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新築・中古マンション市場動向は? 注目物件や在庫状況など最新市況を不動産アナリストが解説!【2024年11月版】

2024年11月11日公開(2024年11月11日更新)
岡本郁雄:不動産アナリスト

以下は、2023年11月の市況記事です。

首都圏の新築・中古マンションの最新市況について解説したい。2023年度上半期の首都圏新築分譲マンションの平均価格は7,836万円で、前年同期比23.7%の価格上昇となった。初月契約率は71.4%で、好不調の目安とされる70%を上回っている。2023年7~9月期の中古マンションの成約件数は、前年同期比で4.2%上昇し、成約㎡単価も6.3%上昇と好調だ。今月も新築マンション市況と中古マンション価格動向、および注目マンションを紹介したい。(不動産アナリスト・岡本郁雄)

最新の首都圏新築マンション市況【2023年9月度】

 上半期を振り返る前に、まずは、2023年9月度の新築マンション市場を見てみよう。9月の契約率は67.7%と悪くはない数字で、価格上昇のトレンドに変化はない。

首都圏の新築マンション市場動向2023年9月

  新規販売戸数 1戸当たり平均価格 ㎡単価 契約率
2022年9月 2,036戸 6,653万円 101.2万円 61.6%
2023年8月 1,469戸 7,195万円 114.9万円 68.6%
2023年9月 2,120戸 6,727万円 101.8万円 67.7%

首都圏の新築マンション市場動向(出典:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2023年9月」)

 発売戸数は、前年同月比4.1%・84戸増の2,120戸。契約率は、前年同月比6.1ポイントアップの67.7%となっている。また、1戸当たり平均価格は、前年同期比で1.1%アップの6,727万円

 上の表には載っていないが、販売在庫は4,737戸で、前月よりも25戸の増加。2022年9月末の販売在庫は4,797戸だったので、新築マンションの在庫は低水準が続いている。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の新築マンション価格(平均価格)と契約率の推移を示す。

不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成
過去5年間の首都圏の新築マンション価格(戸当たり平均)と契約率の推移
不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成

 また、首都圏新築マンションの地域別の発売状況は下表のようになっている。

首都圏新築マンションの販売動向(2023年9月)

  新規販売戸数(前年同月比) 契約率 平均価格
東京23区 831戸(-0.1%) 56.3% 8,915万円
都下 382戸(+106.5%) 89.5% 5,337万円
神奈川県 415戸(-24.3%) 76.6% 5,899万円
埼玉県 149戸(-44.0%) 39.6% 4,563万円
千葉県 343戸(+67.3%) 72.6%

4,917万円

 都下の新規販売戸数が前年同月比で大幅に伸びている。これはJR青梅線昭島駅徒歩5分の大規模マンション「プレミスト昭島モリパークレジデンス 」の第1期販売がスタートしたことによるものだ。

 大型複合商業施設やスポーツ施設・ホテルなどが集積した都市型リゾート「東京・昭島 モリパーク」内初の住宅プロジェクトで、総戸数は481戸。共用施設に、「プライベートサウナ」、個室を備えた「ワークラウンジ」、「ランドリールーム」「家庭菜園スペース」などが設置されている。売れ行きも堅調で、都下の契約率を押し上げている。

 神奈川県の契約率が76.6%、千葉県の契約率が72.6%と好調な一方、都区部の契約率が56.3%、埼玉県の契約率は、39.6%と低調だった。

 また平均価格をエリア別で見ると、東京23区が8,915万円で前年同期比1.8%の上昇。東京都下が5,337万円、神奈川県5,899万円、埼玉県4,563万円、千葉県4,917万円。東京23区とその他の地域での価格差は、依然として大きい。 

 続いて、中古マンション市場を見てみよう。

首都圏の中古マンション市況【2023年9月度】

 2023年9月度の首都圏中古マンションも売れ行きが上昇傾向だ。

 成約件数は、前年同月比6.7%増の3,191件と4カ月連続で対前年比プラスになっている。

 成約価格は、前年同月比4.5%上昇の4,618万円。平均成約㎡単価も対前年同月比4.8%上昇の72.44万円となっている。成約㎡単価が前年同月を上回るのも、41カ月連続となる。

 また、2023年9月の新規登録物件の㎡単価は72.78万円となっていて、前月よりも+1.4%、前年同月比で+0.2%となった。

 新規登録㎡単価と成約㎡単価の乖離(かいり)が小さく、堅調な中古マンションの売れ行きを後押ししていると思われる。なお、成約㎡単価は、前月よりも2.2%下落している。

