新築マンション売主グループ別の供給戸数ランキング・トップ10! デベロッパーごとの注目物件も紹介

2024年4月27日公開(2024年4月30日更新)
櫻井幸雄:住宅評論家

最も新築マンションを発売したのはどのデベロッパーか? 不動産経済研究所が発表した「2023年 全国分譲マンション 売主グループ別供給ランキング」の分析と、上位グループ会社の注目マンションを紹介しよう。(住宅評論家・櫻井幸雄)

新築マンション売主グループ別の供給戸数ランキング

 2024年3月26日、不動産経済研究所が「2023年 全国分譲マンション 売主グループ別供給ランキング」を発表した。そのトップ10は下表の通り。

2023年 全国分譲マンション 売主グループ別供給ランキングトップ10
出典:不動産経済研究所「2023年 全国分譲マンション 売り主グループ別供給ランキング
※定期借地権マンションを含む。⾸都圏の投資⽤マンションは含まない。

 昨年、全国で最も多くの新築マンションを分譲したのはオープンハウスグループで、供給戸数は5156戸、3年連続の日本一となった。

 2位は三井不動産グループ(3423戸)、3位は野村不動産グループ(3061戸)、4位は住友不動産グループ(2859戸)、5位はタカラレーベングループ(同2156戸)と続く。

オープンハウスグループが3年連続の日本一

オープンハウスグループロゴ
(画像:オープンハウスグループ公式サイトから)

 2020年まで、不動産経済研究所が発表したのは「売主・事業主別供給ランキング」だった。それが、2021年からは「売主グループ別ランキング」と変わり、グループで合算する方式に変わった。

 グループ方式になって以後、2021年、2022年、2023年の3年連続供給戸数日本一になっているのが「オープンハウスグループ」である。

 オープンハウスは一戸建てを分譲する不動産会社である。そのグループ企業であるオープンハウス・デベロップメントがマンション分譲を手がける。さらに、オープンハウスグループは、プレサンスコーポレーショングループ(プレサンスコーポレーションと三立プレコン)が加わる

マンション供給戸数が多いのはプレサンスコーポレーション

 オープンハウスグループの中で、マンション供給戸数が多いのはプレサンスコーポレーショングループで、グループ全体の5156戸のうち3509戸を占めている。

プレサンスコーポレーションロゴ

(画像:プレサンスコーポレーション公式サイトから)

 なお、グループ企業ではなくデベロッパー別に供給戸数を見てみると、近畿圏で最も多いのがプレサンスコーポレーション(1761戸)となる(出典:不動産経済研究所「全国 新築分譲マンション市場動向 2023年」)。

 プレサンスコーポレーションというと、関西で盛んに投資用ワンルームを分譲しているイメージがある。しかし、現在はファミリー向けマンションの開発にも注力しており、近畿圏、東海圏での事例が多い

 2024年4月現在、販売中物件としては以下などがある。

大阪市都島区 プレサンス野江内代ペルティエ(総戸数78戸)
京都市伏見区 プレサンス ロジェ 伏見(総戸数44戸)
名古屋市千種区 プレサンス グラン 本山駅前(総戸数26戸)
名古屋市北区 プレサンス ロジェ 志賀本通 テラス(総戸数42戸)
※物件名はライフルホームズ物件詳細ページにリンクしています

 プレサンスコーポレーションは、中規模、小規模のマンションが主体で、「この立地、広さであれば、納得感のある価格設定」が持ち味。具体的には、3000万円台や4000万円台で購入できる3LDKを積極的に販売し、売り上げを伸ばしている。

 近年、大手不動産会社が再開発の大型マンションに注力する傾向が強い中、小さめの土地でも、地元のニーズに応える商品企画で抑えた価格を実現。ニッチな開発で、コツコツと供給戸数を伸ばしている様子がみてとれる。

 

2位は三井不動産レジデンシャルグループ

三井不動産レジデンシャルロゴ
(画像:三井不動産レジデンシャル公式サイトから)

 2023年マンション供給戸数第2位は三井不動産レジデンシャルグループ。「パークシティ」「パークホームズ」「パークコート」そして「パークマンション」のブランドを展開する不動産業界のリーディングカンパニーだ。

 近年、同グループは、複数企業によるJV(共同事業)のまとめ役となるケースが増えている。「晴海フラッグ」「三田ガーデンヒルズ」、そして販売が始まったばかり(2024年4月現在、販売延期となっている)の「THE TOYOMI TOWER MARINE&SKY」が、その例となる。

 三井不動産レジデンシャルのブランド名を冠したマンションとしては、以下などがある。

東京都新宿区 パークシティ高田馬場
東京都中央区 パークタワー勝どきミッド/サウス(共同事業主あり)>>詳細記事はこちら
兵庫県伊丹市 パークホームズ伊丹稲野ガーデンスクエア パークフロント
※物件名はライフルホームズ物件詳細ページにリンクしています

 三井ブランドのマンションは、特に首都圏で評価が高く、高い信頼を得ている。一方で、地方都市での展開は控えめで、現状では小ぶりなマンションが多くなっている。全国の三井ファンとしては残念なところだろう。

【関連記事】>>【マンションブランド分析】三井不動産のパークマンションはなぜ人気がある?

 

3位は野村不動産グループ

野村不動産グループロゴ

(画像:野村不動産グループ公式サイトから)

 2023年マンション供給戸数第3位は野村不動産グループ。近年は首都圏の駅周辺再開発で、大規模超高層マンションを供給するケースが多く、極めて高い倍率で抽選販売されている

 今後予定されている駅周辺再開発マンションとしては、東京都江戸川区の「プラウドタワー小岩フロント」があり、これも注目物件となるだろう。
※物件名はライフルホームズ物件詳細ページにリンクしています

【関連記事】>>【マンションブランド分析】「プラウド」の野村不動産は、なぜ人気があるのか?

