へ徒歩4分/ノース徒歩6分
・東急東横線・目黒線「新丸子」駅:サウス棟へ徒歩6分/ノース棟へ徒歩5分

 周辺には「グランツリー武蔵小杉」、「武蔵小杉東急スクエア」、「ららテラス 武蔵小杉」などの大型商業施設があり、生活利便性にも優れた立地となっている。

「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」の完成予想模型の敷地内
「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」の完成予想模型の敷地内

 物件の中央には、地域に開かれ、まちの賑わいの拠点となる芝生の広場「コスギコミュニティパーク」、2棟のタワーレジデンスの間には地域の人々も通ることができる「コスギプロムナード」が敷設される。

 多彩な共用施設にも注目したい。吹き抜け空間のある2棟のグランドエントランスには、木材を使用したデザインウォールが施される。サウスには、石川県能登産(予定)の杉集成材、ノースには茨城県産(予定)の杉無垢板を使用する予定。使用する国産木材の量は約83㎥にもなりCO2の削減効果も期待できる。

 さらに、開放的な眺望を楽しめるラウンジスペース「スカイビューラウンジ」をはじめ「ゲストルーム」、「コワーキングスペース」などの共用施設がマンション内に用意されている。

 防災対策としては、免震構造の採用、非常用発電機、各階防災備蓄倉庫、マンホールトイレなどを用意。電気設備の浸水対策として電気室を2階、3階に設置されている。またマウンドアップすることで敷地の地面をかさ上げすることで、雨水浸水にも配慮されている。

「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」のモデルルーム(筆者撮影)
「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」のモデルルーム(筆者撮影)

 住戸は1LDK〜4LDKまで、全114タイプの多彩なプラン。全住戸に高性能サッシや先進の住宅設備、豊富な収納を備え、快適な居住空間を実現している。また、階層ごとに4つのグレードが設けられており、最上階のエグゼクティブフロア(50階)では、水回りを除いた設計変更に対応可能なうえ、24時間全居室換気冷暖房システム)「マンションエアロテック」を完備、最高天井高は約3mに達する。さらに、全住戸にトランクルームと個別宅配ロッカーが完備されている。

 販売は、2棟のうちサウス棟からスタート。第1期販売は2025年8月下旬を予定している。販売価格は未定だが、分譲時の平均坪単価は600万円を上回る見込みで、3LDKタイプの購入にはそれなりの予算を見込んでおく必要があるだろう。

 電柱のない整然とした街並みは、安全性に加え、美しさも兼ね備えており、都心と遜色のない都市空間となるであろう。近年、都心のタワーマンション価格が高騰するなか、実需層からの関心が集まりそうだ。

2024年度の首都圏新築マンション市場は、1973年以降最少の2万2,239戸

 不動産経済研究所の「首都圏 新築分譲マンション市場動向2024年度(2024年4月〜2025年3月)」によれば、2024年度の首都圏新築マンションの発売戸数は、1973年以降で過去最少の2万2,239戸。前期比では、17%の減少となっている。1戸あたりの平均価格は、8,135万円と過去最高を更新。前期比では、570万(7.5%)の増加となっている。中でも東京23区の上昇が著しく、平均価格は1億1,632万円で前年度比で11.2%の増加。

 中古マンション価格への影響も大きく、「2024年度首都圏不動産流通市場の動向(2024年1〜12月)」によれば、2024年度の首都圏中古マンションの成約件数は2年連続で前年を上回る3万7,222件(前年比+3.4%)。㎡単価は76.88 万円(同+6.9%)となっている。東京23区の㎡単価は115.47万円(同+9.2%)と新築マンション同様に高い伸びを示している。

「Brillia Tower 堂島」の共用部
「Brillia Tower 堂島」の共用部

 新築マンション価格の上昇は、うめきたに開業した「グラングリーン大阪」やEXPO2025大阪・関西万博の開催でにぎわう大阪市にも及んでいる。不動産経済研究所の「近畿圏 新築分譲マンション市場動向2024年度(2024年4月~2025年3月)」によると、2024年度の大阪市新築マンションの1戸あたりの平均価格は、前年同期比13.2%上昇の5,315万円となっている。

 これを牽引するのは、中心市街地で供給が相次ぐ超高層タワーレジデンス。日本初となる「フォーシーズンズホテル大阪」と一体になった地上49階建ての超高層複合タワー開発の分譲マンション「Brillia Tower 堂島」はその代表格。2024年1月に完成したヨットの帆をイメージしたシンボリックな外観は、水都大阪の新たなランドマークになっている。

 筆者は、2025年4月に「Brillia Tower 堂島」の共用空間やモデルルームを見学したが、アート作品約50点展示された共用部は高級ホテルのような華やかな空間だった。最上階のパーティールームから眺めた大阪の景色は、超高層の建物群と美しい水辺空間が見事に調和し、大阪の持つポテンシャルの高さを実感した。

 筆者は、大阪・関西万博の開催初日に会場に足を運んだが、150超の国と地域が参加する多種多様なプレゼンテーションに、広がる世界と豊かな未来を実感した。トランプ関税で揺れる昨今ではあるが、グローバル化の流れは止められないだろう。

 武蔵小杉駅周辺がこの20年間で大きく発展したように良質な開発は、街の将来にプラスになる。グラングリーン大阪のうめきた公園には、青々とした芝生が広がり多くの家族連れが寛いでいた。誰もが楽しめる開かれた街づくりが増えることを期待したい。

まとめ

 東京23区の高価格帯物件を中心に、新築・中古ともに需給が引き締まり、価格の上昇が続く首都圏マンション市場。郊外との価格差は広がり、都市型住宅の在り方があらためて問われる時代に入っている。
 
 一方で、武蔵小杉や大阪・堂島のように、都市の再開発によって生まれる新たな価値もある。街の未来は、どのような住まいをつくり、どのような暮らしを描けるかにかかっている。利便性や安全性だけでなく、地域と調和する「開かれた街づくり」が、これからの都市に求められているのではないだろうか。

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