新築・中古マンション市場動向は? 注目物件や在庫状況など最新市況を不動産アナリストが解説!【2024年4月版】

2024年4月8日公開(2024年4月11日更新)
岡本郁雄:不動産アナリスト

以下は、2024年1月の市況記事です。

2024年がスタートした。2023年は日経平均株価が2割超も上昇するなど家計の金融資産は大きく増加。販売価格3億円を超える高額マンションが人気になるなど、都心部中心にマンション市場は好調だった。しかし、一部の地域では中古マンション在庫が増加し前年比で価格が下落するなど、陰りも見える。今月も新築・中古マンションの市況を解説していく。(不動産アナリスト・岡本郁雄)

最新の首都圏新築マンション市況【2023年1月度】

 新築マンション市況はしばらく好調であったが、前回紹介した2023年10月度は不調を示す結果となった。

 しかし、11月度は再び数字が回復しており、初月契約率、1戸当たりの平均価格ともに上昇傾向だった。東京23区に関しては、1戸当たりの平均価格が再び1億円を超えており、価格上昇トレンドは続いていると考えてよいだろう。

首都圏の新築マンション市場動向2023年11月

  新規販売戸数 1戸当たり平均価格 ㎡単価 契約率
2022年11月 2,866戸 6,035万円 89.8万円 69.4%
2023年10月 1,486戸 6,567万円 101.0万円 60.9%
2023年11月 2,743戸 8,250万円 128.0万円 74.2%

首都圏の新築マンション市場動向(出典:不動産経済研究所発表「首都圏新築分譲マンション市場動向 2023年11月」)

 細かく数字を見ていくと、上の図表の通りだ。新築分譲マンション発売戸数は、前年同月と比べ123戸減少の2,743戸、契約率は前年同月比4.8ポイントアップの74.2%となった。そして、首都圏新築マンションの1戸当たりの平均価格は、前年同月比で36.7%アップの8,250万円となっている。 

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の新築マンション価格(平均価格)と契約率の推移を示す。

不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成
過去5年間の首都圏の新築マンション価格(1戸当たり平均)と契約率の推移
不動産経済研究所の市場動向データをもとに編集部が作成


首都圏エリア別の新築マンション市況  

 また、首都圏新築マンションの地域別の発売状況は下表のようになっている。 

 エリア別の平均価格は、東京23区が前年同月比で50.2%アップの1億2,811万円。東京都下が5,062万円、神奈川県6,155万円、埼玉県4,684万円、千葉県5,111万円。

 表には載っていないが、エリア別の供給戸数は、埼玉県(前年同月比68.9%減少)を除く地域は、前年同月比で2桁を超える伸びを示している。また、販売在庫は4,815戸で、前月よりも59戸の増加。2022年11月末の販売在庫は5,079戸だったので、この1年を通して在庫増加は見られず、低水準のままだ。

首都圏新築マンションの販売動向(2023年11月)

  新規販売戸数(前年同月比) 契約率 平均価格
東京23区 1,029戸(+8.4%) 72.9% 12,811万円
都下 446戸(+63.4%) 87.9% 5,062万円
神奈川県 761戸(+3.4%) 67.0% 6,155万円
埼玉県 197戸(-68.9%) 65.5% 4,684万円
千葉県 310戸(+12.7%) 81.9%

5,111万円

 地域別の契約率を見てみると、好不調の目安となる70%を下回ったのは、神奈川県と埼玉県。一方、都下が契約率87.9%、千葉県が契約率81.9%と好調だ。コロナ対策の緩和により都心部のマンションに注目が集まっているが、値頃感のある郊外マンションを希望する人も多いということだろう。

首都圏の中古マンション市況【2023年11月度】

 続いて中古マンション市場を見てみよう。中古マンションの売れ行きは変わらず堅調が続く。
 

首都圏の中古マンション市場動向2023年11月

  成約件数 平均成約㎡単価 新規登録件数 在庫件数
2022年11月 2,797件 69.69万円 16,446件 41,158件
2023年10月 3,287件 74.55万円 17,036件 46,312件
2023年11月 2,900件 74.98万円 16,281件 46,993件

首都圏の中古マンション市場動向(出典:東日本不動産流通機構発表「2023年11月度の中古マンション月例速報」)

 上の表の通り、2023年11月度の首都圏中古マンション成約件数は、前年同月比3.7%上昇の2,900件。6カ月連続で対前年比プラスになっている。成約価格は、前年同月比7.1%上昇の4,731万円。平均成約㎡単価も対前年同月比7.6%上昇の74.98万円となっている。

 成約㎡単価が前年同月を上回るのは、43カ月連続となる。

 また、2023年11月の新規登録物件の㎡単価は、72.62万円となっていて前月よりも▲0.7%、前年同月比で▼0.4%となった。なお、成約㎡単価は、前月よりも0.6%上昇しており、直近の最高値をさらに更新している。

