新生活から数カ月。新居に住んでみてはじめて分かった出来事に、こんなハズじゃなかった…!と後悔している住民が続出しているという。夢のマイホームでの生活でいったい何があったのか。何に後悔しているのか。今回はマンション購入にまつわる後悔エピソードを3つご紹介する。今後の住まい選びの参考にしていただきたい。(マンショントレンド評論家・日下部理絵)
今春に思い切ってマンションを購入したけれど…
3月に首都圏で発売された新築マンション1戸あたりの平均価格は1億4360万円と単月で初めて1億円を超えた。不動産経済研究所によると、1973年の調査開始以来、最高価格だという。
これだけ高いと買い控えがみられる一方で、大手企業では賃上げの復活、長期的には超低金利の局面が終わる可能性があること、また、コロナ禍の落ち着きを受け、今春に思い切って「夢のマイホーム」を購入した人も多いのではないか。
しかし、せっかく思い切って購入したものの、住んでみないと分からない事実に直面し、後悔している人たちがいる。マウントに悩まされている高橋拓也さん(仮名、38歳)の話から見ていこう。
1.住んでいる階数で「マウントされる」
都内に住む高橋拓也さんは、今春、奥さんの由美子さん(仮名、36歳)とのペアローンで、思いきって築浅タワーマンションを購入した。部屋は見晴らしの良い19階に位置している。
夢のタワマン暮らしに大満足の高橋さん一家だったが、しばらくして息子を通して知り合った奥様方にささいなことでマウントをとられることになる。
高橋さんの住むタワーマンションでは、全階に停止する非常用エレベーターのほかに、階層に分かれてエレベーターが設置されている。
・低層階専用(1階〜19階)
・中層階専用(20階〜39階用)
・高層階専用(40階〜最上階)
高層階専用エレベーターは、プレミアム住戸専用ということもあり、低層階専用と中層階専用と比べると内装も華やかである。
高橋さんは19階なので低層階専用のエレベーターを日常的に使用している。ところがある日、エレベーターに乗る際、高層階専用に乗る奥様方から、「あらっ、高橋さんはコチラのエレベーターじゃないのね」といったことを口々に言われたという。
驚きながらも、「あっ、そうなんですよ」とにこやかに返したが、その後、エレベーターホールで会う都度言われるので、これはいわゆるマウントではないかと思い、嫌気が差してしまう。
しかも、プレミアム住戸の奥様方でランチ会や持ち寄りのお茶会などを頻繁に開催しているという。高橋さんの奥さんにも何度かお誘いがあったが、今のところ仕事を理由にのらりくらりとかわしている。
その後、同じマンションの知人の話によると「高橋さんの家は、共働きじゃないとうちのマンションの低層階にも住めない可哀そうな一家」と陰口をたたかれていることを知った。
さすがに購入を検討する際の重要事項説明書(重説)にも、"マウントを取る奥様集団がいる"とは書かれていない。
今思えば、せめて、最後まで悩んだ中層階エレベーターの23階の部屋にしておけば良かったのだろうか。子どもを通しての人間関係だけに縁を切るわけにもいかず、とても困っている。
【関連記事】>>タワマン文学の先駆者・窓際三等兵改め外山薫氏にインタビュー!「湾岸タワマン」を取り巻く人たちのリアル事情を聞いた
2.共用施設の抽選に当たらず利用できない……
都内に住む梶原直樹さん(仮名、42歳)も、住んでみないと分からないことで怒り心頭だという。
梶原さんは、外資系投資銀行に勤務する年収3000万円プレーヤーだ。職場へのアクセスもいい都心の一等地に立つ新築マンションを購入した。
さすが億ションを優に超える超高級マンションだけに、「ゴルフシミュレーター」「スポーツジム」「プール」「ゲストルーム」など共用施設も豪華だ。
しかし、いざ使用しようと共用施設にいくも、プールは混み過ぎて芋の子を洗うようだし、ゴルフシミュレーターは使用料が高く性能もイマイチ。ゲストルームに至っては数カ月先まで空きがないという。
