2024年12月の住宅ローンの金利推移・動向は、変動型は引き下げ、10年固定は上昇、35年固定も上昇となっています。フラット35(買取型)は1.860%で前月から上昇となりました。変動型は基準金利が上がったとはいえ史上最低金利を維持しています。本記事では、住宅ローンの金利推移を中心に金利動向も解説します。
住宅ローンの金利推移(変動金利、フラット35)
まずは住宅ローン金利の、過去約40年分の長期的推移を見てみましょう。
1990年代前半のバブル崩壊以降、住宅ローン金利はほぼ一貫して下落してきました。当時は変動金利が8.0%以上という時期もありますが、現在は0.5%を切る低金利になっています。
全期間固定金利の「フラット35(2003年以前は住宅金融公庫)」の金利もほぼ一貫して下落してきましたが、日銀による異次元金融緩和の終了に伴って、近年は上昇傾向にあります。とはいえ、長期的に見ればなお低金利といえます。
それでは、変動金利、10年固定金利、35年固定金利それぞれの金利推移や動向、最新のランキングを見ていきましょう。
住宅ローン「変動金利」推移、動向、最新のランキングは?
では、諸費用などを加味した「実質金利」ベースで、本当に割安な住宅ローンを見ていきましょう(表面金利が低くても、諸費用が高ければ意味がありません。両者を合計したのが実質金利です)。
最新の変動金利ランキングは以下のような結果となりました。
2024年12月の「変動金利(新規・借り換え)」の実質金利ランキングについては、auじぶん銀行がトップとなりました。
上位銀行の変動金利の推移
以下は、新規借入の上位銀行の変動金利(表面金利)推移(前月比)です。
2位、みずほ銀行 年0.375%(前月比±0.000%)みずほネット住宅ローン(固定金利選択、ローン取扱手数料型、新規借入)
3位、りそな銀行 年0.390%(前月比▼0.100%)住宅ローン ずーっとお得!全期間型・融資手数料型(新規借入、キャンペーン)
4位、SBI新生銀行 年0.410%(前月比+0.030%)住宅ローン 変動金利半年型タイプ(新規借入、頭金10%以上)
5位、PayPay銀行 年0.420%(前月比▼0.110%)住宅ローン 全期間引下げ(新規借入)
2024年12月の「変動金利(新規借入)」は、調査した主要14銀行の住宅ローン金利について、auじぶん銀行やりそな銀行など5行が引き下げ、3行が据え置き、ほか5行が金利を引き上げました。
変動金利はもっとも利用者が多く、金利競争の主戦場となっています。10月には基準金利が引き上げられましたが、それでも過去最低水準です。
変動金利の推移(主要銀行)
以下は、主要銀行の変動金利の推移(2018年1月〜現在まで)です。
変動金利の動向:年末までに最大+0.25%を目指して上昇か
2024年7月の日銀金融政策決定会合で、ゼロ金利政策が解除され「金利のある時代」に突入することとなりました。
これを受けて、多くの銀行が預金金利を引き上げると同時に、メガバンクや地銀も短期プライムレートを引き上げ。ようやく、変動金利が0.2〜0.3%台から抜け出す兆しが見えてきたと思われます。
ただ、行き過ぎた低金利を修正する銀行もあれば、修正を行わない銀行と、二極化していくと考えています。
金利の上昇幅についてですが、7月末の利上げを契機に株式市場が大暴落をしたことから、おそらく年内の利上げはないものと予想していて、年内は上昇しても0.1~0.25%程度に収まると考えています。
この7月末の利上げがあったといっても、わずか0.25%です。一般的に中央銀行の金融政策は、実質政策金利がマイナスであれば金融緩和、プラスであれ金融引き締めであると判断されます。
現時点の実質政策金利を正確に計算することは難しいのですが、概算すると△2.0%前後(名目金利0.25%-消費者物価指数2.5%前後)と大幅なマイナスであることから、いまだ緩和状態だといえるでしょう。
この利上げは、景気に大きな影響を与えることはないと考えられるのですが、心理的に利上げの影響を懸念する人が少なくないので、金利の引き上げには慎重な姿勢になることも予想されます。
ただ、トランプ新大統領が確定したことを受け、ドル円が円安に動いており、160円台の大台にのせると、再び利上げとなる可能性が高まると考えています。
住宅ローン「10年固定金利」推移、動向、最新のランキングは?