首都圏の中古マンション市場動向2023年9月

  成約件数 平均成約㎡単価 新規登録件数 在庫件数
2022年9月 2,990件 69.10万円 15,512件 39,274件
2023年8月 2,367件 74.08万円 14,701件 45,961件
2023年9月 3,191件 72.44万円 17,006件 46,291件

首都圏の中古マンション市場動向(出典:東日本不動産流通機構発表「2023年9月度の中古マンション月例速報」)

 2023年9月の新規登録件数は、対前年同月比で9.6%増加の17,006件。在庫件数は、前月よりも0.7%増加し46,291件となっている。前年同月比では17.9%増加しており高水準のままだ。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の中古マンション価格(成約㎡単価、在庫㎡単価)と在庫件数の推移を示す。まず、2021年の半ばから在庫件数が大きく伸びていることがわかる。

 そして直近5年間の在庫件数のピークは、2019年2月度の48,796件であり、その値に近づきつつある。在庫件数がこのまま増え続ければ価格調整が入るかもしれないので注意が必要だ。

 次に地域別の中古マンション動向を見てみよう。

首都圏の中古マンション成約㎡単価(2023年9月)

  東京23区 都下(多摩) 横浜・川崎市 神奈川県その他 埼玉県 千葉県
成約㎡単価 103.21万円 53.02万円 62.45万円 41.55万円 42.59万円 40.27万円
前年同月比 +3.2% +3.2% +2.7% -1.4% -3.7% +6.7%
前月比 -2.7% +0.5% +1.7% +1.1% +1.5% +3.1%

 

(出典:東日本不動産流通機構発表「2023年9月度の中古マンション月例速報」)

 2023年9月度の成約㎡単価は、前年同月比で見るとバラツキがあり埼玉県や神奈川県その他は、マイナスになっている。また、前月比では都区部(東京23区)以外は上昇している。

首都圏のマンション市場2023年度上半期を振り返る

新築マンション

 不動産経済研究所発表の2023年度上半期(4月~9月)の新築マンション市場動向によれば、供給戸数は前年同期比4.6%減少の11,712戸。内訳を見ると、都区部の供給戸数が5,679戸となっており次いで神奈川県の2,072戸、千葉県の1,889戸、埼玉県が1,122戸、東京都下が950戸となっている。

 都区部の供給シェアが48.5%と最も高く、2位が神奈川県の17.7%、千葉県が16.1%と続く。千葉県は前年同期比で33.8%供給が増えており、伸びが目立っている。

 平均価格は、23.7%上昇の7,836万円。㎡坪単価は、24.0%上昇の118.9万円となっており、前年同期比で大幅な上昇が見られる。

 これは、平均坪単価が1,300万円を超える三田ガーデンヒルズや、平均坪単価1,100万円超のワールドタワーレジデンスをはじめとする都心の高級マンションの分譲が2023年度上半期に多かったことに起因する。

 また、平均契約率は71.4%と高い水準を維持しており、23区では74.0%にも上る。2023年7月に分譲された「HARUMI FLAG SKY DUO」第1期1次は、573戸の供給に対し全戸に申し込みがあり、登録申込数は8,790件に及んだ。平均価格が9,000万円を超えるマンションにこれだけの申し込みが入るのは驚きだ。

 2023年5月には、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され人の往来も活発に。テレワークの比率も下がりつつあり、都心居住への注目度が高まっているように感じる。通勤利便性の高い立地のマンションも好調だ。

中古マンション

 次に、中古マンション市場を見てみよう。

 公益財団法人東日本不動産流通機構による2023年7~9月期の不動産流通市場動向によれば、成約件数は前年同期比で 4.2%増加し、9期ぶりに前年同期を上回った。

 また、成約㎡単価は前年同期比で6.3%上昇し、13期連続で前年同期を上回っている。成約価格も前年同期比で6.1%上昇し、2012年10~12月期から44期連続で前年同期を上回った。

 地域別で見ると、成約㎡単価はすべての地域が前年同期比で上昇。東京都区部が43四半期連続、多摩が16期連続、横浜・川崎市と埼玉県、千葉県は13四半期連続、神奈川県他は11期連続で前年同期を上回っている。

都県地域別中古マンション成約㎡単価(出典:公益財団法人東日本不動産流通機構)
都県地域別中古マンション成約㎡単価(出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「2023年7〜9月期の不動産流通市場の動向)

 成約㎡単価を前期比で見ると、東京都区部が2023年4~6月期の106.03万円から、2023年7~9月期には105.40万円にわずかへと下落している。

 10年物日本国債の金利は、0.5%を割っていた2023年7月初旬に比べ、2023年10月末には0.9%を上回る水準をつけた。金利上昇の負担は、借入額が大きいほうが影響を受ける。さらに金利が上昇すれば、高価格帯の中古マンションの売れ行きに影響が出るかもしれない。