コンシェルジュには毎月の抽選にエントリーするよう勧められ、何度かエントリーしたが、当たったためしがない。しかも、もし当たったとしても月に2日間しか使えないそうだ。
せっかくなので、ゲストルームに田舎の両親や知人を招こうと思っていたが、これじゃ使い勝手が悪くて仕方がない。当然ながら、使用できなくてもこれら共用施設の維持費は管理組合の会計から賄われている。つまり、梶原さんも納めている管理費等のなかからだ。
豪華な共用施設を使えることが、高級マンションの良さのひとつだと思っていたが、維持費だけ負担させられて、使えないんじゃ宝の持ち腐れじゃないか、と怒り心頭である。
【関連記事】>>マンションのムダな共用施設はこれだ!ジム・プール・温泉・噴水・キッズルーム……
3.郵便物の誤配が多くてストレスに…
野村正義さん(仮名、31歳)も、今春に思い切って大規模マンションを購入した一人だ。独身のため、住宅ローン控除が使えるギリギリの1LDKの間取りを選んだ。
この部屋は、野村さんが購入するまでは、前所有者が新築時からずっと賃貸で貸していたという。ちょうど賃借人が契約満了で出ていき、空室になったタイミングで野村さんに売却したという格好だ。
野村さんは、
はじめてのマンション購入に不安もあったが、分譲マンションならではのしっかりとした造りやセキュリティーの高さに感銘しているという。何より、いずれ自分の資産になると思うと、購入して本当によかったと感じているそうだ。
しかし、住んでから数日ほどたったある日、郵便ポストを開けてみると、知らない他人宛ての郵便物が混ざっていた。
よくある誤配かと思い、郵便物の表面に誤配達である旨を記載した付せんを剥がれないよう丁寧に貼り、郵便ポストに投かんした。このときは大規模マンションならではの間違い、くらいにしか思わなかったが、その後、何度も同じ人物宛ての郵便物が届いた。
どうも直近まで賃貸で住んでいた方のようで、転送届は出していたものの提出が遅かったのか、うまく機能していなかったようだ。
やれやれと思ったのもつかの間、今度は郵便ポストに先日とは違う名前宛のメール便が届き、しぶしぶ対処することになった。そして、ようやく落ち着いたかと思いきや、野村さんをさらなる悲劇が襲う。
また違う宛て名で圧着ハガキが届き、誤配と返しても、立て続けに特定記録や簡易書留などさまざまな送り方で何度も何度も届く。
さすがに気持ち悪くなり、購入をした不動産会社経由で前所有者に聞いてもらったところ、賃料を滞納し、なんとか出て行ってもらった人だという。念のため、退去時の連絡先に電話してもらうも、現在使われていないそうだ。
おそらく連絡がつかないため、請求書などを送付しているのではないか、とのことだった。
その都度、差し戻しや受け取り拒否をしたことで、何とかおさまったものの、これだけ続くとまた誤配があるかもと思い、郵便ポストを見に行くのが憂鬱で仕方ない。正直、ガムテープで塞ぎたいぐらいの気持ちだ。
万が一、借金取りみたいな人が訪問してきたら…と思うと不安もつのる。
せっかくタイミングよく購入できた「夢のマイホーム」だが、いま売却も視野に検討中である。
住んでみないと分からないことはたくさんある
誤配達は、異動の時期には必ずと言っていいほど起こる事案である。郵便局には転送届を出す人が多いものの、宅配便やメール便を扱う会社にまで出す人はそう多くない。
そもそも転送サービスを実施していない会社や、近年ではさまざまな配達会社が普及しておりすべてに対応できないというのもある。共用施設の抽選などは、運用方法を変えることで改善が見込める可能性もあるが、住人のトラブルは極めてやっかいだ。
どれだけ慎重に検討しても、住んでみないと分からないことはたくさんある。まさに「住人十色」。うまく住みこなしていくしかないのかもしれない。
【関連記事】>>「隣人ガチャ」で大ハズレ!ブラック住民がいるマンションを事前に見抜く方法はある?
注目記事>>新築・中古マンション市場動向は? 注目物件や在庫状況など最新市況を不動産アナリストが解説
◆新築マンション人気ランキング |