東急不動産の「ブランズ」はなぜ人気があるのか?
大規模再開発とマンションブランド化の成功がカギ!大手不動産会社分析(3)

2021年3月26日公開(2021年4月13日更新)
山下和之

東急不動産は、東急グループの一員であると同時に、東急コミュニティーや東急リバブル、東急ハンズなどの関連会社を持つ東急不動産グループの中核企業でもある。近年「ブランズ」ブランドの浸透でイメージも定着し、首都圏や関西、札幌などで大規模な開発を行っている。マンション発売戸数のランキングでも例年上位にランクインしている。その営業戦略や人気物件について解説する。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

「田園調布」を生み出すなど大規模再開発に強み

 東急不動産が属する東急グループは、2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公であり、2024年度から1万円札の顔ともなる渋沢栄一が、1918年に創設した「田園都市株式会社」に源流を持つ。東京が人口密集で住環境が悪化するなか、緑豊かな住宅都市の建設を目指して設立された会社であり、その流れをつぐ「東急グループ」が、現在の田園調布をはじめとする沿線各地の人気住宅地の開発に関わってきた。

 近年も本拠地である渋谷駅周辺では、「100年に一度」といわれる空前の規模の再開発が進められており、浜松町・竹芝エリアでも大規模な都市再生に取り組んでいる。東急不動産は、そうした都市開発のDNAを背骨に持つ不動産会社といえるかもしれない。

 住宅についても1955年には、当時としては珍しい全戸洋室を採用した外国人向け高級賃貸住宅「代官山東急アパート」を、1958年には業界初の分譲集合住宅「東急スカイライン」を供給するなど、革新的な取り組みが評価されている。

マンション発売戸数ではトップクラスの東急不動産

 近年の新築マンション分譲動向をみると、東急不動産は例外的に年間1000戸を切った年もあるものの、ほぼコンスタントに年間1000戸台から2000戸台の物件を供給している。民間調査機関の不動産経済研究所によると、事業主別発売戸数ランキングでは2014年に2550戸で5位に入り、2019年は1346戸で7位だった。

東急不動産の年間新築マンション発売戸数と事業主別ランキングの推移

「ブランズ」というブランドで勝負

 東急不動産が理想とするのは、「住まいの安心」と「サステナブルな街づくり」を実現するマンションだとしている。そうした考え方、知恵の結集が、2006年に誕生したマンションブランドの「ブランズ(BRANZ)」だと言えるだろう。その名前は東急不動産のブランドとして定着した。

 ちなみに、ブランズという名称の由来は、単語の頭文字を組み合わせた造語だという。

「ブランズ(BRANZ)」という言葉の語源
B:Bloom         感性を花開くデザイン、がある
R:Revolute      革新を志す品質、がある
A:Achieve       個性と共生を輝かせるサポート、がある
N:Neologize    比類なき住まいへの挑戦、がある
Z:Z                究極への証、がある

 2006年以来、「ブランズザ・ハウス一番町」「ブランズ六番町」「ブランズ六本木ザ・レジデンス」などの高額物件、「ブランズシティ世田谷中町」のようなライフストーリータウン、「ブランズタワー豊洲」のようなタワー物件など、さまざまなタイプのマンションを供給してきた。

一般住宅とシニア向け住宅の融合という新しい試み

 ブランズシリーズの代表作のひとつが、2017年竣工の「ブランズシティ世田谷中町」(東京都世田谷区)東京都の「一般住宅を併設したサービス付き高齢者向け住宅整備事業」の第一号選定プロジェクトとして、約1万坪(約3万3000㎡)の広大な敷地に、分譲マンションの「ブランズシティ世田谷中町」(総戸数252戸)と、シニア向けの「グランクレール世田谷中町」(総戸数251戸)が開発された。

『ブランズシティ世田谷中町』(写真提供:東急不動産)
『ブランズシティ世田谷中町』(写真提供:東急不動産)

 建築物への規制が最も厳しく、良好な住環境が保たれやすい第一種低層住居専用地域のなかにあり、子育て期から高齢期までの多世代が気持ちよく暮らせる「世代循環型」の街づくりがテーマだ。
 
 2021年2月現在、「ブランズシティ世田谷中町」は、テレワーク対応の家具が設置されたモデルルームで販売が行われ、「グランクレール世田谷中町」も入居者の募集を行っている。

都心の商住複合開発タワーマンションが目玉

 東急不動産の2021年の新築マンション発売計画は、新型コロナウイルス感染症対策などの関係で計画が変更される可能性もあるが、全1700戸を予定している。

 都心や都心に近い郊外でニーズの高いエリアを中心に、開発に取り組んでいく計画で、目玉商品としては、2020年から販売が始まっている「ブランズタワー豊洲」(東京都江東区)ブランズシティ本郷台」(神奈川県横浜市)が挙げられる。

豊洲の注目駅近マンション「ブランズタワー豊洲」

 「ブランズタワー豊洲」は東京メトロ有楽町線「豊洲」駅から徒歩4分の交通アクセスで、鉄筋コンクリート造一部鉄骨造の地上48階・地下1階建ての超高層マンション。総戸数が1152戸というメガマンションだ。

『ブランズタワー豊洲』のプロムナード(写真提供:東急不動産)
『ブランズタワー豊洲』のプロムナード(写真提供:東急不動産)

 豊洲エリアには既存の大規模商業施設や地元の商店などが充実しており、無機質なイメージが強い湾岸埋立地に立つ、多くの超高層マンションの立地環境とは一線を画する。

 しかも、建物や敷地内に生活利便施設、保育所を設置、敷地内にプロムナードを設け、マンションに住む人だけではなく、近隣の人たちに開放することで、豊洲エリアの新たな賑わいの創出を目指している。敷地内の緑化空間やプロムナードを活用したイベント、地域の既存団体と連携したイベントを実施するなど、エリアマネジメントの考え方を導入して、継続的に交流機会を創出、豊洲エリアの一段の活性化に貢献したいとしている。

 ちなみに、2021年2月上旬からの第三期一次販売においては、専有面積43.41㎡から81.08㎡、1LDK~3LDKの間取りが用意され、販売価格は5270万円~1億0580万円となっている。
【関連記事はこちら】>>「ブランズタワー豊洲」の価格大公開!

