新築マンション「ルネ本厚木」は神奈川県厚木市の注目物件だが、本当に買いなのか、価格・スペック・立地を徹底的に調査してみた。最寄り駅の小田急小田原線本厚木駅は、東京都心までのアクセスという点では劣るものの、子育てファミリーにとっては魅力的な物件だ。全戸南向きで、駐輪場には全戸分の大型駐輪スペースを確保。2LDKが3438万円からという価格も納得感が大きく、第1期の80戸はあっさり売れてしまった。(住宅評論家・櫻井幸雄)※新築販売時の記事です。
2018年11月の第1期分譲は80戸を即売
小田急小田原線の本厚木駅周辺が新築マンションの激戦区になりつつある。まもなく分譲を開始する新築物件を含めると4物件があり、購入検討者が迷うほど。そのなかで、一足先行しているマンションが、「ルネ本厚木」だ。
「ルネ本厚木」は、昨年11月に行われた第1期分譲80戸が即日完売となった。人気の理由は、立地の便利さと、子育てファミリーに向けた商品企画、そして納得感のある価格設定をあげるべきだろう。
3つの要素を一つずつ説明してゆこう。
【完売】ルネ本厚木(※新築時のデータです)
- 価格
- 3,488万円 ~ 4,968万円
- 完成時期
- 2020年3月下旬(予定)
- 神奈川県厚木市田村町1282-14・1284-8(地番)
- 小田急小田原線「本厚木」駅 徒歩5分
- 間取り
- 2LDK + S(納戸) ~ 4LDK
- 専有面積
- 60.99㎡ ~ 82.27㎡
- 総戸数
- 222戸
- 売主
- 総総合地所株式会社/東急不動産株式会社/西日本鉄道株式会社
- 施工会社
- 株式会社長谷工コーポレーション
※データは2019年1月25日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
本厚木駅から徒歩6分、イトーヨーカドーが隣接
まず、立地の便利さについて。
建設地は、小田急小田原線本厚木駅から徒歩6分。商業施設が集まるエリア内で、もともとはイトーヨーカドーの駐車場となっていた場所だ。イトーヨーカドーは一時閉店し、駐車場跡地に移転新築される。その際、新設されるイトーヨーカドーと隣り合うように建設されるのが、「ルネ本厚木」。
だから、スーパーマーケット隣接のマンションとなるわけだ。イトーヨーカドーは、2019年春にオープン予定。「ルネ本厚木」は、その約1年後に入居予定なので、新しいスーパーマーケットのそばで、新しい生活が始まることになる。
ちなみに、旧イトーヨーカドー跡地には、2つのマンションが新築され、春から分譲を開始する。つまり、イトーヨーカドーが移転新築されたことで、3つのマンションが誕生し、ほぼ同時に販売されることになったのである。
新宿まで46分の所要時間、ノロノロ運転はほぼ解消
同マンションの弱点は、本厚木駅を最寄りとすること。神奈川県厚木市の中心駅で、1日の乗降客数は15万人に達する。非常に活気のある駅なのだが、都心への通勤はむずかしい場所と考える人が多い。
実際、本厚木駅よりも都心(新宿)寄りに住む人が、本厚木のマンション購入を検討するケースが希だろう。本厚木駅周辺に住む人、もしくは本厚木駅よりも下った駅・愛甲石田駅とか伊勢原駅などに住む人が主に購入を検討することになるだろう。
都心から30㎞以上離れ、通勤圏外と思う人が多い。それが本厚木駅だ。が、新宿からの所要時間を調べると46分で、ロマンスカーも利用できる。朝の6時から8時台まで始発電車が17本もある。
加えて、小田急線は2018年春、着工から30年をかけた複々線化工事が完了。以後、ラッシュ時の混雑が大幅に緩和されている。昨年7月に小田急電鉄が公表した数字によると、ラッシュ時の混雑度は192%から151%に軽減された。これは、新聞を広げて読むことができるくらいの混み具合だ。
これまで、小田急線の短所とされた「新宿駅に近づくと生じていたノロノロ運転」もほぼ解消。その結果、小田急沿線のマンションは軒並み注目度が上がっている。本厚木も、通勤圏外とは言い切れなくなっている。それも、「ルネ本厚木」が人気を高めている理由だろう。
全戸分の大型駐輪スペースを確保
2つ目の人気要因、子育てファミリーに向けた商品企画について説明しよう。
「ルネ本厚木」は、総戸数222戸。そのスケールメリットで、共用施設が充実。その共用施設で子育てファミリーに向けた商品企画が行われる。
カフェラウンジやパーティルーム、ゲストルーム、そしてパパママラウンジ併設のキッズルーム、ランドリー室やベンダーコーナーなど多彩な施設が、様々な企業のコーディネイトによって実現する。
