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変動金利は過去最低水準! 過去16年の住宅ローン金利推移から見る、不動産の買い時とは?

2020年6月17日公開(2020年9月25日更新)
福崎剛

福崎剛(ふくさき・ごう)氏:東京大学大学院卒、都市工学専攻。日本ペンクラブ会員。マンション管理問題から、景観保全のまちづくり、資産価値の高い住宅選びなど、都市計画的な視点でわかりやすく解説。『マンションは偏差値で選べ!』(河出書房新社)、『本当にいいマンションの選び方』(住宅新報社)など、著書多数。

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住宅ローンの「変動金利」の低さがここ数年際立っている。そのため、住宅ローンを借り入れる際にも「変動金利型」を選ぶ人が増えているのが現状だ。しかし、変動金利は本当にお得な金利だと言えるのだろうか? ここでは、16年間という長期間にわたる変動金利の推移を見ながら、変動金利型での住宅購入はいまがチャンスなのかどうか、検証してみよう。(フリージャーナリスト:福崎剛)

住宅ローンでは「変動金利型」が人気!

 現在、住宅ローンの金利は歴史的な低水準で推移し、マイホーム購入者にとっては追い風になっている。景気活性化のために日本銀行が「マイナス金利政策」を続けており、低金利が常態化しているのだ。

 その中でも、「変動金利」の金利の下げは非常に大きく、多くの人が「変動金利」を選ぶようになっている。実際に住宅ローンを組んだ人たちが選んだ金利タイプを見てみよう。

 【図表2】住宅ローン利用者が利用した金利タイプ(2015年〜2018年)

住宅ローン利用者が利用した金利タイプ
写真を拡大 参照:「2018年度 民間住宅ローン利用者の実態調査」(住宅金融支援機構/ 2019年6月28日)

 図表2のグラフのように、住宅金融支援機構の調査では、急速に変動金利の比率が上がっており、平成30年(2018年)下半期では、60%台を突破している。最後まで金利が固定化されていない「固定期間選択型」と「変動金利型」を合算すると、85%を超える結果となっている。変動金利型がいかに人気なのかが分かる。

 別のデータ(2019年度の「住宅市場動向調査報告書」、国土交通省住宅局)では、平成23年(2011年)頃は、変動金利の比率は20%程度だったため、変動金利型の人気が高まったのはこの数年だということが分かる。

 これほどまでに変動金利の住宅ローンを選ぶ人が多いのは、低金利が長く続いており、「今後も金利は上がらない」という意識が広がっていることが大きい。

 また、令和元年(2019年)10月に消費税が8%から10%に増税され、それに伴って物件価格も上昇している。少しでも毎月支払額を下げようとするため、金利の低い変動金利型を選ぶ人が、今後さらに増えることが予測される

変動金利の推移を見ると、現在は過去最低水準に

 超低金利が続くいま、変動金利は、本当に借り手に有利なのだろうか? ここで、過去の変動金利の推移を振り返ってみよう。大手銀行の16年間の変動金利の推移は以下のとおりだ。各銀行は、変動金利の推移を公開していないので参考にしてほしい。

 【図表3】大手銀行の変動金利推移グラフ(過去16年間)

大手銀行の変動金利推移参照:大手銀行の変動金利推移(2004〜2020年) ダイヤモンド不動産編集部が作成
【店頭金利】
​金融機関それぞれが独自に決めている金利のこと。住宅ローンの基準となるため、基準金利とも呼ばれる。
【適用金利】
住宅ローンを組む際に基準金利(店頭金利)から金利優遇によって引き下げられた金利で、実際に借り入れるときに適用される金利のこと。なお、金利優遇は銀行・金融機関によって異なるだけでなく、借り入れた時期によっても異なるため、適用金利にも差が出る。

 図表3のように、店頭金利はほぼ2.5%で横ばいだが、適用金利は一貫して下がり続けている。2011年の後半には1%を切っており、直近では0.5%前後の超低金利となっている。このグラフは大手銀行の金利だが、ネット銀行の中には0.3%台という低金利の住宅ローンを提供している銀行もある。現在、住宅ローンの変動金利は史上最低金利となっており、金利を見る限りではお得な状況にあることが分かるだろう。

 なお、店頭金利が下がらないのには理由がある。店頭金利は、現在借りている人の金利を決定する指標となるため、店頭金利を下げると、借りている人々すべてが低金利の恩恵を受けてしまうからだ。それでは銀行がもうからないため、「優遇幅」を拡大することで、新たに借り入れる人だけに、低金利の恩恵を与えてきたという仕組みだ。

 そのため、住宅ローンを借りている人の大半は、借り換えることで、金利を下げることができる。まさに「絶好の借り換えチャンス」であるのも間違いない

【関連記事はこちら】>>【住宅ローン「実質金利」ランキング(変動金利)】
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変動金利の低下で、借入可能額は大きく増加する