 2023年11月の新規登録件数は、対前年同月比で12.5%増加の16,281件。在庫件数は46,993件と前年同月比で14.2%増加しており高水準のままとなった。

 下のグラフは、過去5年間の首都圏の中古マンション価格(成約㎡単価、在庫㎡単価)と在庫件数の推移を示す。2023年春にかけて在庫件数が大きく伸びたが、2023年夏以降は鈍化している。


首都圏エリア別のマン中古マンション市況 

 次に地域別の中古マンション動向を見てみよう。2023年11月度の成約㎡単価は下記の通りだ。

首都圏の中古マンション成約㎡単価(2023年11月)

  東京23区 都下(多摩) 横浜・川崎市 神奈川県その他 埼玉県 千葉県
成約㎡単価 110.28万円 55.47万円 63.65万円 40.27万円 40.02万円 38.07万円
前年同月比 +6.8% +8.9% +3.0% +0.5% -2.1% +10.8%
前月比 +2.8% -1.7% -1.8% -2.3% -5.5% -6.0%

 

(出典:東日本不動産流通機構発表「2023年11月度の中古マンション月例速報」)

 埼玉県を除くエリアにおいて前年同月比で上昇。中でも、千葉県は、前年同月比で10%を超える高い伸びを示した。一方で、埼玉県は前月比、前年同月比ともに下落している。

 地域別の中古マンション在庫件数を見ると、1年前と比べ首都圏全体では14.2%の伸びに対し東京都は+7.0%と大きく増えてはいない。一方、神奈川県が+22.7%、千葉県が+22.3%、埼玉県は+31.7%と大きく増えている。

 特に埼玉県の中古マンションの在庫件数は、2022年11月末の4,146件から2023年11月末には、5,459件へと大きく増加している。価格の抑制要因と考えられるので注意が必要だ。

2024年の首都圏新築マンション分譲戸数は、3.1万戸の見込み

 2023年に2.8万戸(見込み)だった首都圏新築マンション供給戸数は、2024年には1割超増加の3.1万戸に。売れ行きが堅調な東京23区について1万3,000戸の供給が見込まれるほか、神奈川県が7,500戸、埼玉県が3,500戸と2割を超える増加が予想されている。

 都下は3,000戸、千葉県は4,000戸となっており2023年を上回るラインアップとなりそうだ。

 商品企画で注目なのは、ZEHマンションが供給の中心になってくること。改正建築物省エネ法により、2025年4月に全ての新築住宅等への省エネ基準の適合義務化などが行われる。

 長期優良住宅や低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅は、住宅ローン控除の借入限度額でも優遇幅が設けられており、新規発売マンションでは、環境性能などが高いマンションが目立つ。一方で、環境性能を高めるために建築コストもアップしており高付加価値化が価格上昇を押し上げる要因にもなっている。

 地価動向や建築費数を見ても、原価ベースで新築マンション価格が下がる兆しは感じられない。2024年4月以降、建設業では災害時における復旧および復興の事業を除き、時間外労働の上限規制が原則通りに適用されることになる。

 この結果、マンションの着工から完成までの工期が伸びることは避けられず、建築費の更なる上昇につながるという。インバウンド需要によるホテル需要の急回復で、都心の商業地などの引き合いも増えており、2024年も都市部の新築マンション価格は、上昇が続くと見ていいだろう。

 一方で、中古マンション在庫が大きく増加している埼玉県のように需給バランスで供給超過が見られるエリアもある。需要に関しては、人口減少による構造的な側面もあるので注意が必要だ。

 国立社会保障・人口問題研究所発表の日本の地域別将来推計人口(令和5年度)によれば、総人口は長期にわたって減少が続く見込みだ。2015年から2020年の都道府県別の総人口は、39道府県で総人口が減少、今回の推計では、2020年から2025年にかけては、東京都を除く46道府県で総人口が減少する。

 日本の地域別将来推計人口(令和5年度)によれば、東京都の人口も2040年頃がピークでその後、減少する見込み。東京都における15歳から64歳の生産年齢人口の減少は全体よりも早く2030年頃がピークとなっており、不動産価格にも影響を及ぼすだろう。

 ZEHなどの建物性能はもちろん、立地選びも長期視点で考えてマンションを選ぶべきだろう。

今月の注目マンション「パークリュクス南船橋」

 次に、今月の注目マンション「パークリュクス南船橋」を紹介する。 

 南船橋駅徒歩2分のコンパクトマンション「ららテラスTOKYO-BAY」開業に続き「(仮称)LaLa arena TOKYO-BAY」が2024年春にオープンする。

「パークリュクス南船橋」外観・JR南船橋駅南口市有地活用事業完成予想CG(画像出典:公式ホームページから)
「パークリュクス南船橋」外観・JR南船橋駅南口市有地活用事業完成予想CG(画像出典:公式ホームページから)

