2024年12月の関西・中部圏のマンション市場は、先月に引き続き全体として好調を維持している。今月は関西の新築マンション市場動向に加えて、2024年の近畿圏新築分譲マンション市場動向のまとめ、中古マンションの市況、注目のマンションなどについて解説する。(※2025年2月現在では2024年12月データが最新となる)
関西の新築マンション市況【2024年12月】
2024年12月の関西における新築マンションの市場は、全体として供給が減少する中、価格や単価が上昇する傾向が続いている。
2024年12月の新築分譲マンションの発売戸数は2,404戸、前年の同月比では38.2%ダウンし、2カ月ぶりに前年同月を下回った。兵庫県下以外の全エリアでは大幅減となっている。とくに神戸市部ではファミリー向けの大規模マンションが発売され、投資用の発売もあり大幅に供給増となった。
契約率は63.7%、前年の同月比9.7ポイントのダウンと急落している。前月までは6カ月連続で70%を超えていたが、7カ月ぶりに70%を下回った。平均価格は5,090万円、前年の同月比で2ケタアップ、㎡単価は88.3万円で5カ月連続の上昇。未販売在庫数は12月末時点3050戸、前月末比629戸の増加となった。

2024年12月の関西の新築分譲マンションのデータ

平均価格をエリア別にみると、大阪市内の平均価格は前年同月比42.8%アップの5,692万円、㎡単価では29.2%アップの119.8万円。大阪市部は高額タワーマンションの販売が開始され、価格・単価を引き上げた。
なお、2025年1月の発売戸数は1,000戸程度の見込みとなっている。2024年1月の発売戸数は727戸だった。
2024年のまとめ 関西エリアの新築分譲マンション市場動向
不動産経済研究所は先月、 近畿圏(関西エリア)新築分譲マンション市場動向の2024年まとめを発表した。発表された各指標は以下の通り。
2024年の新築分譲マンションデータ

発売戸数は前年比1.6%減の1万5,137戸で3年連続の減少となった。内訳はファミリー物件が前年同月比2.4%減の1万1,672 戸、投資用物件が前年比1.1%増の3,465戸。この他に定期借地権付きマンションが前年比71.6%増の1,062戸となっている。
契約率は年間平均で70%を超える高さを維持した。平均価格と㎡単価はともに14.8%アップ、㎡単価は1973年の調査開始以降の最高値を4年連続で更新した。2025年の発売戸数は1万5,500戸程度の見込みで、ほぼ前年並みの予想。価格上昇は建築費上昇だけでなく供給不足にも支えられている格好だ。
平均価格をエリア別にみると、トップは大阪市内で前年比45.7%アップの6,126万円。梅田の高額物件である「グラングリーン大阪THE NORTH RESIDENCE」の登場によりで大きく上昇した。
関西・中部圏の中古マンション市況【2024年12月】
次に関西・中部圏の中古マンションの市況を見ていく。中古マンション市場は総じて堅調を維持しているが、中部圏では価格の高止まりの兆しが見え始めている。
関西エリア(大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県)
近畿圏(関西エリア)の中古マンションの市場動向や需給状況【2024年12月】

近畿圏の中古マンション成約件数は前年の同月比6.7%増、2024年の成約件数もおおむね増加基調で推移した。
新規登録物件数は24カ月連続で前年同月を上回った。取引件数と売物物件はともに増加傾向を維持し、需給のバランスがとれている。成約㎡単価は18カ月連続で前年同月を上回っている。
新規登録㎡単価は7カ月連続で前年同月を上回り、新規登録㎡単価の上昇率は成約㎡単価と同水準となった。つまり新規売り物件と成約の単価はともに高額化が続いている。
成約件数をエリア別にみると、7カ月連続で増加している大阪府北部(池田市、箕面市、豊中市、吹田市、摂津市、茨木市、高槻市など)のほか、神戸市、京都市、阪神間(尼崎市、西宮市、芦屋市、宝塚市、伊丹市、川西市、三田市、他)なども12エリア中半分の6エリアで2桁増となった。
成約㎡単価は12エリア中7エリアが上昇、そのうち大阪市と大阪府北部、和歌山県は2桁上昇となり、大阪市は18カ月連続で上昇した。一方、成約件数が増加した阪神間の㎡単価は下落し、神戸市や京都市も横ばいで、地域差もみられた。
中部エリア(富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)
中部圏の中古マンションの市場動向や需給状況【2024年12月】

成約件数は前年同月比5.4ポイントアップ、成約価格は平均で2,230万円と前年の同月比2.7ポイントダウン。成約㎡単価も1.9ポイント下がるという結果になっている。専有面積の減少と築年数が古くなっていることも原因かもしれない。
エリア別にみると、取引のメインとなる愛知県で㎡単価と平均価格が成約・新規登録ともに下落しており、全体の数値とほぼ比例している。
中部圏の在庫状況は増加傾向が続いており、2024年12月時点で8826戸となっている。
今月の注目のマンション 名古屋市「千種・今池に集中する新築マンション」
今月の注目マンションは名古屋市の「千種区今池エリアに集中する新築マンション」について紹介したい。
名古屋市営地下鉄の今池駅周辺はコロナ禍以前から数年にわたり新築マンションの供給がほぼなかったエリアであった。ところが近年、名古屋市内でも有数の新築マンションが集中するようになっている。
今池駅は名古屋市営地下鉄の東山線と桜通線が乗り入れており、交通の便が非常に良い。駅周辺には現在、「ローレルタワー名古屋千種」や「ザ・ファインタワー名古屋今池」、「デュオヒルズ今池」、「マストスクエア千種神田町」などの販売が続いている。
さらに、東急不動産と関電不動産開発による20階建て総戸数157戸の 「名古屋市千種区今池五丁目計画」も予定されている。
ローレルタワー名古屋千種
近鉄不動産の「ローレルタワー名古屋千種」は今池駅から徒歩3分建物南側は広い道路に面しており眺望と開放感に恵まれた立地である。

ザ・ファインタワー名古屋今池
京阪不動産の「ザ・ファインタワー名古屋今池」は今池駅直上に建ち上げられている。建設工事は現在、29階建てのうち26階付近まで進んでいる。

東急&関電「名古屋市千種区今池五丁目計画」
イオン今池の跡地で進められている の「名古屋市千種区今池五丁目計画」。予定地は南側、北側、東側の3方向が道路に面している。今池駅までは近い出入口でおよそ200mほどで、エントランスの位置にもよるが徒歩で3分程度になりそうだ。

現在は地盤工事など準備中で、2025年3月に着工しており、2028年3月末に完成する(予定である。完成後はイオン今池がふたたびオープンするものとみられる。
まとめ
2024年の関西(近畿)、中部圏のマンション市況は全体として好調に推移したといえる。建設費や供給量からみても価格面は下落する要素が少なく、2025年も同程度かさらに上昇する可能性もある。
2025年1月に日銀は0.5%の追加利上げを行ったが、今のところ市場動向への影響は限定的である。住宅ローンは各行が金利を上げ始める中、最大手の三菱UFJ銀行は金利優遇を拡大し実質の適用金利でネット系銀行などを下回る金利を打ち出した。他行でも金利以外のサービスを充実させる動きがあり、金利上昇による影響は抑えられている。今後もしばらくは価格の維持、または上昇が続きそうだ。
※関西圏は大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県の6府県エリア
※中部圏は富山県・石川県・福井県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県の7県エリア
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