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新築マンションの情報は1カ所で収集! 大手不動産の集合型マンションギャラリーが増加する理由

2023年5月23日公開(2023年7月12日更新)
山下和之:住宅ジャーナリスト

大手不動産を中心に、1カ所で複数の新築マンションの情報を提供する集合型、常設型のマンションギャラリーが増加している。モデルルームを何カ所も歩いて回る必要がなくなり、効率的に情報収集できるので、有効に活用したいところだ。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

集合型、常設型マンションギャラリーのメリットとは

住友不動産では販売中の物件を比較検討できる(画像出典:「住友不動産のマンション」公式ホームページから)

 集合型、常設型のマンションギャラリーを初めて手がけたのは住友不動産といわれている。それまで新築マンションの情報は、建設現場近くに設置されるモデルルームを一件一件回るしかなかった。

 しかし、集合型のマンションギャラリーであれば、その会社が販売する新築マンションの情報を一カ所で取得することが可能だ。効率的に情報収集できるようになった。

 その住友不動産では、この総合マンションギャラリーのメリットとして次のような点を挙げている。

1.全物件を一カ所で比較検討できる
2.相談から物件の紹介まで専門スタッフが無料で対応
3.住宅機器や仕様を見て触って確認できる
4.各種の無料セミナーを開催
5.ターミナル駅から徒歩10分以内
6.子どもを預けてゆっくり見学できる

 その上で、コンセプトルームと呼ばれるモデルルームを見ることができるし、展示されている最新の住宅設備機器などを見て、触ることができる。そして、もちろん、コンシェルジュの説明を聞き、各種の相談も可能だ。

 近くの新築マンションのモデルルームが見たくなったときには、タクシーを呼んで案内もしてくれる。

パイオニアの住友不動産は全国に12館

 不動産会社からすれば一カ所に集約することで、施設用の専門人材を育成でき、モデルルームを建てては壊すことを繰り返す必要がなくなり、経費の削減やSDGsにもつながる。

 消費者にしても、集合型、常設型のマンションギャラリーは主要なターミナル駅の近くなど、交通利便性の高い場所に設置されているので、休日だけではなく、仕事帰りに気楽に立ち寄れる。不動産会社、消費者ともにメリットがあるのだ。

 先駆けとなった住友不動産では、2023年4月現在、新宿駅、渋谷駅、新橋駅など首都圏に7館、関西に3館、東海と東北に1館の、合計12館を設置している。

ブランドマンションギャラリーの特徴は? Brillia、プラウド、リビオ、アトラスの方針

 大手不動産各社が、2023年に入って相次いでこの集約型、常設型のマンションギャラリーの設置に力を入れている。各会社の特徴や今後の方針などを見ていこう。

三井のすまいづくりを体感できるスペース

 三井不動産レジデンシャルでは、「三井のすまい日本橋サロン」「三井のすまい新宿サロン」を設け、三井不動産の住まいづくりを紹介する拠点としている。

 モデルルームや住宅設備などが設置されているわけではないが、「三井のすまい」コンシェルジュが常駐しているので、各種の相談に応じてもらうことができる。

 マンション選びに直結するわけではないが、三井不動産グループの住まいづくりなどを知る上で参考になりそうだ。

三井のすまい日本橋サロン(画像出典:三井不動産レジデンシャル公式ホームページから)

【関連記事】>>【大手不動産会社分析】三井不動産のパークマンションはなぜ人気がある? 戸建てやマンションブランドの「格付け」と、注目マンションを解説


東急リバブル集約型の販売拠点に

 さらに、東急不動産では、販売会社である東急リバブルが「東急リバブル・銀座サロン」を設置し、集約型の販売拠点としている。

 ここもモデルルームが設置されているわけではないが、デジタルとリアルを組み合わせて、マンションの室内空間を体感できるバーチャルシアター、大型スクリーンを備えたコミュニティなどが紹介されている。

プラウドは木質感あふれるギャラリーで対応

 2023年2月には野村不動産の「プラウドギャラリー新宿」がオープンした。東京・西新宿の新宿野村ビルの35階で、東京都内で分譲されるプラウドマンションを比較検討できる販売拠点となっている。

 オープン時には2物件の情報提供だが、将来的に10物件程度まで広げて、より多くの訪問を集めたい。そのため、これまでにない取り組みを始めている。バーチャル音声案内システムによる情報収集、VR模型、3面スクリーンへのプロジェクター投影を活用した間取りの可変性体験など、通常のモデルルームにはなかった体験が可能になる。

木質感あふれるプラウドギャラリー新宿(画像出典:野村不動産プレスリリースより)

 また、国産木材・再生材の積極活用による環境対応を行い、写真にあるような木質感あふれるマンションギャラリーとなっている。世界的な基準で健康・安全性を評価する国際認証「WELL Health-Safety Rating」を、国内のマンションギャラリーとしては初めて取得したことでも話題となった。

【関連記事】>>【大手不動産会社分析】「プラウド」の野村不動産は、なぜ人気があるのか? マンションのブランド化と環境を意識した最新スペックがカギ!

