新築・中古マンション市場動向は? 注目物件や在庫状況など最新市況を不動産アナリストが解説!【2024年4月版】

2024年4月8日公開(2024年4月11日更新)
岡本郁雄:不動産アナリスト

以下は2023年7月の市況記事です。

新築・中古マンションの最新市況について解説する。不動産経済研究所によれば、2023年5月度の首都圏新築マンション平均価格は8,068万円となり、億ションの大量供給があった2023年3月度に続き、再び8,000万円を超えた。東京23区は、1億1,475万円となっており前年同月比47.9%の上昇だ。今月も最新のマンション市況と注目マンションを紹介する。(不動産アナリスト・岡本郁雄)

最新の首都圏新築マンション市況【2023年5月度】

 2023年6月に入ってからも、新築マンション市場は好調だ。分譲各社の話では、供給ラインアップの大半のマンションの販売が堅調だという。建築費の上昇で販売価格の引き上げは、避けられない状況だが、電気料金や物価の上昇もありマンションの購入検討者にも先高観が浸透しつつあるという。

 一時期に比べ長期金利が低下し住宅ローン金利が低水準のままであることも販売にプラスになっているようだ。

建築費の上昇が新築マンションの供給に影響

 建築費の上昇によって、マンション供給にも影響が出はじめている。不動産経済研究所の発表によると、2023年5月度の首都圏新築マンションの発売戸数は、対前年同月比21.5%減少の1,936戸、対前年同月より530戸減少している。 

首都圏の新築マンション市場動向(出典:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2023年5月」)

 2023年5月度の新築マンションの1戸当たりの平均価格は8,068万円となっており前年同月比で32.5%の上昇。

 また1㎡当たりの単価は120.6万円で、前年同月比33.0%のアップとなった。中でも東京23区の上昇率が高く、平均価格は47.9%上昇の1億1,475万円。㎡単価は、36.7%上昇の175.2万円となった。

 2023年5月期の首都圏初月契約率は74.3%となり前年同月比で4.1ポイントアップ、前月比では0.6ポイントアップで、好調の目安とされる70%を今月もキープしている。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の新築マンション価格(平均価格)と契約率の推移を示す。

不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成
不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成

 また、販売在庫は4,936戸で、前月よりも47戸の減少。2022年5月末の販売在庫は5,346戸だったので、在庫は低水準が続いている。

郊外のエリアの相場感はあまり変わらず

 首都圏新築マンションの地域別の発売動向は、下表のようになっている。

首都圏新築マンションの販売動向(2023年5月)

  新規販売戸数 前年同月比 契約率 平均価格
東京23区 886戸 +7.5% 78.6% 1億1,475万円
都下 78戸 -73.6% 33.3% 4,911万円
神奈川県 278戸 -38.4% 64.4% 6,078万円
埼玉県 228戸 +56.5% 65.4% 4,939万円
千葉県 466戸 +25.6% 83.3%

4,837万円

 平均価格は、神奈川県が6,078万円と前年同月に比べて22%の上昇で6,000万円超に。一方で、埼玉県は4,939万円、千葉県が4,837万円となっている。

 東京23区内では、新規プロジェクトが地域の相場を押し上げる傾向が続いているが、大規模マンションの継続期が多い郊外エリアは、相場観は大きく変わってはいない。進捗状況も東京23区に比べると緩やかで、この状況はしばらく続きそうだ。

首都圏の中古マンション市況【2023年5月度】

 次に中古マンション市場を見てみよう。首都圏中古マンションの市場動向も、新築マンション同様、価格上昇が続いている。

 首都圏中古マンションの平均成約価格は、前年同月比で9.5%上昇の4,569万円。平均成約㎡単価は、70.95万円で同+8.1%となっている。成約㎡単価が前年同月を上回るのは、37カ月連続となる。また、2023年5月の在庫㎡単価は、73.42万円となっていて前月より2.5%下落した。

 2023年5月度の首都圏中古マンションの成約件数は、下記の表の通り2,737件となっており、前年同月(2,877件)比で4.9%減少した。

首都圏の中古マンション市場動向2023年3月
首都圏の中古マンション市場動向(出典:東日本不動産流通機構発表「2023年5月度の中古マンション月例速報」)

 2023年5月の新規登録件数は、前月よりも減少したものの前年より2,000件超も増加。在庫の増加トレンドは継続しており、4万5千件を超えた水準が続いている。在庫件数に対する成約件数の割合は、前年よりも大きく低下している。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の中古マンション価格(成約㎡単価、在庫㎡単価)と在庫件数の推移を示す。

東日本不動産流通機構の市場動向データをもとに編集部が作成
東日本不動産流通機構の市場動向データをもとに編集部が作成

 地域別の成約㎡単価は、前年同月比では全ての地域がプラス。東京23区は1年前より8.2%上昇し、㎡単価が104.58万円となり直近の最高値を更新した。

首都圏の中古マンション成約㎡単価(2023年5月)

