2025年5月の関西エリア・中部エリアのマンション市場(※2025年5月現在では2025年3月データが最新となる)は、先月に引き続き全体として堅調を維持している。今月も関西エリアの新築マンション市場動向のほか、4月に発表された2024年度近畿圏新築分譲マンション市場動向、関西エリア・中部エリアの中古マンションの市況、注目のマンションなどについて解説する。(フリーライター・神納まお)
関西・中部エリア新築マンションの市況【2025年3月】
2025年3月の関西・中部エリアの新築マンション市場は、おおむね好調に推移している。関西エリアの新築マンションの市況、並びに2024年度のマンションの市況について、詳しく見ていく。
関西エリア(大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県)
2025年3月の新築マンション発売戸数は1,589戸、前年の同月比では9.7%のアップ、3カ月連続で前年同月を上回っている。2025年4月の発売戸数は1,100戸程度の見込みとなっている。
契約率は78.7%、3カ月連続70%を超えており、こちらも好調を維持。大阪府下では、ブランズシティ東岸和田の1期1次71戸プレミストタワー千里丘の1期84戸の2物件、155戸が即日完売するなど、ファミリー向け大規模マンションを筆頭に売れ行き好調だ。
平均価格は5,500万円、㎡単価は94.8万円でともに3カ月ぶりの増加。単価は3月としては調査開始の1973年以降の最高値を更新した。未販売在庫数は3月末時点で2,597戸、前月末比47戸の減少となった。
下のグラフは、過去3年間の近畿圏の新築マンション価格(平均価格)と契約率の推移を示す。

2025年3月の関西エリアの新築分譲マンションのデータ

(出典:不動産経済研究所「近畿圏 新築分譲マンション市場動向 2025年3月」)
平均価格をエリア別にみると、大阪市内の平均価格は前年同月比16.5%減の4,686万円だが、㎡単価では116.1万円と前年の同月比では17.4%増加となっている。ワンルームや1Kなどの投資用マンションが100戸程度含まれている。
近畿圏の新築分譲マンション市場動向【2024年度】
愛知県を中心とした中部エリアについては、新築マンションの月別データはない。今回は、不動産経済研究所が2025年4月21日に発表した「近畿圏新築分譲マンション市場動向2024年度(2024年4月〜2025年3月)」を見てみよう。
2024年度の近畿圏 新築分譲マンションデータ
発売戸数は3年連続の減少で、2010年代(2010 年〜2019 年)の平均値(2万343 戸)を大きく下回っている。この30年近く減少傾向で、20年前の2004年度は3万967戸であったが、以降、徐々に戸数は減少している(定借マンション数は含まれず)。契約率は74.6%と15年連続の70%台と高い水準を維持している。1戸当たり価格は5年連続の増加となり、1991年度(5,464万円)以来の高値。㎡単価は12年連続の増加、1973年の調査開始以降の最高値を4年連続で更新した。
エリア別にみると、神戸市の平均価格は前年の同月比59.4%
平均価格をエリア別にみると、大阪市内の平均価格は前年の同月比13.2%増の5,315万円だが、㎡単価では110.8万円と前年の同月比11.0%増。ワンルームや1Kなど投資用マンションが100戸程度含まれている。
また、大阪市内は、高額タワーマンションの相次ぐ販売の影響で1戸当たり価格、㎡単価ともに2桁上昇。関西エリアの新築マンション市場は、用地、建設費ともに供給不足となり、全体的に価格が上がり、販売も売り手市場になっている様子が伺える。
関西・中部圏の中古マンション市況【2025年3月】
次に関西・中部圏の中古マンションの市況を見ていく。中古マンション市場は総じて堅調を維持している。
関西エリア(大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県)
関西エリア中古マンションの2025年3月の成約件数は2,205件と前年比22.7%と大幅な増加、5カ月連続で前年の同月を上回った。2025年に入ってから高い増加率が続き、コロナ禍前の水準を上回る状況にある。
新規登録物件数も2桁増、3カ月ぶりに前年の同月を上回った。成約件数が増加する中で、売り出し件数も増加に転じた。成約㎡単価は21カ月連続で前年の同月を上回っている。2023年以降、成約㎡単価の上昇傾向に変化はない。
新規登録㎡単価は10カ月連続で前年の同月を上回り、引き続き売り物件の高額化が続いている。新規登録㎡単価と成約㎡単価はともに上昇が続き、相対的に高額な中古マンションの流通は活発となっている。