 「パークリュクス南船橋」は、JR京葉線南船橋徒歩2分の駅前街区に誕生する総戸数133戸の大規模レジデンスだ。

 南船橋は「ららぽーとTOKYO-BAY」「IKEA Tokyo-Bay」「ビビット南船橋」といった商業施設が集積する買い物に便利な街。2023年11月にはJR南船橋駅南口市有地活用事業として36店舗が入る「ららテラスTOKYO-BAY」が開業し、街の魅力は、さらに高まっている。

 現在建設中の「パークリュクス南船橋」からは、「ららテラスTOKYO-BAY」まで歩いて1分の近さだ。

ららテラスTOKYO-BAYの建物(筆者撮影)
ららテラスTOKYO-BAYの建物(筆者撮影)

 事業に携わる三井不動産グループは、1981年のららぽーと船橋ショッピングセンター(現ららぽーとTOKYO-BAY)をはじめ、三井不動産アイスパーク船橋や芝生広場を併設した「MFLP船橋Ⅲ・&PARK」などこの地域の開発に関わってきた。

 現在工事が進む「(仮称)LaLa arena TOKYO-BAY」は、約1万人収容のアリーナで2024年春に開業予定。Bリーグの千葉ジェッツ船橋のホームアリーナとなる。JR京葉線南船橋駅からは、東京へ直通31分でアクセスできることと、駅徒歩2分の便利さもあり、都心に勤務するビジネスパーソンに好適の立地いえるだろう。

 プランの注目点は、三井不動産レジデンシャルのコンパクトマンションブランドであるパークリュクスを冠し、総戸数133戸に対し30㎡台~40㎡台の単身者向け1LDKタイプの分譲戸数が72戸と多いことだ。

 全戸南向きとなっており、1LDKタイプの日当たりも良好だ。バルコニーの奥行きも約2mあり、シューズインクローゼット付き住戸を用意するなど収納箇所も豊富。2層吹き抜けのエントランスホールの共用部も上質なつくりだ。

 徒歩1分の「ららテラスTOKYO-BAY」には、グルメ&フードのお店も入っておりファミリーレストランやカフェも立地。身近にサードプレイスがそろうのは、アクティブなシングル層にとても便利だろう。

 予定販売価格は、3,300万円台~7,900万円台。予定最多価格帯は、3,500万円台中心となっており単身層でも十分手が届く価格設定になっている(2023年12月25日時点)。

 2024年2月上旬販売予定となっているが、既に販売が始まっているパークホームズ南船橋とともに注目を集めそうだ。

2024年のマンション探しは金利動向を注視

 2024年のマンション購入で留意すべきポイントは、金利の動向だろう。一時期、10年物日本国債金利が10年ぶりに0.8%を超えるなど長期金利は大きく上昇したが、今は低下している。

 国土交通省は、少子化対策の推進施策の一環として子育て世帯を応援する【フラット35】子育てプラスを創設。子どもの人数や住宅の性能などに応じて金利引き下げポイントが加算され、金利引き下げ幅が最大年1%となる。

 ポイント数に応じて、金利の引下げ幅や期間が異なり8ポイントとなると10年目まで1%金利が引き下げられる。子供が多い家族や若いファミリーは、検討すべきだろう。

 マイナス金利を導入しているのは、世界の中で日本だけという状況で、2024年の春闘で賃上げが定着すれば、2024年中にマイナス金利が解除される可能性もある。マイナス金利が解除されても必ずしも金利が大幅に上昇するわけではないが、リスク許容度に応じて、金利選択は慎重に行うべきだろう。

【関連記事】>>2024年1月最新版!住宅ローン金利(132銀行・1000商品)の金利推移・動向は? 金利タイプ別の相場、選び方も解説

まとめ

 新築マンション市場では建築費の上昇もあり、引き渡し前の早期完売を目指さないスタンスで、収益を最大化しようとする動きも一部のプロジェクトで見られる。

 2024年は「HARUMI FLAG SKY DUO」のように高倍率になるような、大規模プロジェクトは減るかもしれない。城南などのブランドエリアの好立地マンションは、「ザ・パークハウス 上野毛テラス」のように反響を集めているし、中古マンションの在庫も、東京都心3区のように対前年同月比で減少している(-5.4%。2023年11月度)地域もある。

 都心およびその周辺エリアは、新築・中古ともに早めの動きが大切だろう。

 そして、ライフスタイルが多様化する中で、駅近コンパクトマンション「パークリュクス南船橋」のように魅力的なプロジェクトが、2024年も豊富にある。「思い立ったら今日が吉日」と、気になるモデルルームに出かけてみてはいかがだろうか。

 このたび、能登地方を震源とする令和6年能登半島地震により犠牲となられた方々に謹んでお悔み申し上げます。また、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日でも早い復旧、復興を心よりお祈りいたします。

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