  成約㎡単価 前年同月比
東京23区 104.58万円 +8.2%
都下(多摩) 50.72万円 +5.9%
横浜・川崎市 60.46万円 +6.8%
神奈川県その他 39.81万円 +5.3%
埼玉県 41.00万円 +0.9%
千葉県 37.06万円 +4.1%

 また、横浜市・川崎市も1年前よりも6.8%の上昇と高い伸びを示している。2023年5月度の神奈川県の新築マンション価格は、6,078万円で対前年同月比22.0%の上昇。新築マンション価格の上昇が、中古マンション価格を押し上げているようだ。

【関連記事】>>最新の新築マンション相場、価格、売れ行きを櫻井幸雄氏が解説!高倍率となった超人気マンションを一挙公開!【2023年最新版】

 首都圏で5,000万円前後の物件はまだ十分にある

 不動産経済研究所は、首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)における新築分譲マンションの1戸当たり価格、および専有面積の中央値を集計して、その平均値との比較を行った。中央値(MEDIAN)とは、価格や面積を順番に並べた際にちょうど真ん中となる値のことだ。

 首都圏マンションの価格の推移を見ると、住戸価格はほぼ一貫して上昇基調にある。

 施工費や用地費の上昇、都心エリアの高級マンションやタワーマンションの積極供給、郊外部でも駅近など立地を厳選する傾向が強まったことなどによりマンション価格は上昇しているが、平均値に比べ中央値は上昇がより緩やかなものとなっている。

首都圏新築マンション住戸価格 平均値・中央値の年度別推移(出典 不動産経済研究所)
首都圏新築マンション住戸価格 平均値・中央値の年度別推移(出典 不動産経済研究所

 2022年度(2022年4月~2023年3月)の戸当たり価格では、平均値は6,907万円と前年度より8.6%上昇して年度としての過去最高値を更新。それに対して中央値は5,432万円で、前年度1.0%の上昇にとどまっている。

 不動産経済研究所は、今後も都心やその周辺エリアでは高額な大規模タワー案件の供給が数多く見込まれることから、平均値と中央値の差も1,000万円以上を維持する可能性が高いとしている。

 この調査が意味するところは、まだ首都圏には5,000万円台前後で購入できるマンションが十分あるということだ。

今月の注目マンション「ブランズシティ本郷台」と「グランドシティタワー池袋」

首都圏で5,000万円未満から買える!「ブランズシティ本郷台」

 JR京浜東北・根岸線「本郷台」駅徒歩7分から9分に立地する3街区全458戸の大型再開発ブランズシティ本郷台もその一つ。社宅の跡地である2.3ヘクタールを超える広大な地に「リバーサイドテラス」「ゲートテラス」「フィールドテラス」の3棟構成で誕生。2023年4月に全街区が竣工済みだ。

 2020年10月にモデルルームが公開されて総来場数は1700組を超え、全体戸数の8割を超える住戸が契約済みと好調。その人気の理由が手の届きやすい価格設定だ。

「ブランズシティ本郷台」の完成予想CG
「ブランズシティ本郷台」の完成予想CG(画像出典:公式ホームページから)

 2023年7月12日時点での先着順受付中住戸の価格は、ゲートテラスが70.68㎡~77.33㎡の住戸が4,668万円~5,068万円(販売戸数5戸)。リバーサイドテラスが、72.40㎡~72.58㎡の住戸が4,798万円~5,148万円(販売戸数9戸)。平均坪単価は220万円前後。

 ある程度年収のあるファミリー層なら、十分手が届く価格設定だ。管理費は、現在販売中のゲートテラスが12,100円~13,100円、リバーサイドテラスが12,300円。都心などのタワーマンションの管理費が高止まりする中、家計にやさしい設定だ。

 価格が安いのには理由がある。第1期のモデルルーム公開が2020年10月だったように、事業計画がコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻を受ける前。この1年で大きく上昇した建築費アップの影響をほとんど受けていない。

 また、スケールメリットのある大規模マンションであることや5階建てであることも価格が抑えられている要因だ。先日、竣工内覧会で筆者も内部を見学したが、共用施設や設備スペックも値頃感ある価格設定にしては充実している。

ブランズシティ本郷台フィールドテラスのコミュニティフィールド(画像:筆者撮影)
ブランズシティ本郷台フィールドテラスのコミュニティフィールド(画像:筆者撮影)

 現地を訪ねて感じるのは、敷地に配した豊富な植栽。四季を織りなす約70種・約2700本の樹木が敷地内に配され、共用部であるラウンジやコミュニティスペースからの借景にもなっていて、居心地が良い。

 ライブライリーには、独立型のデスクがあるなどテレワークにも対応。パーティールームやゲストルーム、テラスラウンジなども用意されている。バーベキューもできるイベント広場も設けられ、地域との交流にも活用。住民向けのコミュニティサポートプログラムも用意されている。

ブランズシティ本郷台フィールドテラスのエントランスホール(画像:筆者撮影)
ブランズシティ本郷台フィールドテラスのエントランスホール(画像:筆者撮影)