中古マンションの市場動向や需給状況【2025年3月】
近畿圏(関西エリア)の中古マンションの市場動向と需給状況【2025年3月】

近畿圏の中古マンション市場動向(出典:東日本不動産流通機構「マンスリーレポート ダイジェスト 2025年4月号」)
成約件数12エリアのうち大阪府南部(堺市、羽曳野市、藤井寺市、富田林市、大阪狭山市、岸和田市、泉大津市、泉佐野市など)を除く11エリアで前年比増となり、引き続き増加傾向にある。
成約㎡単価は12エリア中8エリアが前年比で増加。大阪東部(門真市、守口市。枚方市、大東市、四條畷市、東大阪市など)と京都府他(京都市を除く京都府内)、兵庫県他(神戸市と阪神間を除く兵庫県内)は2桁の増加となり、大阪市は21カ月連続で増加している。
中部エリア(富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)
中部エリアの中古マンションの市況【2025年3月】

中部圏の中古マンション市場動向(出典:中部圏不動産流通機構「月例速報マーケットウォッチ2025年3月」)
成約件数は前年同月比29.6%増、成約価格は平均で2,283万円と前年の同月比3.3%減少。新規登録㎡単価と新規登録物件数はわずかに増加という結果になっている。平均成約の築年数がやや古くなっている。
エリア別にみると、取り引きのメインとなる愛知県で成約件数が32.1%増の555件。ただし成約㎡単価と成約価格は減少している。
中部エリアの在庫状況は2025年3月時点で8,642戸となり、増加が続いているが、増加率は減少している。㎡単価や価格は前年比でやや増加している。
今月の注目のマンション「(仮称)大阪市中央区平野町2丁目計画」
次に、今月の注目マンション「(仮称)大阪市中央区平野町2丁目計画」を紹介する。関電不動産開発株式会社は、大阪府大阪市中央区平野町2丁目に地上30階、高さ99.67m、総戸数197戸のタワーマンションを計画している。


堺筋本町通りの平野町1交差点を西に進み、藤中橋筋と平野町通りが交差する位置にある。
交通ロケーションについて
交通ロケーションについては下記にまとめた。
・Osaka Metro堺筋線北浜駅は天王寺方面へ向かい、日本橋駅で近鉄奈良線近鉄日本橋をに乗り換えると奈良方面へ繋がる。京阪本線京都方面へ繋がっている。
・Osaka Metro御堂筋線の淀屋橋駅から北へは梅田駅、新大阪駅、そして江坂駅など主要地を経由している。南へは難波を経て南港エリアへ向かっている。
現地の様子は
「(仮称)大阪市中央区平野町2丁目計画」の現地は2025年6月中旬着工予定で、2029年4月に完成予定となっている。接道は南側、東側の2方向が道路。西側は12階建て、北側には8階建てのオフィスビルが立っている。

南側は道路を挟んで14階建てのオフィスビルが立っている。計画図などから割り出すと、離隔距離は20メートルあまりだろう。

東側は道路を挟んで13階建てのオフィスビルに。

本物件では、南東、北東の方角が比較的眺望が良さそうである。北側は9、10階以上、それ以外も14階より上階なら問題なさそうである。
「(仮称)大阪市中央区平野町2丁目計画」の予想価格は
「(仮称)大阪市中央区平野町2丁目計画」の販売価格は、現時点では公式ホームページもなく、仕様やプラン、価格などの詳細は不明である。
近隣の新築マンションでは中央区備後町で販売中のシティタワー大阪本町が6,200万円~1億2,000万円、坪単価でおよそ500万円台後半。
中古マンションではいくつか事例があるが、低層階は坪単価400万円台が多く、中・高層階は500万円から800万円台まで幅がある。築浅のタワーマンションなら2LDK・70㎡程度で1億8000万円という販売事例もある。
これらを考慮すると、「(仮称)大阪市中央区平野町2丁目計画」の価格は、坪単価にして平均600万円台と予測される。
まとめ
マンションを含む不動産市況は、株価や為替といった景気判断と密接にかかわっている以上、米国の動向を無視することはできない。トランプ関税で円高が進めば、輸入資材が安くなる可能性はあるかも知れない。
また株価が下落すれば、投資家がマンションを買わず、所有するマンションを売却する動きも出てくるだろう。ただこれだけでは影響は限定的で、ポイントはトランプショックが長期化するかどうかだろう。
※関西圏は大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県の6府県エリア
※中部圏は富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県の7県エリア
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