 次に、変動金利の低下により、どれだけ借入可能額が増えたのか試算してみよう。

 「毎月の返済額10万円、借入期間35年、ボーナス返済なし」とした場合、住宅ローンはいくら借りられるのかをシミュレーションしたものが以下である。

・変動金利2.0%=借入可能額3019万円
・変動金利1.0%=借入可能額3543万円
・変動金利0.5%=借入可能額3852万円

 このように、毎月返済額が同じでも、金利が変われば当然ながら借入可能額が大きく異なる。金利差が1.5%ともなれば、借入可能額が約850万円近く増えることが分かる。

 ただし、変動金利が今よりさらに下がって0.2%台になったとしても、借入額は4056万円で、借入可能額は大きく増えない。金利が低くなりすぎて、これ以上下げる余地がなくなっているからだ。海外ではマイナス金利の住宅ローン(お金を借りていると、金利をもらえる仕組み)が存在する国もあるが、日本においては検討もされておらず実現性は低い。

 そのため、いま、「変動金利型」で住宅ローンを組むのは、これ以上金利を下げる余地が少ないため、悪くないタイミングにあるといえるだろう。 

住宅ローン控除などが、住宅取得の追い風に

 なお、住宅取得の追い風になっているのは、変動金利の低さだけではない。昨年の消費税引き上げによる「住宅ローン控除」と「すまい給付金」制度も追い風となっている。

 住宅ローン控除に関しては、住宅ローン残高1%分を10年間にわたって収入から控除される減税制度だが、令和3年12月までに住宅を購入して入居した場合に限って、控除期間が13年間に延びる(消費税10%の住宅が対象。コロナ禍で1年延長された)。

 さらに、消費税の引き上げに伴う負担を軽減するための「すまい給付金」が、最大50万円になっており、こうした税制面でも、現在は住宅取得条件に恵まれている。

変動金利型のデメリットや注意点

 ここまで変動金利のメリットを中心に見てきたが、一方でデメリットもある。そこで、住宅ローンの金利タイプ別のメリット、デメリットを見ていこう。

 金利タイプには、大きく分けて、「変動金利型」と「固定金利型」があり、それぞれ以下の特徴がある(図表1)。

 【図表1】変動金利型と固定金利型の特徴

変動金利型と固定金利型の特徴
住宅金融支援機構(フラット35)HPの図をもとに編集部で一部加筆

 まず「変動金利型」は、金融情勢の変化に伴って金利が変動する。また、固定金利型に比べて金利が低く設定されており、借入後に市場金利が下がれば返済額が減るというメリットがある。ただし、金利が上昇すると返済額が増えるリスクもある。

 さらに、当初の一定期間だけ固定金利が適用される「固定金利期間選択型(5年固定、10年固定など)」もある。こちらは、固定金利と変動金利をミックスした仕組みで、固定金利期間の返済額は確定できるものの、固定期間終了後は、その時の金利情勢で変動金利、固定金利を選択することになるので、金利次第で総返済額が増減する

 一方、借入期間中の金利が一定の「固定金利型」は、借入時の金利で総返済額も確定するので、返済計画が立てやすいというメリットがある。ただし、変動金利と比べて高い金利設定になっている。

 このように、住宅ローンの金利タイプにはそれぞれメリットとデメリットがあるため、変動金利と固定金利のどちらの金利タイプがお得なのか、借り入れを行う際にはよく検討する必要がある。

金利上昇リスクは、事前にチェックを

 なお、「変動金利」を利用する場合は、事前に金利上昇ケースについて、借り入れ前にシミュレーションをして、毎月返済額が増加しても返済していけるかを検証しておくことをおすすめする。毎月の返済額が急に倍増するようなことになるとすれば、安心して借り入れをすることができないからだ。

 その際、金利上昇幅としては、現在の金利水準から1.5%程度上昇すると見ておけばいいだろう。

 2020年6月現在の店頭金利が2.475%であるのに対して、店頭金利の過去32年の平均金利は約4%。つまり、長期で見れば、1.5%程度の金利上昇はあり得るからだ。

【関連記事はこちら】>>変動金利の住宅ローンは、金利が何%まで上昇すると考えれば破綻しないで済むのか?

金利上昇リスクのセーフティーネットが用意されている

 なお、金利上昇のセーフティーネットとして、月々の返済額に影響が出ないように「5年ルール」と「125%ルール」(いずれも元利均等返済の場合)を用意している銀行が多い。ここで簡単に説明しよう。

【5年ルール】
変動金利は半年ごとに見直すことになっているが、金利が大きく上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらないルール。例えば毎月の返済額が当初10万円だとすれば、5年間は月額10万円の返済で変わらないという訳である(毎月の返済額の内訳比率が「元金返済分」と「利息返済分」で調整するため、たとえば、6万円と4万円の内訳が5万円ずつになったりするが、月額の返済額は変わらない)。

【125%ルール】
金利が上昇しても、毎月返済額は125%(1.25倍)までに抑えられるルール。たとえば、毎月返済額が10万円で金利が上昇した場合、当初5年間は10万円で据え置きされ、次の5年間も10万円の1.25倍の12.5万円までしか上昇しない。

