「パークマンション」「パークコート」などの高級マンションで人気を博す三井不動産レジデンシャル。ウオーターフロント物件の先駆け「大川端リバーシティ21」(東京都中央区/1988年)の開発では、中心的な役割を果たした。初代パークマンション竣工から50年がたち、時代の変化に合わせた住まいを提案すべく、リブランディング(ブランドの再構築)に取り組んでいる。(住宅ジャーナリスト・山下和之)
三井グループの“御三家”に挙げられる名門企業
三井不動産は、いうまでもなく江戸時代から続く三井グループの中核を担う企業のひとつ。事業範囲はオフィスビルから商業施設、ホテル・リゾートなど広範に及ぶが、そのなかで住宅事業を担うのが三井不動産レジデンシャルだ。
三井不動産は、三井物産、旧三井銀行(現在の三井住友銀行)と並んで三井グループの“御三家”の一角を占めてきた。旧財閥系企業(三井、三菱、住友)グループのなかでも、不動産会社が御三家に数えられるのは三井不動産だけであり、それだけグループ内、またわが国経済界のなかで存在感の大きい企業といえよう。
三井不動産の歴史をみると、1914年に三井合名会社の不動産課が誕生し、1941年には三井不動産株式会社が設立され、1961年から住宅地・別荘地の開発・販売に進出した。住宅事業の展開は1967年着工、1968年竣工の「百合ヶ丘ガーデンマンション」が第一弾で、1969年着工、1970年竣工の「原宿パークマンション」が現在に続くパークシリーズの先駆けになる。その後、住宅事業部門として三井不動産レジデンシャルが設立されたのは2005年のことだ。
年間販売戸数は、事業主ランキングで10年間5位以内をキープ
以来、2019年度末までの実績では、パークシリーズを中心とするマンションの分譲実績は約23万戸で、ファインコートの一戸建て住宅は約1万戸に達する。民間調査機関の不動産経済研究所の調査によると、三井不動産レジデンシャルの2019年の新築マンション発売戸数は1750戸で、事業主別のランキングでは5位だった。下表を見れば分かるが、過去10年間の発売戸数をみるとおおむね2000戸/年を超え、事業主別のランキングでは常に5位以内をキープしている。2013年には年間6000戸を超えてトップに立ったこともある。
三井不動産レジデンシャルの年間発売戸数と事業主ランキングの推移
タワーマンションのさきがけとなるマンション開発を手掛ける

たとえば、1971年竣工の「三田綱町パークマンション」(東京都港区)は、地上19階・地下2階建てで、東京タワー、霞が関ビルに続く第三の高層建築物と呼ばれ、三井不動産レジデンシャルではその眺望の素晴らしさを強調するため、“空に住まう”というキャッチフレーズで販売を行った。竣工後50年が経過した現在でも維持管理が徹底し、純白のツインタワーとして洗練されたたたずまいをみせている。

また隅田川の河口近くで開発された「大川端リバーシティ21」(東京都中央区)は、都心の地価高騰や定住人口の減少といった、都心の抱える問題を解決するための官民一体となったプロジェクトで、三井不動産レジデンシャルはその中心的な役割を担った。1999年竣工の「センチュリーパークタワー」は、「大川端リバーシティ21」のランドマークとして、中央大橋近くにそびえ、現在も中古マンション市場ではウェイティング客がいるほどの人気の高さを維持している。
ここでは、“水に住まう”という、リバーサイドでの生活という新たなライフスタイルを提案、ウオーターフロント開発の先駆けとなった。このリバーシティに超高層マンションが林立する風景は、マンハッタンのような景色を思わせ、テレビのトレンディードラマ、サスペンスドラマなどの舞台としてしばしば登場、わが国における超高層マンション時代の象徴ともなった。
マンションブランドと戸建てのカテゴリーを見直し、ブランドの再構築を実施
先に見たように、パークシリーズの先駆けとなった「原宿パークマンション」が竣工したのは1970年のこと。2020年で満50周年を迎えたわけだが、三井不動産レジデンシャルでは50周年を期して、2021年1月から住宅事業におけるリブランディング(ブランドの再構築)を推進している。
下の表にあるように、
・コアカテゴリー
マンション:中核ブランドとしての「パークホームズ」、大規模開発の「パークシティ」、超高層の「パークタワー」
戸建て:「ファインコート」
・リミテッドカテゴリー
マンション:ハイクオリティーの「パークコート」、最上位の「パークマンション」
・アクティブカテゴリー
マンション:少人数世帯向けの分譲「パークリュクス」、少人数向け賃貸の「パークアクシス」
・シニアカテゴリー
新たな人生のステージのためのシニア向け住宅
三井不動産レジデンシャルの2021年新規発売は、首都圏だけで3000戸か
この三井不動産レジデンシャルの2021年の新規発売予定に関しては、2020年より若干増える見込みだ。2020年はコロナ禍の営業自粛や工事の遅延などによって、当初予定していた発売が先送りになったケースも少なくなく、それが2021年に出てくれば、首都圏だけで3000戸程度に増える可能性もあるのではないだろうか。
もちろん、2021年1月には首都圏や近畿圏などに再度緊急事態宣言が発出され、不確定要素が多いものの、このシリーズで取り上げた住友不動産の2021年の発売予定も3000戸だったことから、事業主別ランキングではトップ争いを展開することになるのかもしれない。
都心の注目マンションは、「パークコート千代田四番町」「パークホームズ市ヶ谷ヒルトップレジデンス」
その2021年には都心の高級住宅地として根強い人気の番町エリアで、久々の大型物件の分譲を予定している。それがJR総武・中央緩行線「市ケ谷」駅徒歩5分、東京メトロ有楽町線「麹町」駅徒歩4分の「パークコート千代田四番町」(東京都千代田区)。鉄筋コンクリート造地上14階・地下1階建て、総戸数は168戸で、2021年3月上旬からの販売を予定している。