2024年12月の「10年固定金利(新規借入)」の動向は、調査した主要13行の住宅ローン金利について、13銀行が金利を引き上げました。
2位のSBI新生銀行は、当初10年間の金利が1.0%と、みずほ銀行の10年固定1.5%よりもかなり安いのですが、固定期間終了後の25年間の変動金利では、みずほ銀行に逆転されてしまうため、トータルの支払いではみずほ銀行の方が安くなるのです(固定期間終了後に変動金利になるとして、現在の金利水準と変わらなければ、SBI新生銀行は0.41%。それに対し、みずほ銀行は0.375%となります)。
トータルの支払いは必ずしも表面金利では決まらないので、注意負深く選択をしてください。
上位銀行の10年固定金利推移
以下は新規借り入れの上位銀行の10年固定金利の推移(前月比)です。
2位、SBI新生銀行 年1.000%(前月比+0.050%)住宅ローン 当初固定金利タイプ(新規借入)
3位、PayPay銀行 年1.205%(前月比+0.040%)住宅ローン 全期間引下げ(新規借入)頭金10%以上
4位、イオン銀行 年1.740%(前月比+0.080%)住宅ローン 金利プラン・定率型(新規借入、頭金20%以上)
5位、三菱UFJ銀行 年1.300%(前月比+0.180%)住宅ローン(事務手数料型)
※三菱UFJ銀行の適用金利や引下幅は、申込内容や審査結果等により決定する。
2024年12月は上位5銀行すべてが金利を引き上げました。銀行は「10年固定金利」を固定金利選択型の中核に据えていることが多く、激戦区となっています。
10年固定金利の推移(主要銀行)
以下は、主要銀行の10年固定金利の推移(2018年1月〜現在まで)です。
10年固定金利の動向
10年固定金利については、10年国債金利をベースにしている銀行が多いと考えられます。
10年固定の住宅ローン金利は、今後も日銀の利上げ期待と欧米の利下げにより細かい上下動を繰り返しながら、年内は+0.2%程度、2025年は+0.4%程度の上昇を予想しております。
住宅ローン「全期間固定金利」推移、動向、最新のランキングは?
2024年12月は前月同様、アルヒが「全期間固定金利(新規借入)」の実質金利ランキングで1位。住信SBIネット銀行が2位となりました。
上位銀行の全期間固定金利推移
以下は、上位銀行の全期間固定金利の推移(前月比)です。
2位、住信SBIネット銀行 年0.790%(前月比+0.020%)フラット35S・保証型・ZEH・長期優良(4ポイント、頭金20%以上)
3位、三井住友信託銀行 年1.360%(前月比+0.020%)フラット35S・手数料定率・金利Aプラン(頭金10%以上)
4位、楽天銀行 年1.360%(前月比+0.020%)フラット35S・金利Aプラン(頭金10%以上)
5位、りそな銀行 年1.360%(前月比+0.020%)フラット35S・金利Aプラン(頭金10%以上)
2024年12月の「全期間固定・35年固定金利(新規借入)」は、調査した主要7行の住宅ローン金利(フラット35除く)について、7行が引き上げました。フラット35(買取型)の金利は上昇で、1.860%でした。
35年全期間固定金利の推移(主要銀行)
以下は、主要銀行の35年固定金利の推移(2018年1月〜現在まで)です。
35年全期間固定金利の動向
超長期金利は、2年前より上昇トレンドに入ったと考えていましたが、約2.0%で頭打ちになっていると、見方を変更します。
ただ、欧米において物価も落ち着き、景気減速が鮮明になってきたため、全期間固定金利の上昇は鈍化すると見ています。
場合によっては金利が下がる局面があるかもしれませんが、国内景気は堅調である可能性もあり、下値は限られていると見ています。
市場金利(長期金利)の動向と推移
住宅ローン金利に影響を与える日本の市場金利も見ておきましょう。
市場金利と住宅ローンの関係は?
住宅ローンの全期間固定(フラット35)、10年固定金利などは、10年国債金利と連動性が高いと言われています。
住宅ローンの変動金利は、日銀の政策金利(7月の金融政策決定会合で0〜0.1%程度から0.25%程度に引き上げ)との連動性が高いと言われています。
どちらも日銀の政策次第で、将来的には上昇していく可能性があります。
国債買い入れ額の減額で長期金利は上昇に向かうか
2024年3月に開かれた金融政策決定会合では、マイナス金利政策と長期金利をコントロールするYCC政策が、ともに撤廃されました。
ただし、長期金利が急激に上昇する場合は、機動的に国債の買入れ額の増額などで対応するとしており、金融緩和的な立場は継続していました。
そして7月の金融政策決定会合で、国債の買入れ減額を決定。毎月6兆円程度買入れていた国債は四半期ごとに4000億円ずつ減額され、2026年1〜3月に3兆円まで減らす方針としました。
国債買い入れの減額となると、長期金利は上昇すると考えられます。住宅ローンの固定金利は長期金利に連動するため、今後は固定金利のさらなる上昇が予想されます。
2024年12月2日の10年国債金利は1.075%です。2024年5月に1.0%を超え、8月以降は0.8%台〜0.9%台を推移。11月からは再び1.0%を超えています。引き続き、今後の金利動向に注視する必要があります。
世界的な金利高の中で、日銀は今なお低金利政策を継続しています。そのため円安が進んでいるのが現状です。円安はインフレを加速する可能性があり、今後の金利動向は予断を許しません。
なお、市場金利が上昇することで、銀行の資産運用のスタンスが変更となる可能性があります。
これまでは国債金利が0%近辺であったため運用の魅力が乏しく、住宅ローンを積極的に獲得してきましたが、国債金利が上昇してくれば、「安全な国債で資産運用しよう」という銀行が増える可能性があり、結果として住宅ローンを無理に低金利で獲得する必要がなくなります。
こうした銀行の資産運用の面からも、住宅ローン金利が上昇する可能性があります。
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[新規借入] |
132銀行を比較◆住宅ローン実質金利ランキング[借り換え] |
【金利動向】おすすめ記事 | 【基礎】から知りたい人の記事 |
【今月の金利】 【来月の金利】 【2024年の金利動向】 【変動金利】上昇時期は? 【変動金利】何%上昇する? |
【基礎の8カ条】 【審査】の基礎 【借り換え】の基礎 【フラット35】の基礎 【住宅ローン控除】の基礎 |
新規借入2024年12月最新 主要銀行版
住宅ローン変動金利ランキング
※借入金額3000万円、借入期間35年で試算
- 実質金利(手数料込)
- 0.413%
- 総返済額 3218万円
- 表面金利
- 年0.284%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 75,045円
①「がん・4疾病50%+全疾病+月次返済保障」が無料!