三菱地所は高輪ゲートウェイ駅に設置

 大手不動産では、三菱地所レジデンスが高輪ゲートウェイ駅近くに、常設マンションギャラリーを設けている。東京都港区に位置し、当初はギャラリー周辺で分譲されている3物件のモデルルームを設置したが、いずれも高額物件であり、ギャラリーも写真にあるような高級感あふれるつくりになっている。

高輪ゲートウェイマンションギャラリーの受付(画像出典:三菱地所レジデンスプレスリリースから)

 ただ、2023年4月現在、2物件の販売が終了し、「ザ・パークハウス高輪松ケ丘」のみの取り扱いとなっている。

 三菱地所レジデンスでは、集合型のマンションギャラリーを設置する一方、売買、賃貸、リフォームなど、住まいに関するあらゆるニーズに対応する会員組織を設置。その会員向けの総合窓口「三菱地所レジデンスクラブラウンジ」を設けている。

 東京・有楽町にあり、ここでは、住宅に関する専門知識を持ったコンシェルジュがあらゆるニーズにワンストップで対応することを売りにしている。

【関連記事】>>【大手不動産会社分析】三菱地所レジデンスの「ザ・パークハウス」はなぜ人気があるのか? マンションシリーズの「格付け」と立地にこだわった開発がカギ!

リビオマンション販売の旗艦店として

リビオライフデザインサロン(画像出典:日鉄興和不動産プレスリリースより)

 続いて2023年3月には、リビオマンションシリーズの日鉄興和不動産が品川駅前の品川インターシティに「LIVIO Life design! SALON」を開設した。

 リビオブランドマンションの体感、発信拠点としての位置づけで、販売中のリビオの全物件を案内すると同時に、入居後のサポートまで行う常設サロンになる。

 同社では2020年の新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあってマンション販売におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してきた。マンションのオンラインストアや3次元LEDシアターであらゆる間取りを体験できるシステムなどに力を入れ、一定の成果を上げてきた。

 しかし、一方では一生に一度か二度の重要な買い物であるため、対面での相談やリアルの体験も重要と考えてきた。そのため、今回の「LIVIO Life design! SALON」でオンラインやデジタルの良さと、リアルの良さを活かした顧客体感の進化を図れるようにした。リビオブランド販売の旗艦店として、位置づけていく方針だ。

アトラスブランドのコンセプトを体感する

ATLAS GALLERY SHIBUYA(画像出典:旭化成ホームズプレスリリースより)

 アトラスマンションの旭化成ホームズも、2022年1月に、東京・渋谷の渋谷マークシティに、「ATLAS GALLERY SHIBUYA」を開設している。

 マンション購入のプロセスにおいては、WEBでの比較検討、オンラインでの面談、VRモデルルーム体験など、ネット偏重が進んでいる。

 しかし、マンション選びは毎日のやすらぎをもたらす住まいを選択する重要な場面である。リアルでしか体感できない空間づくり、ライフスタイルを五感で感じてもらう必要があるのではないかと考え、「ATLAS GALLERY SHIBUYA」を設置したという。

 個別のモデルルームが設置されているわけではないが、アトラスブランドのコンセプトである「こころ踊る、上質。」を体感できるリビングダイニングの例、カーペット敷きの上質な空間を表現したアロマがただようコリドー(廊下)などが設けられている。

大規模マンションは専門ギャラリー、中小規模のBrilliaは集合型ギャラリーで販売 

Brillia Gallery新宿の受付(画像出典:東京建物プレスリリースから)

 2月には、東京建物が東京・西新宿の新宿センタービルに、「Brillia Gallery新宿」を設置した。

 Brilliaブランドの室内空間、設備、仕様などを体感できるコンセプトショールーム(モデルルーム)を常設。高精度なVRにより建物の外観や共用部、各種の間取りを確認できるコーナーなども設置されている。

 初めは、JR常磐線「三河島」駅徒歩1分に立地する「Brillia三河島Station Front」を取り上げ、以降、都内で開発する100戸程度までの新築分譲マンションの一般販売・紹介を行っていく予定だ。 数百戸規模の大規模物件については、専門のマンションギャラリーを設置する一方、中小物件は集約化。効率的に販売すると同時に、消費者の利便性を高めていきたい方針だ。

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より効率的なマンション探しが可能に

 マンション探しは従来のように時間と足を使って何件もモデルルームを見て回るのではなく、効率的に情報収集できるようになっている。

 まずは、どの不動産会社の物件を見たいのか、会社選びを行った上で、集合型、常設型のマンションギャラリーなどを訪問、その上で物件を絞り込んでいくのがいいのではないだろうか。

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