三菱地所レジデンスは、首都圏をはじめとする大都市部で「ザ・パークハウス」シリーズのマンションを分譲、人気を博している。今回はその人気の理由と2021年の注目マンションを取材した。(住宅ジャーナリスト・山下和之)
三菱地所レジデンス設立以来、販売戸数は常にトップ5をキープ
1937年、旧三菱財閥の三菱合資会社から丸ノ内ビルヂングと敷地の所有権などを受け継ぐ形で設立された「三菱地所」は、別名「丸の内の大家さん」といわれるほど丸の内界隈に多数のビルを有し、グループにおいては、商業施設、物流施設、ホテルなど事業は多岐にわたる。
その住宅部門を担う三菱地所レジデンスは、2011年に三菱地所、三菱地所リアルエステートサービスと、2007年に「三菱地所」のグループ企業となっていた「藤和不動産」の住宅事業が統合する形で誕生した。同時に、主力マンションブランドも「パークハウス」から「ザ・パークハウス」に統一された。
マンション開発の歴史を振り返ると、1964年に藤和不動産による「藤ケ丘マンション」(大阪府高槻市)があり、三菱地所としては1969年の「赤坂パークハウス」(東京都港区)が第1弾になる。
民間調査機関の不動産経済研究所の調査によると、三菱地所レジデンスが誕生した2011年には、事業主別発売戸数ランキングでトップに立ち、その後も多少の上下はあっても、常に5位以内に入っている。
三菱地所レジデンスの年間発売戸数と事業主別ランキングの推移
「ザ・パークハウス」などシリーズのラインアップは?
「ザ・パークハウス」は、さまざまなライフスタイル、ライフステージに合わせてそれを実現するためのラインアップがある。
メインは「ザ・パークハウス」で、最も多いのがこのシリーズ。「
一方、ファミリー向けを得意とする長谷工コーポレーションとコラボした、イノベーティブでデザイン性や自由度の高い「ザ・パークハウス オイコス」、都心でアクティブに暮らす人向けのコンパクトマンションシリーズ「ザ・パークハウス アーバンス」もある。「ザ・パークハウス」ブランドも時代に合わせて多様化が進んでいる。
ザ・パークハウス グラン
三菱地所レジデンスの数あるザ・パークハウスのなかでも、フラッグシップマンションと位置付けられ、年に1棟出るか出ないかの希少性の高いマンション。
千鳥ヶ淵、南青山など都心の選び抜かれた高級住宅地にあり、最高水準の技術、デザインを駆使してエリアのシンボルとなる建物を建設する。管理サービス面でもクオリティーを追求している。代表的な物件は、「ザ・パークハウスグラン千鳥ヶ淵」(推定相場価格:約1,200万円/坪 マンションレビュー)、「ザ・パークハウスグラン 南青山」など。
ザ・パークハウス
三菱地所レジデンスのマンションで最も多いのがこのシリーズ。近郊や郊外部の中高層マンションから都心のタワーマンションまで、さまざまなタイプがある。幅広い世帯のニーズに対応するため、それぞれが大切にする暮らしにフィットする住まいを目指している。
ザ・パークハウス アーバンス
ザ・パークハウスのコンパクトマンションシリーズ。主にシングルやディンクスを対象に、都心でアクティブな生活を目指す人向けのマンション。自分らしいライフスタイルを目指す層がターゲット。利便性の高い立地と充実した設備仕様で暮らしの質を高め、将来のライフスタイル変更にも柔軟に対応できる。
ザ・パークハウス オイコス
ファミリー向けマンションの設計・施工に豊富な実績を持つ長谷工コーポレーションとコラボしたマンションシリーズ。時代が求めるニーズに呼応するイノベーティブで、デザイン性の高いマンションである。高額物件が多いザ・パークハウスのなかでも、リーズナブルな価格帯で供給され、人気が高い。
ザ・パークワンズ
自身が住むためだけではなく、資産形成のためのマンションを目指すシリーズ。マンション投資による「ストック資産の有益活用」はもとより、「セカンドハウス」「相続対策」「リタイア後の備え」など、さまざまな用途に対応できる資産形成型のコンパクトマンションとなっている。
フラッグシップは、「ザ・パークハウス 西新宿タワー60」、「ザ・パークハウス グラン千鳥ヶ淵」
これまでの「ザ・パークハウス」シリーズの代表格としては、「ザ・パークハウス 西新宿タワー60」(東京都新宿区)や、グランシリーズの「ザ・パークハウス グラン千鳥ヶ淵」(東京都千代田区)を挙げることができるだろう。