うめきた2期地区開発事業初の分譲「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」

 次に、今月の注目マンションを紹介する。

「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」の完成予想模型(筆者撮影)
「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」の完成予想模型(筆者撮影)

 うめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」の開発エリアで初めてとなる分譲マンション、「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」の販売概要が公開された。

 交通は、JR「大阪」駅中央北口から徒歩7分。構造・階数は、鉄筋コンクリート造一部鉄骨造・地上46階建て。総戸数は、484戸(募集対象外住戸248戸を含む)となる。

 完成予定は、2025年12月下旬で、引き渡しは2026年3月下旬以降。売り主は、積水ハウス、大阪ガス都市開発、オリックス不動産、関電不動産開発、竹中工務店、阪急電鉄、三菱地所レジデンス、うめきた開発特定目的会社の8社。施工は、うめきた 2期共同企業体として竹中工務店と大林組が担当する。

ロケーションが魅力

 「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」の魅力として、まず挙げられるのが、そのロケーションだ。

 都市公園「うめきた公園」を中心に配した約9.1haの大規模複合開発である「グランクリーン大阪」には、緑と融合した生命力あふれる都市空間が実現。オフィスや商業施設などさまざまな機能を有する。

 レジデンスは、その中の「北街区」に位置し、開発計画の最大の特徴である「うめきた公園」が眼前に広がる。

 南向き住戸は、その広大な公園を望む視界を確保し、西側住戸は、淀川の花火を楽しめる。それぞれの立地の魅力を活かしたプランニングとなっている。

まるで王宮のような豪華さ

 建物のコンセプトは、「次代の王宮」。外観の頂部やコーナーを凹凸感のあるデザインにすることで、陰影のある印象的なフォルムに。基壇部は、アースカラーの石やタイルを用いた落ち着いた雰囲気となっている。

コリドール完成予想CG(公式ホームページ から)
コリドール完成予想CG(公式ホームページから)

 シンメトリー(左右対称)を意識した空間構成も特徴的。本館4階には、「THE PALACE」と呼ぶにふさわしい迎賓空間として、コリドール(共用通路)を設計。天井の広がりを大胆に使い、シャンデリアと石柱でシンメトリーな空間構成だ。

 壁面には、大阪の自然をモチーフにしたアートを配置し、ヨーロッパの王宮のような水盤と植栽を配した美しい景色がガラスウォール越しに広がる。別棟には、ガーデンラウンジや屋上庭園を配置。本棟39階にはスカイラウンジも用意されている。 

 リビングダイニングの天井高は5mもの高さで、筆者が過去に見たモデルルームの中では、トップクラスの豪華さ。全戸の玄関には両引きオートスライドドアを採用し、奥行きも確保。各住戸が迎賓館のようで、まさに王宮と呼ぶにふさわしいつくりだった。

愛車を自宅の中に運び込める住戸も

カーギャラリー付き住戸のイメージ(公式ホームページ から)
カーギャラリー付き住戸のイメージ(公式ホームページから)

 「カーギャラリー」を設けた住戸があるのも注目ポイントとなる。

 防音室のような専用空間が部屋の中に設置されており、愛車を専用エレベーターで部屋まで運び込むことができる。自宅のリビングで、愛車を眺めながらくつろぐことが可能だ。 

 さらに、全邸宅に家庭用燃料電池「エネファーム type S」を設置し、非常用発電機と組み合わせて停電時に棟内で電力を融通し合う自立型エネルギーシステムを導入する。これにより、ライフラインの維持に必要な給水ポンプ、エレベーター、そして各住戸についても停電後約72時間の給電が可能となる。

 価格は現在未定だが、最高価格は25億円の予定。第1期の販売は、2024年2月に予定されているが、かなりの注目を集めそうだ。 

まとめ

 ロシアによるウクライナ侵攻に加え、イスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃とその後の軍事衝突で中東情勢が緊迫化している。世界的なインフレと金利上昇、中国経済の低迷など先行きの不安要素は多い。

 マンション価格の上昇を受けて借入期間最長50年の超長期住宅ローンも登場しているが、先日取材した郊外の新築分譲マンションでは、その利用者はゼロだという。

 物件選びはもちろん、今後は資金計画もより慎重になるべきだろう。日本銀行による金融緩和政策が変われば、金利も上昇する。住宅ローンの借り過ぎには、注意したい。

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