不動産上昇ランキング[東京南西部・神奈川エリア]
一戸建ての将来価格(10年後)を推定!
西小山、久地、祐天寺が上昇!?

2019年8月23日公開(2019年8月26日更新)
ダイヤモンド不動産研究所

10年後、あの街の戸建て物件価格は上昇するのか、下落するのか? こんな疑問に答えるため、今回は「東京南西部・神奈川エリア」にある戸建て物件の「現在(2018年)」と「10年後(2028年)」の推定価格を駅ごとに算出。10年後の騰落率やボラティリティから、その街のポテンシャルや不動産価値を診断してランキングを作成した。はたして、あなたの住む街はランクインしているだろうか。

推定価格の算出方法とランキング条件について
推定価格は、「2018年10月時点で築10年」「100平米」「2階建」「木造」「駅から徒歩10分前後」「駅と同一区域」の条件を満たす戸建てをモデルに、株式会社おたにの不動産価格指定システム「GEEO」を用いて算出した。
不動産は経済状態に影響を受けるが、今回の推定価格は平均シナリオのデータを使用している。
※騰落率が著しく高いものや公示地価との乖離が大きいデータについては、サンプル物件数などを考慮しながら除外したうえで、代表的な駅として100地点まで絞り込んだ。

2018年vs2028年の上昇率トップ10

 1位は上昇率55%の西小山駅(東京都品川区)。調査では土地価格約3400万円の値上がりを見せている。東急目黒線沿線で目黒駅へ約10分、大手町駅へ約30分でアクセス可能だ。

 西小山駅近辺は、渋沢栄一らによる田園都市開発事業で分譲されたもともとがブランド価値の高いエリアであった。現在も西小山駅の目黒区側では、木造住宅密集地域での地震災害対策を盛り込んだ新しい町づくりの一環として、駅前商店街を含めた地域に4棟のタワーを建てる計画が進んでいる。

 また、隣りの武蔵小山駅駅前にも6棟のタワーマンションが建つ予定で、このエリアの住環境と景観は大きく変わっていくことになるだろう。

 4位は踊場駅(神奈川県横浜市泉区)。横浜市営地下鉄ブルーライン沿線で、隣の戸塚駅でJR東海道本線に乗り換えて、新宿駅(JR湘南新宿ライン)、東京駅(JR上野東京ライン)へともに約60分のアクセス。駅近辺は標高が高く、好天に恵まれるとみなとみらい21地区への眺望が開ける。

 駅が位置する泉区は戦前から栄えていた場所だ。1960年代後半から公営団地の建設が相次ぎ、1976年の相鉄いずみ野線開通に伴い宅地開発が進んだ。持ち家比率と戸建て率は、横浜市内でもトップクラスである。

 現在進んでいる「踊場地区まちづくりプラン」でも、幹線沿いを除いては低層住宅地区とされており、緑地、街路樹、庭木などの豊かな緑の中に、瀟洒(しょうしゃ)な住まいがたたずむ風景が展開されている。

 5位は江田駅(神奈川県横浜市青葉区)。東急田園都市線沿線で渋谷駅まで約40分で到着。駅周辺は1960年代後半の田園都市線の開発に伴って住宅地が形成されたものである。また、東急田園都市線、国道246号、東名高速道路の結合地点にあたり、横浜市は、これらの交通手段の特性を生かした効率的な輸送体系を構築することで、新たな拠点づくり、新たな街づくりを進めており、実験モデル地としての期待値が上がっている。

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下落率トップ5は、横浜市内にある昔ながらの宅地が中心に

 続いて下落率ランキングの上位5駅を見ると、神奈川県の中でも横浜市内が大勢を占めている。横浜市でも上昇率上位にランキングされているエリアは、横浜市営地下鉄沿線や東急田園都市線沿線などで、開発の新規性や土地のブランド力の高さに起因していると思われる。

 一方、下落率の高いエリアは戦後間もない頃から宅地開発が進んでいるところが多く、生活拠点として一定のレベルへと到達した感があり、新しく移り住むにはいまひとつ話題性に欠けるところがあるのではないだろうか。(騰落率ランキング23位以下はマイナス)。

横浜水道記念館
上星川 横浜水道記念館(出所:PIXTA)