2017年竣工の「ザ・パークハウス 西新宿タワー60」は、名称からも分かる通り、地上60階建ての超高層マンションで、分譲マンションとしては最高階数となっており、高さは約209mに達する。
都心にありながら緑に恵まれた立地で、新宿中央公園や十二社熊野神社の緑と神田川の潤いをつなげる公開空地「結いの森」を設置している。
また共有スペースには、日本家屋の縁側をテーマにした居住者交流スペース「ENGAWA」、富士山を望むビューラウンジ、ゲストパーティールームなどがあり、都心のマンションにありがちな無機質なイメージを払拭、うるおいのある超高層マンションとなっている。
一方、2015年竣工の「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」は、フラッグシップの「ザ・パークハウス グラン」らしく、免震構造を採用、防災備蓄倉庫、コンシェルジュサービス、24時間有人管理、4重セキュリティーなど最先端のシステムを導入している。
また、千鳥ヶ淵という立地にふさわしく、外構のコーナーに「八重紅しだれ桜」がシンボリックに植栽され、外観デザインには、「軒」「庇(ひさし)」といった日本家屋の伝統を継承したデザインが採用されている。千鳥ヶ淵の風景に調和し、地域に溶け込むように配慮されているのだ。
大手不動産でも、会社によっては独特の外観デザインを踏襲するケースもあるが、このように三菱地所レジデンスは過剰な演出を好まない。それが、シンプルで上品なつくりを好む都会の人々に受け入れられた理由の一つと言えるかもしれない。
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今後の注目は、「ザ・パークハウス 鎌倉」「ザ・パークハウス 新浦安マリンヴィラ」「ザ・パークハウス 名古屋」
2021年以降の販売についても、三菱地所レジデンスは首都圏を中心に土地の仕入れを進めており、年間2000戸から3000戸程度の発売を想定している。販売完了物件、現在販売中の注目物件としては、「ザ・パークハウス 鎌倉」(神奈川県鎌倉市)、「ザ・パークハウス 新浦安マリンヴィラ」(千葉県浦安市)などが挙げられる。
首都圏以外では、「ザ・パークハウス 名古屋」(名古屋市西区)も注目だ。「ザ・パークハウス 名古屋」は、名古屋市営地下鉄東山線・桜通線などの名古屋駅から徒歩12分、名古屋駅エリア最大級の総戸数462戸の大規模開発で、建物は鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)の地上19階建て、61㎡台~91㎡台の専有面積で、間取りは2LDK~4LDKを準備している。
2027年のリニア中央新幹線開業に向けて名古屋駅周辺では、大規模な再開発が進められている。リニア中央新幹線、JR東海の新幹線、JR在来線、名鉄線、近鉄線から地下鉄までが乗り入れるスーパーターミナルにふさわしい空間とする計画だ。
「ザ・パークハウス 名古屋」はその隣接地であり、「ノリタケの森地区計画」内の良好な自然環境のノリタケの森と、充実した商業施設(イオンモール)とが共存する住環境の良さが強みとなる。
鶴岡八幡宮の参道沿い、希少な立地の「ザ・パークハウス 鎌倉」
「ザ・パークハウス 鎌倉」(神奈川県鎌倉市)は、JR横須賀線などの鎌倉駅から徒歩4分、鶴岡八幡宮の参道・若宮大路沿いの希少な立地にあり、北西側と南東側で異なる眺望を楽しめるつくりとなっている。建物の北西側の窓には段葛が写り、桜の名所を鑑賞でき、趣のある裏路地に面する南東側では、雄大な山並みの景色を望むことができる。
建物は鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)地上5階・地下1階建てで、総戸数は23戸。
外観は、鎌倉の風土に溶け込むモダニズム建築を思わせる伝統とモダンが調和するデザイン。庇を全周に配した和の趣のファサードをはじめ、シンプルでモダンなデザインとなっており、エリアの新たなランドマークといっていいだろう。
平均専有面積123㎡とゆとりあるプランに、全館空調システム「新マンションエアロテック<床チャンバー方式>」を採用。コンパクトな1台の室内機(一部住戸については室内機2台)で、24時間換気をしながら快適な温度で満たす空調システムが採用されている。「鎌倉」という絶好の立地に位置するだけに、セカンドハウスとしての需要もありそうだ。