 スライド式ビルトイン食洗機やディスポーザー、浄水器一体型ハンドシャワー水栓、Low-E複層ガラスや複層ガラスの採用など快適さにつながる設備が充実している。リビングダイニングの天井高も約2.5mあり、ウォールドアを採用した間取りなどフレキシブルに使えるプランニングも魅力だ。

子供がいる購入層が目立ち、20代後半から30代のファミリー層の評価が高いのも頷ける。リーズナブルな価格でもあり、4LDKタイプは人気のようだ。

 近年、「本郷台」駅でマンション供給が多かったことも価格がリーズナブルな要因だ。近隣では、2棟構成563戸のパークホームズ横浜本郷台リバーサイドヴィラの分譲が2018年12月からスタート。両物件を合わせると1000戸を超える。

 2012年に分譲が始まり、完売まで3年以上を要した総戸数1230戸の「ブリリアシティ横浜磯子」のように郊外エリアで大規模マンションを早期に完売させることは難しい。需給バランスの面で、価格はリーズナブルだがこうしたエリアは本郷台以外にもある。購入予算を重視するなら広く売り出し物件を確認することも大切だろう。

豊島区最大級!52階建てのタワマン「グランドシティタワー池袋」

「グランドシティタワー池袋」の完成予想CG(画像:公式ホームページから)
「グランドシティタワー池袋」の完成予想CG(画像:公式ホームページから)

 グランドシティタワー池袋は、総戸数878戸、地上52階建ての豊島区最大級最高層のタワーレジデンス。東京メトロ有楽町線「東池袋」駅から徒歩約1分、首都圏有数のターミナル駅「池袋」駅へも徒歩約8分という商業利便性の高いロケーションだ。

 「グランドシティタワー池袋」の開発街区(2023年4月 筆者撮影)
 「グランドシティタワー池袋」の開発街区(2023年4月 筆者撮影)

 隣接街区には、豊島区役所も入る「としまエコミューゼタウン」が立地。行政機能のほか、カフェやコンビニエンスストアなども入っている。

 なお、南池袋二丁目C地区第一種市街地再開発事業として行われるマンション北棟の南側には、地上47階建て・地下2階のマンション建設計画があり、デッキで結ばれる予定。南側の住戸の眺望や日照は、影響をうける場合があることは留意しておきたい。

 再開発が活発な東京都心部の中でも池袋の発展は目覚ましく、8つの劇場を備える複合商業施設「ハレザ池袋」やシネマコンプレックスとの複合商業施設「グランドスケープ池袋」などの新施設が開業済だ。

 リニューアルされ人気スポットになっている南池袋公園や広々としたイケ・サンパークなど憩いのスポットの整備も進んでいる。サンシャインシティには、こどもと一緒に楽しめるスポットが豊富にあり、多世代が暮らしやすい街へと進化している。

「グランドシティタワー池袋」のメインエントランスホールイメージ
「グランドシティタワー池袋」のエントランスホールイメージ(画像:公式ホームページから)

 「グランドシティタワー池袋」は敷地面積約8,700㎡もの広大な敷地でウェルカムガーデンを設けたゆとりある配棟計画。天井高約9mの2層吹き抜けのグランドエントランスホールなど上質感あふれるつくり。スタディルームやテレワークラウンジなど共用施設も充実。キッズ&ペアレンツスペース、スタジオ、フィットネスルームもある。

 30階には池袋を眼下に眺めるスカイラウンジ・パーティールームも用意されている。再開発街区で駅から徒歩1分ということもあり注目度は高く、2023年6月中旬時点での資料請求件数は、2300件超と好調だ。

「グランドシティタワー池袋」のモデルルームのキッチン
「グランドシティタワー池袋」のモデルルームのキッチン(筆者撮影)

 筆者は、6月中旬に専有部のモデルルームを見学したが、リビングダイニングの天井高約2600㎜、バルコニー奥行き約2,000㎜の空間は、開放的で居心地が良い。住戸の間口を広くしたワイドスパン設計であることもゆとりにつながっている。

「グランドシティタワー池袋」のモデルルームのリビングダイニング
「グランドシティタワー池袋」のモデルルームのリビングダイニング(筆者撮影)

 全部で50プラン超が用意されており、専有面積の中心は70㎡前後とゆとりがある。なお、同物件は「ZEH-M Oriented」仕様によりエネルギー消費量を抑制している。そして、24時間有人管理体制でコンシェルジュサービスも受けられる予定。都心のフラッグシップとなるタワーマンションとして、第1期の販売から注目を集めそうだ。

2023年度後半は都心にも郊外にも選択肢あり

 「グランドシティタワー池袋」に加え、都心エリアのマンションは、販売が始まったHARUMI FLAG SKY DUOなど注目物件がめじろ押しだ。一方で、郊外エリアは、「ブランズシティ本郷台」をはじめ数年前から継続的に販売されているマンションもあり、リーズナブルなマンションがまだある。

 住戸価格の平均値と中央値の乖離(かいり)は、それだけマンションラインアップのバリエーションがあるということ。2023年度は、希少性の高い都心物件を選ぶ人も、予算重視で郊外マンションを探す人も選択肢のある年になりそうだ。

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