今月も2024年10月の首都圏新築・
首都圏の新築マンション市況【2024年10月度】
まずは、2024年10月度の首都圏新築マンション市場を見てみたい。2024年10月度の新築分譲マンション発売戸数は、前年同月と比べ23.4%増加の1,833戸。契約率は83.3%となっており、2015年11月以来の80%台となった。これは後に出てくるが、即日完売した「THE TOYOMI TOWER MARINE&SKY」など、需要の高い物件があったことが関係している。
また、首都圏新築マンションの1戸あたり平均価格は、9,239万円となっており前年同月比では、2,672万円のアップとなっている。前年同月比で平均価格上昇率が1割を超えるのは、3カ月連続だ。東京23区の供給は816戸で、供給シェアは44.5%。平均価格は、1億2,940万円と前年同月比で48.6%上昇。東京23区の供給シェアが2024年9月より大きく伸びたことで、首都圏新築マンションの平均価格も大きく押し上げられた。
首都圏の新築マンション市場動向2024年10月

販売在庫数は、4,829戸で、前月末よりも196戸の減少。2023年10月末の販売在庫数は4,756戸だったので、昨年対比では微増となっている。
首都圏新築マンションの地域別の発売状況は下表のようになっている。
首都圏新築マンションの販売動向(2024年10月)

エリア別の平均価格は、東京23区が1億2,940万円。東京都下が6,445万円、神奈川県が6,783万円、埼玉県が5,760万円、千葉県は、5,843万円。㎡単価の伸びは、東京23区が+36.1%と突出しているが、神奈川県、埼玉県、千葉県も15%を超える伸びとなっている。
即日完売物件は、販売が延期になっていた「THE TOYOMI TOWER MARINE&SKY」第1期1次。「HARUMI FLAG SKY DUO」の販売終了後というタイミングでもあり、平均価格1億4,471万円でありながら平均倍率4.6倍、最高倍率18倍で全戸に申し込みが入った。
地価上昇や建築費高騰もあり新規のマンション用地の取得は困難を極めており供給戸数は絞られたまま。新築マンション価格の高止まりは、まだまだ続きそうだ。
下のグラフは、過去5年間の首都圏の新築マンション価格(平均価格)と契約率の推移を示す。ここ数カ月、契約率は70%を下回る状況が続いていたが、今月は前述の通り、完売物件の影響で83.3%と大幅に回復した。

首都圏の中古マンション市況【2024年10月度】
続いて中古マンション市場を見てみよう。
2024年10月度の首都圏中古マンション成約件数は、前年同月比5.9%減少の3,092件となっており、4カ月連続で前年実績を下回った。成約価格は、前年同月比0.5%低下の4,739万円。平均成約㎡単価は、対前年同月比0.8%上昇の75.16万円となっている。成約㎡単価が前年同月を上回るのは、54カ月連続となる。
また、2024年10月の新規登録物件の㎡単価は81.31万円となっていて、前年同月比で12.7%上昇している。新規登録物件の㎡単価は、前月比でも3.2%アップしており、強気な価格設定の売り出しが増えていることを示している。
首都圏の中古マンション市場動向2024年10月

下のグラフは、過去5年間の首都圏の中古マンション価格(成約㎡単価、在庫㎡単価)と在庫件数の推移を示す。在庫件数は、45,000戸前後で推移している。

次に地域別の中古マンション動向を見てみてみよう。
首都圏の中古マンション成約㎡単価(2024年10月)

都心部と周辺地域での市場動向が大きく分かれており、都心部では価格が上昇し、物件選別が進む一方、周辺地域では価格に対する需要の底堅さが見られる。
成約㎡単価をみると、都区部が上昇しているいっぽうで、都下、神奈川県、埼玉県、千葉県が前月比で下落。成約件数は、東京23区が前年同月比で-11.7%と大きく減少。横浜市・川崎市も-12.8%と前年同月比で成約数を減らした。
都区部の成約状況に目を向けると、都心3区の成約件数が対前年比-30.2%の大幅減少。成約平均価格が、最高値となる前年比24.3%上昇の1億1,455万円となる中、物件の選別化がより厳しくなっていると思われる。城西地区 (新宿区、渋谷区、杉並区、中野区)も同様で、成約件数が前年同月比9.8%減少する中で、成約㎡単価は前年同月比19.4%上昇の146.22万円に。価格も前年同月比18.2%上昇の7,568万円と強含みだ。
埼玉県、千葉県、神奈川県では、中古マンションの成約平均価格はまだ値ごろ感があり、さいたま市が4,023万円、千葉県総武地区(市川市、船橋市、鎌ヶ谷市、浦安市、習志野市、八千代市)が3,363万円、川崎市が4,839万円。一部下落しているエリアもあり、東京都心との違いが顕著だ。
事前反響は1万4000件超 「リビオタワー品川」事前案内を開始