1969年以降、いわゆる番町エリアで分譲されたマンションとしては最大規模の敷地約4,600㎡で、「エントリーフォレスト」「カスケードフォレスト」「シーズンフォレスト」の3つの森が用意され、ロビーラウンジ、コージーサロン、応接室、コミュニケーションルーム・ワークスペース、ゲストルーム、プライベートスパなどの共用施設が設置される。このうち、ゲストルームとプライベートスパには、温泉が供給され、低層プレミアム住戸12戸にはオプションで温泉供給が可能になるそうだ。先に触れたように「パークコート」シリーズは、リミテッドカテゴリーのハイクオリティーマンションだが、なかでも共用施設が充実した人気物件になりそうだ。
もうひとつ、やはり都心の人気住宅地のひとつである市谷エリアで分譲されるのが、「パークホームズ市ヶ谷ヒルトップレジデンス」(東京都新宿区)。東京メトロ有楽町線・南北線「市ケ谷」駅から徒歩7分、JR総武・中央緩行線の「市ケ谷」駅から徒歩11分で、先の「パークコート千代田四番町」は市ヶ谷駅の南側の千代田区だが、こちらは北側の新宿区になる。

鉄筋コンクリート造地上6階建て、総戸数64戸で、都心にありながら、敷地約2万平方メートルの緑地帯「市谷の杜」や中根坂東公園に隣接した絶景の眺望、重厚感と先進性を感じさせる外観ファサードが、住む人の充足感を高めてくれそうだ。同時にスマートフォンと室内家電を連動させるなどのIoT対応が特徴となっている。各戸の玄関前に宅配ボックスが設置され、子ども連れなどで荷物を運ぶ必要がなく、トランクルームとしても利用できる。クリーニングの集配、食配、靴磨き集配などとしても利用でき、
◆パークコート千代田四番町 | ||||
価格 |
未定 |
入居時期 |
2022年11月下旬入居予定 |
|
交通 | 総武・中央緩行線「市ヶ谷」駅 徒歩5分 他 | 所在地 | 東京都千代田区四番町4番6他 | |
間取り | 1LDK ~ 3LDK | 建物面積 | 35.76㎡ ~ 181.23㎡ | |
総戸数 | 168戸 | 来場者数 | ー | |
売主 | 三井不動産レジデンシャル | 施工会社 | ー | |
※データは2021年2月14日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
◆パークホームズ市ヶ谷ヒルトップレジデンス | ||||
価格 |
未定 |
入居時期 |
2022年4月上旬入居予定 |
|
交通 | 東京メトロ南北線「市ヶ谷」駅 徒歩7分 他 | 所在地 | 東京都新宿区納戸町38番3 | |
間取り | 1LDK~3LDK | 建物面積 | 55.2㎡ ~ 81.61㎡ | |
総戸数 | 64戸 | 来場者数 | ー | |
売主 | 三井不動産レジデンシャル | 施工会社 | ー | |
※データは2021年2月14日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。 |
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