②住宅ローン金利優遇割ならダントツの低金利
③三菱UFJ銀行とKDDIが立ち上げたネット銀行。ネット申し込みで、全国に対応
- 実質金利(手数料込)
- 0.512%
- 総返済額 3271万円
- 表面金利
- 年0.375%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%+33000円
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 76,229円
①注文住宅なら、分割融資に対応でお得
②手数料不要の「借入時負担ゼロ型」は、将来住み替えを考えている人におすすめ
③中古物件でもリフォーム資金含めて借り入れが可能
- 実質金利(手数料込)
- 0.531%
- 総返済額 3281万円
- 表面金利
- 年0.390%
- 手数料(税込)
- 借入額×2.2%+55000円
- 保証料
- 0円
- 毎月返済額
- 76,426円
①「団信革命」は要介護まで保障も
②自社商品なら、最大3億円まで借り入れOK!
③【期間限定】WEB完結金利優遇キャンペーン実施中。変動金利が年0.390%~
-
住宅ローン利用者口コミ調査の詳細を見る
-
今回作成した「住宅ローン利用者口コミ調査」の調査概要は以下のとおり。
【調査概要】
調査日:2023年12月
調査対象:大手金融機関の住宅ローン利用者(5年以内に住宅ローンを新規借り入れ、借り換えした人)
有効回答数:822人
調査:大手アンケート調査会社に依頼
評価対象:有効回答数47以上を対象とするアンケートの設問は以下の7問。回答は5段階評価とした。なお、評価点数の平均点は小数点第2位以降を四捨五入。
【アンケートの設問】
Q1.金利の満足度は?
Q2.諸費用・手数料等は妥当でしたか?
Q3.団体信用生命保険には満足しましたか?
Q4.手続き・サポートには満足しましたか?
Q5.審査について、満足していますか?
Q6.借り入れ後の対応に満足しましたか?
Q7.他の人にも現在の銀行を勧めたいと思いますか?
【回答の配点】
・各設問は5段階で回答してもらい、Q1なら以下のように配点。平均値を求めた。
満足している(5点)
どちらかといえば満足している(4点)
どちらともいえない(3点)
どちらかといえば不満である(2点)
不満である(1点)
・総合評価については、各項目の平均値を全て合算。読者が重視する「Q1金利の満足度」については点数を3倍、「Q3団信の満足度」の点数を2倍として、点数の合計を50点満点とし、10で割ることで5点満点の数値を求めた。
132銀行の住宅ローンを比較 >>返済額シミュレーションで、全銀行の金利を一気に比較・調査
|
- 年収に対して安心して買える物件価格は?
-
- ・年収200万円で妻が妊娠中の家族の上限は1600万円!?
- ・年収250万円の単身者の上限は1800万円!?
- ・年収300万円の4人家族の上限は1800万円!?
- ・年収350万円の2人家族の上限は2100万円!?
- ・年収400万円の単身者の上限は2500万円!?
- ・年収450万円の4人家族の上限は2000万円!?
- ・年収500万円の4人家族の上限は3000万円!?
- ・年収600万円の3人家族の上限は3500万円!?
- ・年収600万円の40代独身の上限は3000万円!?
- ・年収700万円の共働き夫婦の上限は5000万円!?
- ・年収800万円の3人家族の上限は4500万円!?
- ・年収1000万円の30代4人家族の上限は5000万円!?
- ・年収1000万円の40代4人家族の上限は3500万円!?
- ・年収1000万円の50代夫婦の上限は3000万円!?
※サイト内の金利はすべて年率で表示
プロの評判・口コミ
淡河範明さん
auじぶん銀行の魅力は、業界トップクラスの変動金利です。変動金利が大好きな人なら、最上位にすすめたいですね。最大2億円まで借りられるのも大きなポイントです。
審査に関しては、めちゃくちゃ早いです。申し込んでから基本的には1ヶ月以内に融資実行ができるので、急いでいる場合にはありがたい。「今月中に融資して欲しい」とアピールすれば、審査がスムーズに運びやすいです。
団信では「がん・4疾病50%保障団信」が無料で付いているので、通常の団信より手厚いと言えます。通常、保障を厚くするのであれば、金利を上乗せする必要がありますが、無料でつくのは魅力です。