リゾートライフを満喫できる大規模開発「ザ・パークハウス 新浦安マリンヴィラ」
「ザ・パークハウス 新浦安マリンヴィラ」(千葉県浦安市)は、JR京葉線の新浦安駅からバス13分、バス停から徒歩1分に位置する、「テラスプラザ」101戸、「ベイプラザ」133戸、「サニープラザ」168戸、「カームプラザ」126戸の合計528戸からなる大規模開発。鉄筋コンクリート造地上4階建ての居住棟と、「ヴィラハウス」「アネックスハウス」からなる共用棟がある。
厳しい建築規制のある第一種住居地域、第一種低層住居専用地域にあって、敷地面積約4万7000㎡の広い敷地の低層4階建て。空地率は約54%に達し、緑豊かで開放的な空間が形成されている。
京葉線で東京駅まで直通で16分というアクセスに恵まれた場所にありながら、道路を隔てたすぐ先が海辺というリゾートライフを満喫できそうだ。
しかも、京葉線は、新木場駅で東京メトロ有楽町線とりんかい線に、八丁堀駅で東京メトロ日比谷線に、そして東京駅では新幹線のほか、JR在来線各線に接続しており、快適な足回りとなっている。
◆ザ・パークハウス 新浦安マリンヴィラ(第1工区) テラスプラザ・ベイプラザ | ||||
価格 |
5,338万円~7,688万円 |
入居時期 |
2022年1月下旬 |
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交通 | JR京葉線・武蔵野線「新浦安」駅(南口)より18系統バス13分「高洲海浜公園」バス停下車徒歩1分 | 所在地 | 千葉県浦安市高洲6丁目14番1(地番) | |
間取り | 2LDK+S(納戸)・3LDK | 建物面積 | 86.13㎡ ~ 107.96㎡ | |
総戸数 | 234戸 | 来場者数 | ー | |
売主 | 三菱地所レジデンス株式会社・近鉄不動産株式会社 | 施工会社 | 株式会社長谷工コーポレーション | |
※データは2021年4月1日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
◆ザ・パークハウス 新浦安マリンヴィラ(第2工区) サニープラザ・カームプラザ | ||||
価格 |
販売概要1 予告広告 |
入居時期 |
2022年11月上旬 |
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交通 | JR京葉線・武蔵野線「新浦安」駅(南口)より18系統バス13分「高洲海浜公園」バス停下車徒歩1分 | 所在地 | 千葉県浦安市高洲6丁目14番1(地番) | |
間取り | 2LDK+S(納戸) ~ 4LDK | 建物面積 | 95.88㎡ ~ 123.04㎡ | |
総戸数 | 294戸 | 来場者数 | ー | |
売主 | 三菱地所レジデンス株式会社・近鉄不動産株式会社 | 施工会社 | 株式会社長谷工コーポレーション | |
※データは2021年4月1日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
◆ザ・パークハウス 名古屋 | ||||
価格 |
未定 |
入居時期 |
・ブリリアント・センター・ディライト各スクエア:2022年1月下旬 |
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交通 | 名古屋市営東山線「名古屋」駅(10番出入口)から徒歩12分 他 | 所在地 | 愛知県名古屋市 西区則武新町3丁目123番1(地番) | |
間取り | 2LDK ~ 4LDK | 建物面積 | 63.07㎡ ~ 86.35㎡ | |
総戸数 | 462戸 | 来場者数 | ー | |
売主 | 三菱地所レジデンス株式会社、三菱商事都市開発株式会社、野村不動産株式会社 | 施工会社 | 矢作建設工業株式会社 | |
※データは2021年4月1日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
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