最新マンションでも必ず起こる騒音トラブル!
床や壁の遮音性を確認する方法とは?新築マンション購入前の注意点(13)

2021年11月8日公開(2022年1月14日更新)
高田七穂:住生活ライター

どんな最新のマンションでもなくならないのが、騒音トラブル。上下階からの音は、床の施工方法や厚さ、梁間面積、そして隣からの音は、壁の厚さ、仕上げ材、工法などが影響します。購入前に、マンションの遮音性をよく調べておきましょう。(不動産・住生活ライター・高田七穂)

マンションは、床・壁の厚さや施工法によって「騒音」をつくりだすことも

 最近のマンションでは、少しでも周囲からの音を抑えるため、防音フローリング材を使った床や二重窓、防音サッシなど、高性能な製品が使用されています。

 しかし、残念ながらそれだけでは遮音性は確保されません。室内で発生する音は、その種類や性質にもよりますが、床・壁の厚さ、梁間面積、仕上げ材の施工方法、また、給排水管の位置や施工状況など、さまざまなものの影響を受けて騒音になることがあります。

「重量床衝撃音(LH)」と「軽量床衝撃音(LL)」

 天井などから聞こえる音の種類には、物を落とすなどの“こつん”という「軽量床衝撃音(LL)」と、足音などの“どすん”という「重量床衝撃音(LH)」の2つがあります。LL-40、LH-50などの等級で表され、数値が小さいほど防音性能は高くなります(下表参照)。

「重量床衝撃音(LH)」は、床スラブの厚さと梁間面積で決まる

 まず、子どもが走る、荷物を落とすなど重い物の衝撃により発生する音についてみてみましょう。こういった音を「重量床衝撃音」といい、「LH」で示します。

「重量床衝撃音LH」は、床スラブ(床板)の厚さと「梁間面積」(四方を梁で固定された床スラブのひと区切り)に左右されます。人が跳びはねると、床が振動します。ここで着地したときの振動を床が受け止めるため、床が厚いほど音は聞こえにくくなります。

 また、このとき梁間面積が広いと、着地したときの振動は伝わりやすくなるため、梁間が狭いタイプより遮音性能は落ちます。最近のマンションでは、梁を室内に出さないものも多く、梁間面積が広くなる傾向があります。

【関連記事はこちら】>>新築マンションで気になる「音」のトラブル! 壁や床の遮音性は、厚さと工法を確認しよう

床材に左右される「軽量床衝撃音(LL)」

遮音にはフローリングよりじゅたんがよい
遮音にはフローリングよりじゅうたんがよい

 「軽量床衝撃音(LL)」とは、硬くて軽い物を床に落としたときの音です。LLのレベルは、主に床の仕上げ方法に左右されます。LL値を下げるには、フローリングよりも、厚手のじゅうたんや畳の方が適しています。

 しかし、フローリングはすでに一般的。掃除がしやすく、ダニが発生しにくいなどのメリットがあります。そこで、遮音性を少しでも高めるため、遮音材が貼られた遮音等級の高いフローリング材が用いられています。現在、もっとも遮音性能が高いのはLL-40の製品ですが、歩くとふわふわするため、LL-45が使用されていることが少なくありません。

二重床が必ずしも遮音性が高いとは言えない

 ここで、フローリングの施工方法も見てみましょう。床には、「直貼り工法」と「二重床工法」があります。

 「直貼り工法」とは、床のコンクリートとフローリングの間に緩衝材を入れてその上にフローリング材を貼るものです。

 一方「二重床工法」とは、床のコンクリートの上に、音を吸収する防振ゴムのついた支持脚を立て、その上に下地合板を設置して、部材を貼る方法です。「二重床工法」は、間に空間ができるので、そこに配管や配線をすることができます。

 以前は、「二重床工法は、遮音性に優れている」とされてきましたが、最近では正しいとはいえなくなりました。場合によっては、フローリングとコンクリートの間で、「音が太鼓のように響いてしまう」という説もあるからです。

 そこで、二重床で発生する音を軽減させようと、いろいろな工夫がされています。その一つに、フローリングの床材を、周囲の壁に密着させず、数ミリ程度の隙間をつくって貼る施工方法があります。床材が壁に密着していると、物が落ちたときの音が床から壁、そしてその奥のコンクリートに直接伝わってしまうのです。

 壁との間に隙間があれば、床に物が落ちたときの音は、壁ではなくフローリングの真下に伝わり、支持脚についた防振ゴムで、ある程度、吸収されます。現在では、こういった施工が主流になっています。

戸境壁の厚さ、使われている材料を確認

 隣からの音も気になるのではないでしょうか。隣接する部屋から聞こえる音に関しては、壁の厚さと重量が関係します。できれば隣との戸境壁の厚さは、18cm以上欲しいところです。

 また、遮音性能は、工法や仕上げ材、下地材などの影響も受けます。たとえば、タワーマンションの戸境壁は、コンクリート製でなく、軽量化のために乾式壁というものが用いられています。おおざっぱにいうと、グラスウール(吸音材)を2枚の石膏で挟んだ構造です。音漏れに関しては、コンクリート製より劣るという声がある半面、全く気にならないという声もあります。

 このほか、給排水管からの音も意外に気になるかもしれません。配管に防音材が巻かれているか、配管を支える金具と配管との間に遮音材料が用いられているかも確認したいものです。

まとめ

 前述した数値や材料は、あくまでも目安にすぎません。数値は生活を保証してくれるものではないでしょう。実際、どんなに構造上、遮音性能の高いマンションを選んでも騒音に関するトラブルが完全になくなったという話はありません。音のトラブルを減らすには、配慮ある生活が欠かせないということでしょう。一方で、騒音対策を知っておけば、マンション購入の際の比較材料として、役に立つのではないでしょうか。

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