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タワマンの契約率が50%を切った!「タワーマンション」「超高層」というだけでは売れなくなった理由とは?

2024年7月24日公開(2024年7月23日更新)
山下和之:住宅ジャーナリスト

かつては”タワマン”、“超高層”というだけで売れ、完成後の資産価値も向上したものだが、それが続くとは限らない。超高層マンションが増え続けて希少性が失われているからだ。今後は超高層マンションにおいても一般的なマンションと同様に、物件を見極める選択眼が求められるようになっている。

即日完売する超高層マンションも珍しくなかったが……

(出典:PIXTA)
(出典:PIXTA)

 マンションは最高階数に応じて、5階建てから10階建てまでを「中層マンション」、11階建て以上20階建て未満を「高層マンション」、20階建て以上を「超高層マンション」と呼ぶのが一般的だ。

 従来、わが国では20階建て未満の中層マンション、高層マンションが中心だったが、1990年代から2000年代にかけて、20階建て以上の超高層マンションが急速に増加して、注目度が高まった。

 眺望の良さ、ランドマークとしての希少性などから高く評価され、売りに出せば買い手が殺到し、すぐに完売した時代だった。なかには、売り出した当日にすべて申し込みが入り、即日完売する物件も珍しくなかったという。

 しかし、それもいまは昔。超高層マンションがあちこちで増加し、希少性が失われ、超高層だからという理由だけで売れる時代ではなくなっている。

 民間調査機関の不動産経済研究所では、毎月首都圏と近畿圏のマンション市場動向について発売戸数、平均価格などのデータを分析しているが、そのなかに契約率も含まれている。発売戸数に対して、発売月中に契約が成立した戸数の割合を示すもので、一般的には70%が好不調のボーダーラインといわれている。

 70%を超えればまずまず好調で、80%、90%なら絶好調、反対に70%を切ると不調で、50%を切れば絶不調ということになる。

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超高層マンションの契約率が3割を切ったことも

 その契約率が、2024年4月においては、首都圏の平均は62.4%だった。2023年4月は73.7%だったので、前年同月比では11.3ポイントのダウンで、やや売れ行きが鈍化している。 

 なかでも、超高層マンションだけに限ると、図表1にあるように2024年4月は48.3%と50%を切る絶不調だった。2023年4月の超高層マンションの契約率は92.7%だったから、前年同月比では44.4ポイントも落ち込んでいることになる。

 しかし、それは特に驚くべきことではないのかもしれない。このところの高層マンションの契約率を見ると、話題性の高い注目物件が出たときには、90%前後の高い契約率になることもあるが、逆に50%を切ることも珍しいことではなく、直近では2023年10月に28.1%と3割を切ったこともあるのだ。

図表1 2022年4月~2024年4月の首都圏超高層マンション発売戸数と契約率

マンションの8戸に1戸は超高層マンション

 こんなに超高層マンションの契約率が低下している背景には、超高層マンションの増加が挙げられるだろう。高層というだけでありがたがられる時代ではなく、超高層のなかでも選別が進んでいるのではないだろうか。

 超高層マンションは周辺の価格相場に比べると価格が格段に高いけれど、それなりの特徴がある魅力的な物件なら高い契約率で完売する。しかし、一方では、価格が高いだけでさほど魅力のない物件は売れ残ってしまう――そんな二極化が進んでいるのだ。

 希少性が失われつつあるのだから、それも仕方のないことだろう。図表2でも分かるように、2022年に首都圏で分譲された新築マンションのうち、12.9%を超高層マンションが占めている。新築マンションのうちおよそ8戸に1戸は超高層マンションであり、年次によっては超高層マンションの割合が45.6%と半数近くに達したこともある。これでは、希少性が失われるのも当然のことだろう。

図表2 首都圏のマンションと超高層マンション供給戸数と超高層マンションのシェア

超高層マンションは、不動産経済研究所の「不動産経済研究所50年史」、「超高層マンション動向2023」マンション全体は国土交通省の令和5年度 住宅経済関連データ「マンションの供給戸数(竣工ベース)」を元に作成)
高層マンションは、不動産経済研究所の「不動産経済研究所「全国マンション市場50年史」」、「高層マンション動向2023」を元に作成)

これからも超高層マンションは増え続ける

 しかも問題なのは、今後も相変わらず超高層マンションが増え続けるということだ。図表3をご覧いただきたい。 

図表3 高層マンションの完成・予定年次別棟数(首都圏)

(単位:棟)

  都区部 都下 神奈川 埼玉 千葉
2014年 20 0 1 3 0
2015年 23 1 6 0 3
2016年 12 2 1 1 2
2017年 13 0 4 3 0
2018年 11 3 2 0 3
2019年 22 2 4 0 0
2020年 11 3 4 1 2
2021年 14 0 3 2 3
2022年 7 1 1 0 1
2023年 12 0 2 2 1
2024年 17 2 3 1 2
2025年 17 0 5 0 1
2026年 20 5 9 1 7
2027年 12 0 1 4 2
2028年以降 64 5 9 2 5

資料:不動産経済研究所「超高層マンション動向2024

 これは、首都圏の高層マンションの年次別の完成・予定棟数を示しているが、2020年代に入ってから、供給の中心地である都区部では、年間10棟の前半台、また10棟以下にとどまっているが、2024年以降の竣工予定をみると、2024年から2026年までは10棟台の後半から20棟であり、これまで以上のピッチで超高層マンションが増えることになる。