さらに、驚いたのは、駐輪場に全戸分の大型駐輪スペースが確保されていること。これは、親子3人乗車ができる電動アシスト付き自転車も収めることができる2m×60㎝サイズで、平置き式。つまり、自転車をラックに載せる必要がないのだ。
大きくて重い3人乗り電動アシスト付き自転車をラックに載せるのは至難の業。というより、不可能。だから、ラックに載せずに収めることのできるスペースが1戸の1スペース用意されている。これ以外に、ラック式の駐輪場も1台分確保。合わせて、1住戸に2台分の駐輪場スペースがある。
それもまた、子育て世帯のことを考えたうれしい工夫といえる。
厚木市は子育てのしやすさでは神奈川で一番
もともと厚木市は子育て支援に力を入れている行政区である。「目指せ子育て環境日本一」を合い言葉に、保育士が厚木市に集まりやすいよう保育士のための助成金を拡充したり、子ども医療費助成、預かり保育サービスなどが充実。子育て支援センター、子ども科学館などを積極的に展開している。
その結果、「共働きで子育てしやすい街ランキング2017」(日経DUAL・日本経済新聞社調べ)で神奈川県内第1位、全国で第6位になっている。「子育てしやすい」というエリア特性に合わせ、「ルネ本厚木」は子育てしやすい工夫を凝らしたマンションになるわけだ。
全戸南向きで南側は戸建ての住宅地
「ルネ本厚木」は住戸の工夫も多い。
まず、すべての住戸が南向きである。
といっても、建設地に出向くと、現状、敷地南側の道路が狭い。これではなあ、と思ったが、マンションの建設と合わせて道路の拡幅が決まっているのだそうだ。マンション完成時には幅約6mの道路になる計画。マンション敷地内のグリーンプロムナード(幅約7m)と合わせると幅約13mのスペースが開くことになる。
その拡幅された道路の南側は住居系の用途地域となるため、一戸建てを中心にした住宅地が広がる。「ルネ本厚木」の住戸は全戸南向きで2階以上に配置され、目の前は住宅エリア。そうなると、日当たりがよいのは当然として、眺望が大きく開ける住戸が多くなる。これも、子育て世帯に喜ばれる工夫だろう。
77㎡の角住戸が4400万円台から5000万円台
「ルネ本厚木」の人気要因、最後の項目は、納得感が大きい価格設定だ。
第1期として分譲された80戸は、約60㎡〜82㎡の2LDK+S(納戸)〜4LDKが3438万円から5398万円。角住戸タイプで約77㎡の大型住戸でも4400万円台から5000万円台で購入可能だった。
納得感が大きい設定だが、じつは今、「ルネ本厚木」のすぐ近くで別のマンションが販売を開始しており、そちらが「予定販売価格1900万円台から」と打ち出している。それと比べると、3438万円からの価格は高く見える。
が、1900万円台から、というのは約34㎡1LDKの予定価格。3LDKの半分近い面積なので、価格が大幅に安いのは当然である。同じ3LDKで比べると、「ルネ本厚木」の第1期分譲が「3LDKが3438万円から」であるのに対して、予定価格3300万円台から、となっている。やはり、「ルネ本厚木」よりも、これから販売を開始するマンションのほうが安くみえる。
といっても、実際には、3LDKの広さや設備仕様、共用施設・サービスのレベルなどを総合的に判定しなければならない。
購入検討する人は、後発物件のモデルルームを見て、駅からの距離、買い物の便利さ、採光なども含めて、自分にふさわしいのは、どちらかを考えたい。
ライフスタイルにあわせて間仕切りを変えられる
UGOCLO(ウゴクロ)はグッドデザイン受賞
「ルネ本厚木」は設備仕様のレベルも高く、キッチンにはディスポーザー(生ゴミ粉砕処理機)と食器洗い乾燥機を標準設置。グッドデザイン受賞の間仕切り可動システム「UGOCLO」をはじめとした収納スペースが多く、平均収納率は10%に達する。
梁のでない特殊な工法を採用しているため、下がり天井がほとんどなく、壁沿いに背の高い家具を配置しやすいという特徴もある。
玄関横に小窓を付けるなどの工夫で、夏は、窓からの風で自然の涼しさを採り入れようという「パッシブ・デザイン」も採用される。
建物の基本性能が高く、長く住み続けて満足度の高いマンションと評価された。そう思う人が多いため、第1期80戸があっさり売れてしまったのだろう。
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