 これらのルールがあるおかげで、金利が急上昇しても、毎月返済額は急上昇しないので、返済の見通しが立ちやすい。住宅ローンは延滞が数カ月続けば、一括返済を求められるが、一括返済できる人はほとんどいないため、事実上破綻することになる。そのため、5年ルール、125%ルールがある銀行を選びたいところだ。

 とはいえ、このルールが適用されると、元本の返済が遅れることになるので、おのずと総返済額が増える。

変動金利型を選ぶなら、どの金融機関がお得か

 住宅ローンで変動金利型を考えているなら、超低金利のいまは借り時といえる。では、どの銀行・金融機関から借り入れるのがいいのだろうか。

 最も重視すべきなのは「金利の低さ」であるのは言うまでもない。わずかな金利差でも、支払額は大きく変動する。さらに、チェックすべきなのは、手数料などの諸費用だ。金利が低くても、手数料などの諸費用が高ければ、トータルの総支払額で見ると、お得な住宅ローンではなかったというケースもある。

 そのため、住宅ローンの新規借り入れや借り換えをする場合、諸費用を含む「総返済額」で比較する必要がある。諸費用なども含んだ金利を「実質金利」と呼ぶが、この「実質金利」で比較してもいい。

 なお、金利や諸費用を調べるのは非常に手間がかかる。そこで、ダイヤモンド不動産研究所では毎月、主要銀行・金融機関の住宅ローン金利や手数料を調べて、実質金利と総返済額が計算できる「住宅ローン返済額シミュレーション」を用意している。借入金額、期間、金利タイプを選ぶだけで、85銀行の主要商品すべてについて、「総返済額(諸費用含む)」「毎月返済額」を計算できる。ランキング形式で並べているので、お得な住宅ローンがすぐに見つかる。

住宅ローンの変動金利推移から「住宅は買い時」
ただし、金利上昇のリスクに注意! 

 変動金利の長期推移を見る限り、現在が過去最低水準の金利で、変動金利で住宅ローンを組むのは悪くないことが分かっただろう。

 また、都心部を中心にマンション価格は上昇しているが、一方で、戸建てや土地については、価格はそれほど大きく上昇しておらず、いまが不動産の買い時と見ることもできるだろう。住宅ローン控除の拡大など、政策的な後押しも多い。

 なお、変動金利型の住宅ローンでは、金利の上昇リスクがあるので、その点をきちんと確認して、住宅ローンの借り入れや借り換えをするようにしたい。

【関連記事はこちら】>>住宅ローン金利(85銀行・800商品)を比較して、お得なローンを探そう! 住宅ローンのプロが、変動・固定の金利推移を解説

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1
◆ジャパンネット銀行 <住宅ローン 全期間引下げプラン(自営業、市街化調整区域は不可)>
0.510%
0.380%
0円
借入額×2.2%
【ジャパンネット銀行の住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
ネット銀行のジャパンネット銀行は2019年7月末に住宅ローンの貸し出しをスタート。最大の特徴は、業界最低水準という低い金利で、特に「変動金利」「10年固定金利」に強みがある。オプションの団体信用生命保険も豊富に取りそろえる。
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3
◆住信SBIネット銀行 <住宅ローン 通期引下げプラン(新規借入、ネット専用)>
0.540%
全疾病保障付き
0.410%
0円
借入額×2.2%
【住信SBIネット銀行の住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
三井住友信託銀行とSBIホールディングスが設立したネット銀行で、変動金利の低さではトップクラス。通常の団信に加えて、全疾病保障(8疾病+病気・ケガ)を無料で付帯しているので、おとくな商品と言える。女性には、がんと診断されると30万円が支給される保障も無料で付けている。審査結果によっては、表面金利に年0.1%を上乗せする。
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3
◆SBIマネープラザ <ミスター住宅ローンREAL・通期引下げプラン(店舗相談、新規借入)>
0.540%
全疾病保障付き
0.410%
0円
借入額×2.2%
【SBIマネープラザの住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
SBIマネープラザは、証券、保険、住宅ローンなどを取り扱う、SBIグループのマネー相談プラザ。支店において対面で相談できるので、初心者でも安心だ。変動金利が低い「ミスター住宅ローンREAL」(住信SBIネット銀行の商品)と、全期間固定金利が低い「ARUHIのフラット35」を取り扱っているので、2種類の住宅ローンを比較して申し込みできる。
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※実質金利は、借入金額3000万円、借入期間35年、団信加入、元利均等返済、ボーナス払いなし、最優遇金利を適用として、実質金利を計算。固定期間終了後は変動金利を選択(現在の水準が継続と仮定)。実質金利の計算法はこちら。諸費用は、事務手数料等、保証料とする。保証料は、大手銀行の一般的な保証料率を記載しているので、銀行によっては違う保証料率となる。主要18銀行・金融機関の主な商品を対象とし、ランキングに掲載するのは各銀行の商品の中で最も実質金利が低い商品のみとする。ホームローンドクター代表の淡河範明氏の協力で作成。

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