次に、今月の注目マンション「リビオタワー品川」を紹介する。
港区港南3丁目で建設中の分譲マンション『リビオタワー品川』のゲストサロンが 11月2日からオープンし、事前案内会がスタートした。東京の新たな玄関口として大規模再開発が進みさらなる発展が期待される品川エリアに誕生する、地上34階建て・総戸数815戸からなる超高層大規模タワープロジェクトだ。
品川駅を最寄りとする30階超のタワーマンションとしては15年ぶりの供給となる。2024年2月22日からの物件エントリー受付開始から、10月30日時点までのエントリー数は14,000件超を記録。事前案内会についても多くの予約が入っている。
「リビオタワー品川」では、船をデザインコンセプトとした外観、エントランス、共用空間を設計。「船の帆」、「風」、「流れ」や「ゆらぎ」をファサードとしてまとう独自のフォルムとし品川エリアの新たなランドマークに。1階にワークラウンジやゴルフレンジ、2階にファミリールームやフィットネスルーム、29階にはスカイラウンジやゲストルームなど多彩な共用空間を計画し、居住者に豊かなライフスタイルを提案する。
また、街との調和を目指し、豊かな緑と共に水や風・人の流れをデザイン。周辺地域への豊かな自然環境の提供を目指し、生物多様性保全に配慮したABINC認証、緑の保全・創出への取り組みを評価する SEGES認定をともに取得。加えて、快適性と省エネを両立するZEH-M Oriented基準を満たし、地球環境に配慮する認定低炭素住宅の認証を取得するなど、未来を見据えた住まいの環境性能を整える。
共用部のアートディレクションにおいても、国内外のクライアントにアートワークやインスタレーションを提供し、多くのデザイン賞を受賞してきたデザインスタジオ we+が手掛け、廃材などのサステナブルな素材を活用したアートワークなどを採用。心地良さとアースコンシャスが共存する空間を提案する。
3タイプのモデルルームを用意

「リビオタワー品川」のゲストサロンには、3タイプのモデルルームが用意されている。84.63㎡のS-80Ane type 、71.78㎡の70Awtype、56.27㎡の55Fstypeの3つだ。なお、56.27㎡の55Fstypeは、子供がケガをしないようドアの挟み込み防止や丸状のかど、バルコニーサッシの開錠を上部に設置し「東京こどもすくすく住宅認定制度」をうけている。
84.63㎡のS-80Ane typeは、北東の位置の角住戸で、レインボーブリッジが見晴らせる眺望の良好な住戸。折り上げ天井で、開放感があり広さを感じる住戸。主寝室にも天井埋め込み式エアコンが設置されている。レインボーブリッジが見える住戸は、ほかのマンションでも注目度が高く人気になりそうだ。
71.78㎡の70Awtypeはタワーマンションらしいワイドスパンの住戸で、スッキリした開放感あるリビングダイニングキッチンが特徴だ。リビングダイニングの間口がワイドでかつ主寝室からも眺望が広がる開放的な間取りだ。
56.27㎡の55Fstypeはコンパクトな2LDKタイプだが、1LDKにモデルルームはカスタマイズ。こちらも凹凸のないスッキリしたつくりで専有面積以上の広さを感じた。
気になる価格だが、一部公表されている予定価格を見ると、坪単価700万円台半ばから後半のようだ。第1期の販売開始は、2025年3月上旬の予定。都心で希少なタワーマンションとして注目を集めそうだ。
高騰する新築・中古マンションを誰が買っているのか
高騰する新築マンション、中古マンションだが購入層は、多様化している。主な購入層は、国内の富裕層、夫婦共働きのパワーカップル。そして資産として都心マンションに注目している外国人居住者の需要も根強い。
台湾の投資家へ不動産仲介を行っている企業によれば、特に東京都心の駅近立地のニーズが強いという。台湾ではもともと住宅価格が高いこともあり、利回りよりも立地を重視する人が多いようだ。
さらに、晴海フラッグでニュースになったように国内の不動産会社が購入しているケースも目立つ。特に中古マンション市場では、リセール目的の購入が拡大している。リノベーションやリフォームするなど魅力を高め市場に売り出すことが多い一方で、中にはハウスクリーニングのみで転売するケースも。新築マンション価格の上昇を踏まえ、築年数が浅い人気物件を取得し再販売することで利益を得る動きが目立っている。実際、業者売り主物件のレインズへの登録在庫は、2024年10月末時点で1万件を超えており流通在庫の2割を超えている。
ただし、留意したいのはこうした買取再販業者が見ているマーケットは、半年から1年後であって数年先ではないということ。中古マンションの買取再販事業の参入が相次ぐ中、利幅がとれ流動性の高い築浅の中古マンションは特に人気であるが、流通量の多い旧耐震マンションは、リノベーションしても富裕層の触手は動かないのが実情だ。
築浅タワーマンションなどは、買取再販業者に人気で価格を押し上げる要因になっている。中央区や港区の価格上昇率が高いのは、築浅の大規模マンションストックが豊富だからだろう。
まとめ
現在、マンション市況は価格上昇が続いており、価格設定も強気な状況だ。しかし、長期金利は上昇傾向にあり、日銀の追加利上げの可能性も高まっている。今後、風向きが変われば価格調整が急速に進む可能性もあるため、価格動向は慎重に見極める必要があるだろう。
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