 

4位は住友不動産グループ

住友不動産ロゴ

(画像:住友不動産公式サイトから)

 4位の住友不動産グループは、首都圏の都心部、郊外部で新築物件が豊富だ。

 物件数の多さでは群を抜いている。しかし、「売り急がない不動産会社」であるため、販売は少しずつ。そのため、1年の供給戸数となると、全国4位ということになってしまう。

 現在、東京23区内で販売中の新築マンションは以下のように数多くある。

東京都新宿区 シティタワー新宿
東京都中央区 グランドシティタワー月島 >>詳細記事はこちら
東京都港区 シティタワー虎ノ門
東京都豊島区 グランドシティタワー池袋
※物件名はライフルホームズ物件詳細ページにリンクしています

 また、これから販売されるマンションとしては、以下などがある。

東京都板橋区 シティタワーズ板橋大山 ノースタワー/サウスタワー >>詳細記事はこちら
東京都港区 CITY TOWER THE RAINBOW
東京都港区 シティタワー東京田町
※物件名はライフルホームズ物件詳細ページにリンクしています

 さらに首都圏郊外部でも、積極的にマンションを供給する。以下のような大規模のマンションが販売中となっている。

東京都調布市 シティテラス多摩川 >>詳細記事はこちら
東京都小平市 シティハウス小金井公園
神奈川県平塚市 シティテラス湘南平塚 >>詳細記事はこちら
千葉県千葉市美浜区 シティテラス稲毛海岸
千葉県八千代市 シティハウス八千代緑が丘
埼玉県草加市 ソライエテラス
※物件名はライフルホームズ物件詳細ページにリンクしています

 そのなかには建物が完成している物件も含まれる。完成した建物であれば、希望する住戸の日当たりや眺望を確認でき、共用施設も実際の状態で見学できる。堅実な購入が実現する、と喜ぶ人が増えているのが実情だ。

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5位はタカラレーベングループ

タカラレーベンロゴ

(画像:タカラレーベングループ公式サイトから)

 2023年、新築マンション供給戸数第5位はタカラレーベングループ。同グループの供給戸数2156戸のうち、首都圏での供給戸数は463戸、近畿圏は330戸で、その他地域が1363戸となっている。つまり、地方都市での分譲が多いグループとなる。

 首都圏では、以下のように郊外部で小ぶりのマンションが主体。

埼玉県八潮市 レーベン八潮GRANFORDE(総戸数46戸)
神奈川県横浜市保土ケ谷区 レーベン横濱西谷 DUARIZE(総戸数23戸)
※物件名はライフルホームズ物件詳細ページにリンクしています

 一方、地方都市では愛媛県松山市の「レーベン松山三番町 ONE TOWER」や兵庫県姫路市の「レーベン姫路本町」のように中心地のマンションも多い。

 そのほか、茨城県では総戸数225戸の「レーベン水戸ONE STATE TOWER」が、青森県では県内最大規模となる総戸数112戸の「レーベン弘前GRAND RESIDENCE」など、大規模マンションの開発も手がけている。

 どちらかというと、地方で強みを発揮するグループとなるだろう。

 

新築マンションは量より質を高めて販売する傾向に

 以上、今回の供給戸数ランキングではオープンハウスグループが3年連続日本一という結果だった。

 「連続日本一」の不動産会社として思い出すのが、1978年から29年連続、マンション供給戸数日本一を記録した大京だ。

 かつて、日本では「マンションをたくさん売る不動産会社といえば、ライオンズマンション(現在のブランド名はザ・ライオンズ)の大京」という時代があった。

 その大京は、今回の調査で「オリックスグループ」の一員となっており、同グループは供給戸数1197戸で16位。ベスト10にも入っていない。

 これは、同社が方向転換をしたためだ。大京は20年近く前、連続日本一の座を降りたあたりから、グループとしてマンション管理業務に仕事の軸を移した。数を追うことをやめ、新規に分譲されるライオンズマンションは、数量限定で建物の質を高めるようになった

1996年に建築されたライオンズマンション西巣鴨
1996年に建築されたライオンズマンション西巣鴨(出所:物件写真.net)

 この方向転換の陰に、連続日本一の座を守ろうとした時代の反省がある。かつて大京は「供給戸数日本一」の座を必死に守っていた。当時の供給戸数は、年間で1万8000戸に及ぶこともあった。

 2023年の供給戸数ランキングの1位から6位までをすべて合算したのと同じくらいの戸数を、大京1社で分譲していたのだから驚いてしまう。

 その供給戸数を維持するため、他の不動産会社がつくったマンションを一棟買いし、ライオンズマンションの名前をつけて販売するケースがあった。

 そのなかに質の低い建物も含まれていたため、結果的にライオンズマンションの評価を下げることになってしまったのだ。その反省から、供給戸数を減らして質を高めている。

 大京がマンション供給戸数日本一の座を降りた後、野村不動産、三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャル、住友不動産といった大手不動産会社が、供給戸数日本一の座に輝く時代が続く。

 なお、「マンションの供給戸数が多い売主グループの物件は質が低い」というわけではない

 第1位のオープンハウスグループでも年間5000戸ほど。質を高めた上で、供給戸数を伸ばしている。

 2024年は、どの売主グループが1位になるのだろうか。

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