準郊外の大規模マンション「ブランズシティ本郷台」

 一方の「ブランズシティ本郷台」は、JR京浜東北線の「本郷台」駅から徒歩7分(ゲートテラス)・9分(リバーサイドテラス)、JR東海道本線「大船」駅からバスで10分、バス停から徒歩6分に位置するマンションだ。駅からはやや距離があるものの、横浜駅へ20分程度とアクセスは良い。先に触れたように、東急不動産が力を入れる準郊外でニーズの強いエリアの立地といっていいだろう。

「ブランドシティ本郷台」(写真提供:東急不動産)
「ブランズシティ本郷台」(写真提供:東急不動産)

 約1万7000㎡を超える広大な敷地に「リバーサイドテラス」「ゲートテラス」の2棟が建てられ、建物は鉄筋コンクリート造地上5階建てで、2棟合わせると総戸数356戸になる。大規模のメリットを活かして共用施設が充実しており、バーベキューを楽しめる中庭、テレワーク環境が整うWi-Fi完備のライブラリー、ピザ窯付きのパーティールーム、テラスのあるキッズルームやマッサージチェアのあるラウンジなどが設けられている。一方、徒歩3分以内にはスーパーや、ドラッグストアなどの生活利便施設が整っており、駅周辺には区役所、警察署、図書館などの公共施設や各種飲食店もそろっている。

 緑豊かなマンション内で安心して暮らすことができ、買い物などはマンション近くで充足できる――まさにウィズコロナ時代に最適な、「穏やかなコンパクトシティ」といっていいのではないだろうか。2021年2月中旬から始まる第一期販売は、専有面積45㎡台から89㎡台、間取りは2LDK~4LDKで、価格は3400万円台から7000万円台を予定している。

 「ブランズタワー豊洲」のエリアマネジメントという考え方の導入や「ブランズシティ本郷台」の新たな形のコンパクトシティの追求は、東急不動産の特徴を生かした住まいづくり、街づくりといっていいだろう。

【大手不動産会社分析】

1.住友不動産
2.三井不動産レジデンシャル
3.東急不動産
4.野村不動産
5.三菱地所レジデンス

東急不動産の物件一覧
(ライフルホームズのサイトへ)

◆ブランズシティ世田谷中町(モデルルーム公開前)
価格

6,811.1万円(1戸)~
7,286.3万円(1戸) 

入居時期

即入居可(諸手続き終了後)

交通 東急田園都市線 「桜新町」駅 から徒歩 15分  他 所在地 東京都世田谷区中町五丁目21番6他(地番)
間取り 3LDK 建物面積 71.16㎡ ~ 73.56㎡
総戸数 252戸 来場者数
売主 東急不動産株式会社 施工会社 株式会社長谷工コーポレーション
※データは2021年3月15日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
◆ブランズタワー豊洲(モデルルーム公開前)
価格

7,330万円(1戸)~
2億2,700万円(1戸)

入居時期

2022年5月下旬予定

交通 東京メトロ有楽町線「豊洲」駅から徒歩 4分(高層棟入口まで5分)ゆりかもめ「豊洲」駅から徒歩4分(高層棟入口まで4分) 所在地 東京都江東区豊洲5丁目2番1の一部他(底地地番)
間取り 2LDK ~ 3LDK 建物面積 43.41㎡ ~ 112.52㎡
総戸数 1152戸(事業協力者住戸1戸含む) 来場者数
売主 東急不動産株式会社(売主・販売管理)・株式会社NIPPO(売主) 他2社 施工会社 株式会社熊谷組首都圏支店
※データは2021年3月1日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
◆ブランズシティ本郷台(モデルルーム公開前)
価格

【ゲートテラス】
4,348万円~5,748万円
【リバーサイドテラス】3,498万円~6,998万円

入居時期

【ゲートテラス】2021年11月下旬(予定) 【リバーサイドテラス】2022年3月下旬(予定)

交通 JR京浜東北・根岸線「本郷台」駅 徒歩7分【ゲートテラス】
徒歩9分【リバーサイドテラス】  他 
所在地 神奈川県横浜市栄区小菅ヶ谷一丁目1899-1(地番)【ゲートテラス】 1909-1(地番)【リバーサイドテラス】
間取り 【ゲートテラス】2LDK ~ 3LDK【リバーサイドテラス】2LDK+S ~ 4LDK 建物面積 【ゲートテラス】64.62㎡ ~ 79.34㎡
【リバーサイドテラス】65.80㎡ ~ 89.99㎡
総戸数 【リバーサイドテラス】135戸【ゲートテラス】221戸 来場者数
売主 東急不動産株式会社 積水ハウス株式会社 施工会社 株式会社長谷工コーポレーション
※データは2021年3月1日時点。最新情報は公式サイトをご確認ください。
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