「マンション管理計画認定制度」とは何?「均等積立方式」がネックで、既存物件では広がらないって本当⁉

2022年4月6日公開(2022年4月12日更新)
山下和之

2022年4月からマンションの「管理計画認定制度」がスタートする。適正なマンション管理の基準を定めた認定制度が実施されることで、わかりにくかった管理に客観的な評価が与えられることになる。認定を受けているかどうかが、将来のマンションの評価に大きく影響してくる可能性もある。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

「マンション管理計画認定制度」で、幽霊マンション化を防ぐ

管理を見える化する「マンション管理計画認定制度」(出典:PIXTA)

 国土交通省によると、わが国の分譲マンションストックは、図表1にあるように2020年末段階で約675.3万戸に達している。国勢調査による1世帯当たりの平均人員の2.33人をかけると、約1573万人になり、国民の1割以上が分譲マンションに住んでいる計算だ。

 しかも、近年分譲戸数は減っているとはいえ、現在でも年間7万戸から8万戸増えている。だが、すべてのマンションでしっかりとした管理が行われているとは限らない。そして、適切な管理が行われないと、将来空き家が増えて管理がますます行き届かなくなり、幽霊屋敷のようなマンションが増えかねない。防犯や災害対策などに支障を来し、景観が損なわれ、社会・経済の大きなマイナス要因になると言えるだろう。

 そうなるのを未然に防ぐため、さまざまな対策がとられており、2019年には「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」が成立した。2020年6月に公布され、段階的に施行されてきた。その仕上げとして2022年4月からマンションの「管理計画認定制度」がスタートすることになっている。

図表1 分譲マンションストック戸数の推移

「マンション管理計画認定制度」は、地方自治体が管理計画にお墨付きを出す仕組み

 「マンション管理計画認定制度」というのは、図表2にあるように、まずはマンションの管理組合単位で管理計画を策定する。その計画の認定申請を管理組合の集会で決議し、管理計画書と認定申請書を市区(町村は都道府県)に提出し、「基準」を満たしていれば認定される。管理組合の収支管理や長期修繕計画の作成など約16項目からなる判定基準があり、判定は、「認定」か「非認定」になる。認定の有効期限は5年で、5年ごとに更新していくことになる。

 つまり、マンション管理について地方自治体がお墨付きを与えることによって、マンション管理の向上を促進していこうとするものといっていいだろう。

 これは、既存のマンションだけではなく、新築マンションについても同様の仕組みが適用される。分譲前には、管理組合はまだ存在しないので、マンション分譲会社が管理を委託する予定の管理会社と連名で申請を行うことで、適合の認定を受けることができる。

図表2 マンション管理計画認定の流れ(イメージ)

認定マンションは、売却時に有利になる可能性も!

  認定を受けたマンションは管理組合の判断において、公益財団法人の「マンション管理センター」の閲覧サイトにマンション名を公開することができる。また、新築マンションの場合には、募集広告などにおいて認定マンションとなる予定であることを告知でき、販売上の大きなメリットになる。

 既存のマンションにとっても同様で、中古住宅としての売買時には、認定マンションとして評価が高まり、売却に有利になる可能性があるし、反対に認定を受けていない物件にとってはマイナスに作用するかもしれない。この制度の狙いもその点にあるといっていいだろう。

 図表3にあるように、管理計画認定によって市場の評価が高まり、それがマンションに住む人、購入しようとする人などのマンションの管理意識の向上につながり、ひいてはマンション管理の適正化に寄与し、管理計画認定制度によってマンション管理に関する好循環が形成される。

 現にマンションに住んでいる人、所有している人にとっては管理の充実によって居住性が高まり、資産価値の向上によって売却時にも有利になるなどのメリットがある。また、これからマンションの購入を考えている人にとっては、物件の善し悪しを判断する新たな指標になる。

図表3 マンション管理計画認定による好循環のイメージ

長期修繕計画は、30年以上が前提に

 では、マンション管理計画認定制度の認定基準はどうなっているのかといえば、主なものとしては、次のような点が挙げられる。

1)修繕その他管理の方法
 長期修繕計画の計画期間が一定期間以上であることなど
(2)修繕その他の管理に係わる資金計画
 長期修繕計画に基づき修繕積立金を設定していることなど
(3)管理組合の運営状況
 総会を定期的に開催していることなど
(4)管理適正化
 国や市区独自の管理適正化指針に照らして適切なものであること

 このうち、(1)の修繕その他の管理方法については、長期修繕計画の計画期間が30年以上、かつ計画の残存期間内に2回以上の大規模修繕計画を含むことなどが条件となっている。

 現状では、長期修繕計画の計画期間が20年、25年などのマンションも多いなか、この認定を受けるためには、30年以上というハードルが課されるわけで、なかなかに厳しい内容だが、それだけに認定を受けられるマンションの評価が高くなることが期待できる。

新築マンションでは、修繕積立金の8割程度が「段階増額積立方式」

 また、(2)の修繕積立金については、積立方式について条件が設定されている。現在、マンションの修繕積立金の積立方式には、計画期間内の修繕積立金が変わらない「均等積立方式」と、段階的に積立金を増額していく「段階増額積立方式」がある。

 国土交通省の『平成30年度マンション総合調査』では、「均等積立方式」は41.4%で、「段階増額積立方式」が43.4%となっている。しかし、2015年以降建築のマンションだけに限ると、「均等積立方式」は19.7%で、「段階増額積立方式」が69.7%に達している。「その他」や「不明」が10.5%あるので、それを差し引いて再計算すると、築浅物件の8割近くが「段階増額積立方式」を採用していることになる。

 なぜ、そんなに「段階増額積立方式」が多いのかといえば、営業的な側面が大きく、マンション購入当初の修繕積立金を低く抑えることで、購入を考える人の負担感を軽くして、販売につなげようとするのが狙いといわれている。そのため最初の5年間は月額1万円以下でも、「段階増額積立方式」では、5年後、10年後には何倍にも増えることになるので、注意が必要だ。

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「マンション管理計画認定制度」では、修繕積立金は「均等積立方式」が基本

 ところが、2022年4月から実施される「マンション管理計画認定制度」においては、ガイドラインにおいて、修繕積立金の額を均等にする「均等積立方式」を基本とすることが示されている。

 新築マンションなら、多少負担感が強くなることを覚悟して、当初から「均等積立方式」を採用することは可能だろうが、どれくらい販売に影響してくるのか、不動産会社にとってはたいへんに悩ましいところだろう。

 一方、既存のマンションにとっては、「段階増額積立方式」を「均等積立方式」に切り替えることは容易なことではない。そのためには、長期修繕計画を見直して、それに合わせて均等方式での修繕積立金額を設定しなければならない。修繕積立金の大幅アップにつながる可能性が高く、管理組合員である区分所有者の賛成を得るのは簡単ではないからだ。

 その改定によって「マンション管理計画認定制度」の認定を取れば資産価値面で有利になるとはいっても、大多数の賛成を獲得できるマンションはそう多くはないだろう。

住む人も買う人も、管理計画の意識が必要

 築古物件では、所有者の高齢化が進み、年金生活という人たちも少なくないはずだから、「均等積立方式」への変更は一筋縄ではいかない。しかし、それができないと管理計画認定制度の非認定物件として、市場での評価が一段と低くなり、幽霊マンション化しかねない。

 この「マンション管理計画認定制度」が今後市場でどう評価されていくのかは未知数だが、マンションに住む人も、買おうと思っている人もマンションの管理計画認定制度をしっかりと理解しておく必要があることは間違いない。

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