 周辺3県でも、神奈川県では2026年には年間9棟の超高層マンションが完成するなど、これまでにないペースでの増加が見込まれている。また、千葉県も同様で2026年は7棟の完成予定と、これまでになかった供給が予定されている。東京23区だけではなく、周辺エリアでもますます増え続けそうだ。

2026年には2万戸近くの超高層が完成

 戸数を見ると、もっとハッキリする。図表4にあるように、このところの首都圏では年間の超高層マンションの完成戸数は4000戸前後から8000戸台で推移しているが、2026年には首都圏で合計1万9000戸近い高層マンションが完成する予定だ。

 首都圏での新築マンションの完成戸数は、このところ年間3万戸前後だから、2026年には半数以上を超高層マンションが占めることになる。半数どころか超高層マンションが6割以上のシェアになる可能性もありそうだ。

 そうなると、超高層マンションだからという理由だけで、資産価値の向上などが期待できるわけではなくなる。超高層マンションといえども、通常の中高層マンションと同様に、価格や住み心地などを総合的に判断して、購入するかどうかを選択することが重要になってくる可能性が極めて高い。

 価格が高いだけに、それにふさわしい物件を見極める必要があるという意味では、一般の中高層マンションより一段と厳しい選択眼が求められるといってもいいのではないだろうか。

図表4 超高層マンションの完成・予定年次別戸数(首都圏)

(単位:戸)

  都区部 都下 神奈川 埼玉 千葉 合計
2014年 4609 0 170 841 0 5620
2015年 10233 72 2284 0 1035 13624
2016年 5300 476 813 638 630 7857
2017年 4000 0 1454 446 0 5900
2018年 2703 819 1043 0 1115 5680
2019年 7457 283 807 0 0 8547
2020年 2891 792 2109 200 1585 7577
2021年 4509 0 848 466 1028 6851
2022年 2511 520 539 0 231 3801
2023年 5939 0 609 654 397 7599
2024年 5228 664 919 522 1366 8699
2025年 7174 0 1576 0 150 8900
2026年 7984 1834 5212 525 3441 18996
2027年 4533 0 702 866 836 6937
2028年以降 29985 2431 2699 700 2767 38582

資料:不動産経済研究所「超高層マンション動向2024

千葉県の超高層マンションは1億円以下も

 その点で筆者が注目したいと考えているのが、今後超高層マンションが増えそうな千葉県だ。

 超高層マンションだからと、資産価値向上狙いで購入するのではなく、居住性などの実質重視で選ぶと、千葉県の超高層マンションが狙い目になってくる

 周知のように千葉県の新築マンション価格は、東京都や神奈川県などに比べるとリーズナブルな価格帯になっている。それに対して東京都、なかでも東京23区の高層マンションは富裕層向けの超高額物件にシフトする傾向が強く、億ションが当たり前になっており、物件によっては平均価格が2億円台といった超高層マンションも登場している。

 それに対して、現在販売されている千葉県の超高層マンションは1億円以下で購入できる物件が多い。たとえば、「幕張ベイパーク ライズゲートタワー」(千葉市美浜区)は、2024年6月の第2期販売の117戸は71㎡台が5300万円台、98㎡台が8900万円台となっている。 

 JR京葉線の海浜幕張駅から徒歩16分とやや所要時間が長くなっているが、首都圏最大級の住商複合開発なので、開発エリア内に大規模スーパー、ブリュワリー、コワーキングスペースなど、日常生活に必要な機能がそろっている。総戸数が768戸の大規模物件で、地上38階建てで免震装置が採用されている。安心感があるのも魅力だろう。

 

【関連記事はこちら】
>>「幕張ベイパークミッドスクエアタワー」の価格や特徴を分析!新築なのに過去販売された2棟の中古物件よりも安い理由とは?

千葉市の中心市街地に建つ超高層マンション

 千葉市中央区の「Brillia Tower千葉」は、JR総武線千葉駅から徒歩4分という駅近マンションで、建物は地上23階建て、総戸数が491戸となっている。先の「幕張ベイパーク ライズゲートタワー」と同様に免震装置が採用されている。

 2024年6月の第1期3次販売は、33㎡台から96㎡台で、価格帯は未定だが、先着順受け付け中の住戸は、専有面積58㎡台が6700万円台、79㎡台が9900万円台となっている。

 千葉駅から徒歩4分の市街地に建設されるので、千葉駅の駅ビルや近隣のそごう千葉店などの商業施設が充実しているうえ、千葉ポートパーク、千葉公園、千葉市動物公園などの自然環境にも恵まれている。
 

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>>「Brillia Tower千葉(ブリリアタワー千葉)」の価格や間取りを分析! 立地の良さに注目が集まるタワマンを徹底取材

Brillia Tower千葉(物件詳細はこちら)

価格
第1期3次 5,828万円~1億498万円
完成時期
2026年08月下旬予定
  • 千葉県千葉市中央区富士見二丁目6番1他(地番) 
  • 総武線 「千葉」駅 徒歩4分
間取り
2LDK・3LDK
専有面積
56.91㎡~83.11㎡
総戸数
491戸 (販売住戸481戸、募集対象外10戸、他店舗7区画、保育所1区画)
売主
ファーストコーポレーション株式会社
施工会社
ファーストコーポレーション株式会社
成約で5万円分のPayPayポイントがもらえる!(対象物件のみ)
 Brillia(ブリリア) Tower 箕面船場 TOP OF THE HILL資料請求はこちら
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※データは2024年6月時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。

まとめ

 超高層マンションによる資産価値向上狙いではなく、こうした安心感があり、生活利便施設が充実した高層マンションで快適な暮らしを目指すのが、これからの超高層マンションの選び方のスタンダードになるのではないだろうか。

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