 1位の上星川駅(神奈川県横浜市保土ケ谷区)は相鉄本線沿線にあり、横浜駅でJR東海道本線に乗り換えて、新宿駅(JR湘南新宿ライン)、東京駅(JR上野東京ライン)へともに約60分でアクセスできる。

 相鉄グループは、1948年から沿線に戸建てを中心とした住宅地開発事業に取り組み、神奈川県下を中心に数々の実績を残してきている。同駅は大正15年、つまり昭和元年に開業した。同駅周辺の線路に沿って帷子川(かたびらがわ)が流れ、緑豊かな丘陵に戸建て住宅や低層住宅が広がっている様は圧巻であるが、いかんせん商業地や商業施設に乏しい。ただし、2020年をめどに、JR線、東急線との直通運転が始まり、乗り換えなしで都心へとつながる。所要時間も大幅に短縮されることから、同沿線の価値が大きく向上することが見込まれている

 4位の根岸駅(神奈川県横浜市磯子区)はJR根岸線沿線にあり、横浜駅でJR東海道本線に乗り換えて、新宿駅(JR湘南新宿ライン)、東京駅(JR上野東京ライン)へともに約60分でアクセスできる。海側は線路と平行して首都高速湾岸線が走り、埋立地となっている工業地帯には、JX日鉱日石エネルギー根岸製油所ほか数多くの工場が広がっている。駅反対側のロータリー周辺には、マンションと商業施設が密集している。さらに山側の丘陵地は、戸建てを中心とした住宅街だ。

 根岸駅周辺は、他の下落率ランキングに入っている横浜市内駅同様、戦後から1970年代にかけて開発が進み、住宅地としては完成された向きにある。そのため、高齢化の影響を受けていることが、下落を予想させる一つの要因であろう。しかし、磯子区は2017年の区政90年を機に「都市計画マスタープラン・磯子区プラン」を改訂し、新たな街づくりを目指しているという側面も持っている。

2028年の推定価格トップ5は、東急線沿線駅が底力を見せつける結果に

 2028年の推定価格の上位5駅は、全て東急線沿線となっている。推定価格が1億円近くに及んでいるのは、東急の各沿線における地域ブランディングが着実に功を奏してきた結果であろう。

 1位は東急東横線の祐天寺駅(東京都目黒区)である。駅前東口のロータリーは車の乗り入れが少なく、個性的な店舗や数々の老舗が並ぶ商店街が駒沢通りまで連なっている。商店街以外は、西口と同様に住宅地と学校施設が広がっており、渋谷駅から3駅6分という場所にあることを気付かせない静けさと落ち着きに満ちている。

祐天寺
すでに現在人気エリアとなっている祐天寺周辺(出所:PIXTA)

 また、目黒区は都市計画マスタープランにおいて、祐天寺駅周辺地区を「地区生活拠点」として位置づけ、公共施設、地域資源、商店を歩いて楽しめる街づくりを進めている。そうなれば、同エリアの持つ魅力をさらに掘り下げるものとなるだろう。

 4位は東急田園都市線の鷺沼駅(神奈川県川崎市宮前区)である。東急主導の多摩田園都市計画の一環として鷺沼が誕生し、1966年には同駅が開業。1987年の基準地地価上昇率で、同域内において鷺沼は美しが丘(神奈川県横浜市青葉区)に次ぐ2位となっている。現在は渋谷駅まで約30分で到着する。

 駅周辺は4階建てのショッピングセンターなど商業地となっているが、周囲は戸建てを中心とした閑静な住宅街が広がっている。また、2021年から2030年にかけて、現在、宮前平にある区役所、図書館、市民館を鷺沼へ移転する計画があり、子育て支援施設や商業施設、住宅などの併設も予定されている。このエリアも一気に活気づくことになるであろう。

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東京南西部・神奈川エリア騰落率ランキング

 戸建て物件推定価格の東京南西部・神奈川エリアの駅別騰落率ランキング完全版(全100地点)を示す。

東京南西部・神奈川エリアの駅別 暴騰率ランキング 1-20位
東京南西部・神奈川エリアの駅別 暴騰率ランキング 21-40位
東京南西部・神奈川エリアの駅別 暴騰率ランキング 41-60位
東京南西部・神奈川エリアの駅別 暴騰率ランキング 61-80位
東京南西部・神奈川エリアの駅別 暴騰率ランキング 81-100位
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